たぶん、だぶん(多分、駄文)

記事の更新は不定期となるでしょう。たぶん。

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 このコーナーは、Msの独り言を書き綴ろう、という空虚なコーナーです。
 日頃思う事、時事ネタ、そしてもちろん音楽ネタその他もろもろについて書こうと思います。HP本編のネタの素材なども、予めこの場で紹介するかもしれません。その素材が、正式な記事として完成するかは???思いつくまま、勝手に書かせていただきます。

 ただし、新世紀の「たぶん、だぶん」どうぞご期待下さい、などとはとても言えない。
 昨年の駄文以上のさらなる駄文を書くだけになりそうだ。自分ひとりだけが書きこめる掲示板みたいなものか?たまったら消していきますので、どうぞお見逃しなきよう・・・。ちなみに、ここのコーナーの記事については、更新履歴には今後載せないこととします。


 いつのまにやら今年も終わりじゃないか。この「だぶん」コーナーも、腱鞘炎ネタ以来途切れたままだった。トピックスを追って記事を書いている間にどんどん時間は過ぎて行く。特に、この秋は、鑑賞面でも演奏面でもネタが豊富でして、追いつかない。
 そんな中で、書きそびれたネタとしては、TV関係。N響、ゲルギエフ。キーロフとの合同演奏「レニングラード」は生体験したところだが、N響定期では、「春の祭典」良かった。第1部の勢い、そして第2部の重さ、苦しさ。やや、最後の「いけにえの踊り」のテンポ感、遅過ぎて逆に緊張感を失わせる場面も感じられたような気もしないではないものの、なかなか充実した演奏と感じる。
 さらに、ストラビンスキー、「ペトルーシカ」。N響定期、サロネンのきびきびした演奏、爽快さすら感じ、音楽の楽しさを素直に伝える。もはや、現代音楽じゃあない、この「ペトルーシカ」。楽しくてウキウキ、晦渋な雰囲気はなし。うって変わって、ショスタコのピアノ協奏曲第1番は、ソリストが、とにかく遅く、また、ロマン性たっぷり、テンポも揺らしまくり、ルバートの嵐。それにお付き合いしなきゃいけないサロネン、本意だろうか?と同情したりもして。
 近現代続きで、BS日テレ。今年4月の、読響、ロジェストベンスキーの客演時のプロコフィエフを12月、2週に分けての放映。大変楽しみだったのだが、チェロのための交響協奏曲はやや期待ハズレ、曲自体が。ピーターと狼はともかく、スキタイ組曲は期待したものの、いきなり冒頭からズレまくり。オマケに、最もエキサイトな第2曲が放送時間の都合かカット・・・・ショック。これが聴きたかったのに。他にカットのしようはあったろうに。桃屋のCM、深夜のイカ漁のBGMでも流れた、第2曲、これ聴かなきゃ、スキタイ聴いたことになるまいて。

 まだまだ書き足りないが、本年の「だぶん」もこの辺で。
 来年も皆さまにとって素晴らしい年となりますように。私にとっても、来年からいろいろな面で飛躍の年となりますよう・・・・向上心、この一念で、人生の後半生を走りつづけたいと考えている。

(2002.12.29 Ms)


 BSその他番組より。ロンドン夏の名物音楽祭「プロムス・ラストナイト2002」、9/15。生誕100年のウォルトン。「記念祭ファンファーレ」に始まり、エリザベス女王即位の戴冠式行進曲、そして、映画音楽「ヘンリー5世」。やはりカッコイイなァ。彼の和声感、そしてオケを鳴らしきったようなオーケストレーション。是非、今年、彼の作品、生で聴きたかったが、なかなか機会なく残念。
 違う機会にエリザベス女王の即位50年のコンサートも見たが、彼の行進曲がなく残念。王室ネタとしては、やはりヘンデルが大事のようで。また、特別ゲスト、ロストロをソリストに、ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ第1番」、チェロのみによる合奏も心に染みた。美しい。

 現代のワルツ王、アンドレ・リュウのコンサート。Vn.の弾き振り。ショーアップされたオケが、ワルツのみならず、世界の民俗音楽(ロシアものは大興奮、カリンカとか、ポリュシカ・ポーレはいいなあ)、さらには、ブラジルものから、ビッグバンド・ジャズまで。奏者が歌うは、騒ぐは、踊るは、クラシックの範疇を超えた、熱狂のステージ。ベルリンの野外ステージにて、客も総立ち、歌うは踊るは、抱き合うは。オーケストラによる最高のエンターテイメント、これは、1度は見ておく価値ありと思う。素直に音楽に魅せられ、感動する、こんな体験、もっといろいろな人に、と思う。交響曲を頂点とした、敷居の高いコンサートだけじゃあ、クラシックも予想どおり衰退してしまうようで・・・・。オケという媒体を使って、音楽の楽しさをシンプルに共感しあえるような試み、もっとあっていい。プロは当然、アマも。

 上原彩子、コンクールの舞台裏密着の番組も面白い。ロシアのピアノ曲がいろいろ聴ける。ただし、部分的なのはチョット・・・・。なるべく、1曲(楽章)は聴かせてくれれば。予選落ちした、ロシアの人気もの、ボローディンによる、ショスタコの、前奏曲とフーガ変ニ長調、全部聴きたかった。最初10秒だけというのは淋しい。変拍子、無調的な、そして野蛮なこの難曲のフーガ、見たかったのに。

 うってかわって私的な話。10日ほど前、腱鞘炎になった。左手首が2日ほどまるで動かなかった。なんとか今は普段の生活は不自由ないが、打楽器奏者としては、完璧ではない。昨日、いろいろ試しながら叩いてはみたが、ここぞというところで、恐さを感じたりして・・・・今までどおりともいかないのかもしれない。ただ、アマチュア・オーケストラには未練ばかり、手首の痛い眠れぬ夜には今後の不安を感じたり。15年のアマオケ生活、一度総括してやろうなどと考えた。仮に演奏活動を縮小しようとも、アマオケの応援団ではありたい。

その他、「だぶん」にてダスビ情報更新。8/12分の記事(2002.9.16 Ms)


 過ぎゆく夏を惜しみつつ。
 世間では夏休み最後の日、防災の日でもある。今年より、愛知県の大半が東海地震の対策強化地域になったこともあって、愛知県と蒲郡市との共催の総合訓練あり。初めてそういった大規模な訓練に参加することとなった。朝6時に出掛けたわけでなかなか辛いところであったが、ヘリや艦船などいろいろ出て来て目の当たりにすると結構緊張したり。しかし、ふと気が付いたのだが、こんなに音楽が聞こえていないという状態のもとに置かれたのは久しぶりではないか。民家から離れた港にての訓練。確かに、無意味な音楽など訓練中には皆無。町の音も聞こえてこない。
 以外と家にいれば音楽を自主的に聴いたり、TVつけようものなら聴きたくなくても音楽だらけ。町を歩いてもそうだ。仕事にしたって、時を告げるチャイムや音楽がある。そう考えると、訓練とその前後、約8時間、音楽らしきものはなく、この状態、とても貴重なのではないかと思った。こういった耳の状態あってこそ、音楽への渇望もあろう。
 (などといらんことを考えたのは帰宅後。なぜか今はスクリャービンの「法悦の詩」がかかってたりして。京都で買ったいかがわしいチェコの海賊版らしきムラビンの演奏。ラッパが独壇場でなんだか凄い。消えゆくソビエトを惜しみつつ。)
 そういえば、蒲郡といえばオケでもお世話になっていて、知った人とも出会ったり。でも、防災服にヘルメット。どうも私と気付かれなかったようで・・・。ただ、人口の1/3近い人々が避難訓練等何らかの形で関わった訓練のようだ。(町村はともかく)市レベルで、そうそうこれだけのことはできないのではないか。きっと大事な事だと思う。

 夏休みの宿題ではないが、ニールセンのスコアをいろいろアレンジしようなどと思いつつまだまだ完成にほど遠く。ふと、思い出した。ニールセンの「アラジン」の吹奏楽編曲、結構、中高生が取り上げているらしく(今年のコンクールでは取り上げられたのかしらん・・・・調べて聞きに行くも良しだったか?)、ネット上でもたまにそんなコメントを見ているし、CDなど聴いてみる。今は入手しにくくなっているがサロネンの演奏はスカッとするな。
 さて、もう、7,8年も前だろうか、今村能先生の指揮で演奏したが、その時、「ニールセンのアラジンをやらないか?」などという話があったことを思い出す。あの頃はまだ、私も?????でした。今思えば、「いいですね。是非やりましょうよ。」などと言っておきゃあ良かったものの。今月号の「音楽之友」にて、ワルシャワの歌劇場の指揮者に就任した記事が1ページのっていたっけ。先生の指揮で演奏したシベリウスの「エンサガ」、スメタナ「モルダウ」、ドヴォ7など、結構思い出深い。きっとそのオケの最盛期の頃であろう。今やその面影なく。過ぎゆく夏を惜しみつつ・・・・。

(2002.9.2 Ms)


 盆休みなく労働し、その代わり翌週はやや余裕あり。トピックスでも触れた、アフィニス夏の音楽祭を見学しつつ昼神温泉、南信州の旅。そして、1回分余った青春18きっぷを使って、日帰り大阪旅行を決行。片道4時間の電車の旅、岩波文庫絶版のシューマンの論文集「音楽と音楽家」をペラペラめくりつつ、感銘深い文章なども改めて発見、また、その辺りの紹介なども折りを見て、などと思う。
 途中乗り換えの米原では北陸のます寿しなどもほうばり旅気分を高める。やはり、旅のひとつの楽しみは土地土地の旨い食べ物だし。そういや、このHP、旅といえば音楽か食事か。本能的な快楽でもあることだし興味もそそられるし。
 さて旅先にては、楽譜とCDもしっかりチェック。大阪梅田タワーレコードはイマイチ、ササヤ書店にてはシベリウスの楽譜など。弦楽合奏のための「カンツォネッタ」Op.62aのスコアが1000円弱で。とても美しい逸品。弦とピアノ用にアレンジして家庭で楽しもうと。もう1曲、劇音楽「テンペスト」からの「情景」のピアノ版。譜面づら、「ペトルーシカ」の「ロシアの踊り」と同様ぶつかり合う音が並行移動しまくる点で似ている。鍵盤打楽器用に楽しもうと。久々に、自分の演奏用のアレンジを。
 道頓堀のヤマハにて、ブラームスのドイツレクイエム廉価版スコア。いい曲です。第2曲の葬送行進曲風な楽想にはおおいに惹かれる。あと、バッハあたりをかなり意識し過ぎた、対位法の手法が随所に目立つが、ベートーヴェンの第九よりも遡った雰囲気を感じさせているところが面白い。
 帰りに京都の錦市場で買物しがてら、十字屋へも。ワゴンセールにてキワモノを入手。チェコで出た海賊盤らしきシリーズ(「ロシアの宝」なるシリーズもの)。ソ連時代の録音。1000円にて。
 1枚はショスタコの自作自演。1940年録音のピアノ五重奏曲。1959年録音のチェロ・ソナタ、ロストロと。前者は当然かなり音も悪いが、ショスタコのピアノの腕の確かさは、他の後年の録音に比べれば際立っているような。
 もう1枚は、ムラビン指揮の、レニングラード。私にとって初お目見えの、ラベルのボレロ。1953年録音。まずまずの音質。ただ、マイクが近くて小太鼓や弦のピチカートは生々しい。あと、意外とトロンボーンなどもおとなしく、グリッサンドもない。しかし、後半からロシアらしさはにじみ出始め、弦で旋律が出る辺り、あまり格調高くなく、妙なアクセントがついていたりしてゴツゴツした感じ。もっと気高く流れるように朗々とあの部分、旋律が出てくるイメージなのだが。さらに、金管に旋律がいくと、もうロシア全開。第2テーマなどは、幾分ジャズ的でもあり、また、エスノ調でもあるのだが、ソ連ブラスにかかると、スペインの雰囲気を飛び越えて中近東、ハチャトリヤンのバレエでも聞いているような錯覚を覚える。確かに両者ともアラブの影響下にあったわけだし、本来ボレロの持つ怪しげなエスニックさが違う形で堪能できる。フランスでの洗練を施される前の原石の状態を思い知らされるような演奏。面白い。おとなしかったトロンボーンは最後でやってくれた、ここは他の演奏にはない雰囲気を持っていて笑い。こんなヤラシイのは他にあるまいて。これだからソ連の演奏は・・・・。その他、ドビュッシーの夜想曲から「雲」、スクリャービンの「法悦の詩」などがカップリング。印象主義的な繊細さがどこまで聞けるかは楽しみ。ボレロ以外はまだ堪能していないが、ボレロだけでも聴いて損はなし。

 海外ニュースより。東欧の水害。プラハ、ドレスデン、そしてブダペスト。3年前の夏訪れたのを思い出す懐かしい映像。しかし、ヴルタヴァ(モルダウ)河畔のスメタナ像は肩まで水につかり、壮麗なドレスデンの宮殿も庭が一面池になり。美術品の救出も大変だ(ショスタコの映画音楽「五日五晩」もまたドレスデンの美術品を戦火から守る話でふと頭をよぎる)。一刻も速い復興を願っています。

(2002.8.25 Ms)


 昨年もちょうど盆前の頃、名古屋は丸栄デパートにて、中古レコードのセールをやっていた。昨年の「今月のトピックス」でも触れた通り、コンドラシン指揮によるショスタコの13番「バビヤール」のCD化されていない2つの演奏が入手できてとても喜んだのだった。さて、今年もやっているとの噂あり、名古屋への出張の帰りに寄ってみた。
 昨年ほどメロディア系があふれてはいなかったが、このところのニールセン熱に対応してくれたかのようにニールセンがけっこうあり選ぶのにおおいに迷った・・・さすがにそう何枚も買えないし。ということで、CD化されているものも含め3枚のレコードを入手。すべて外盤。
 バーンスタイン指揮、デンマーク王立オケによる交響曲第3番「ひろがり」。1965年の演奏で、ニールセン生誕100年の記念レコード。ジャケットの裏側にはデンマークでの雑誌等に掲載されたと思われる、演奏に対する評価などが書かれていて興味深い。1950年代から始まる一連のニールセン再評価の中でのこの演奏の影響力を想像させる。レコードの中身には、ニールセンの生い立ちや音楽的な分析が書かれた小冊子も含まれていて大感激。写真のたぐいはすでにデンマークで入手した評伝等にあるものではあったが、これは私にとっての家宝の一つになりそうだ。
 さらに、木管のための協奏曲2曲。これはDANACORDレーベルから出ているニールセンの歴史的録音のシリーズと同じもの。色あせ破れかけたジャケットではあったが稀少価値をとって購入。裏ジャケには、同じレーベルから出ている当時の北欧もののレコードの一覧などもあってその辺りの情報も興味深い。解説は、大御所ロバート・シンプソンが担当。
 最後に、交響曲第5番。ベルグルンド指揮、ボーンマス響。これはCD化されていないのか?ちょっと楽しみな1枚。
 また、中古CDも、シカゴ・プロ・ムジカなる団体による「かいなきセレナーデ」をゲット。解説に標題的なものも記載されており、珍しい作品だけに貴重な文献資料でもある。ちなみにメインは今年生誕100年のウォルトン10代のデビュー作、「Facade」組曲の抜粋か。後年のノーブルなイメージとはかけ離れた、洒脱な一品。マルチ・パーカッションの面白い効果も楽しめる。

 チャイコフスキー・コンクール優勝の上原彩子さんの番組がいろいろ放映されている。8月初頭にBSで放送された「上原彩子・ピアノの贈り物」なる番組は8/16深夜にもNHK総合にて再放送。モーツァルトのへ長調のピアノ・ソナタに始まりチャイコやリストなど。最初のモーツァルトは個人的には子供の頃ピアノの発表会で演奏したこともあって懐かしい。軽妙なタッチ、細やかに神経のいきとどいた繊細さ、とても感銘を受けた・・・・私の演奏でしかこの曲を聴いたことがなかったこともあって、とても感動した。
 さて上原さんからの贈り物、最後はショスタコのピアノ・ソナタ第1番。20歳前後の若書き。後年のショスタコを思わせるものは少ない。現代的な厳しい和音(トーンクラスターも出てくる)、無調的でメカニックな、血も涙もないような作品。しかし、音楽の推進力だけは凄く感じられ、わからないなりにもぐいぐいとひっぱられてしまう。こういう形で、いままでのショスタコ像(交響曲第5番や「森の歌」)とはかけ離れた作品が身近に感じられるようになるのは嬉しい。しかし、彼女も挑戦的だな。こういう番組なのだからせめてラフマニノフくらいまでで止めておくのも手であっただろうに(「ピアノの贈り物」というNHK側のタイトルからしても)、最後に、大半の人が拒絶反応を起こしかねないショスタコのバリバリ現代音楽を持ってきて。本放送、再放送とも深夜の放送だが、悪夢を見そうだ(私は免疫があるので二日とも悪夢にはうなされなかった)。ただ、彼女の心意気は買いたい。よっぽどの自信作であろうし、大衆迎合しないところは良いと思った。
 さて、その他、BSジャパンにても特番あり。本日8/17午後9時。2週間前にも同じ枠で、コンクールでの2曲の協奏曲をやっていてビデオ録画済み。まだ見てはないけれど。彼女の活躍と、さらなるショスタコ演奏を個人的に望むところ。

 ニールセン、ショスタコと2つの最近の私の体験からすると、状況が変わってきたなと感じる。
 ショスタコは今や、自分から動かなくてもいろいろな演奏や情報が手に入る時代になった。ショスタコの評伝も新たに日本語訳されていたな・・・まだ未入手・・・ただ、情報にしろ演奏(生にしろCDにしろ)にしろ、自分がそれを逐一確認するのはもはや出来ないほどに、いろいろ出てきている。そういう意味でもうショスタコはアングラ色はもはやなく、ベートーヴェン、ブラームスらと並ぶクラシックの王道の仲間入りはしつつあるような気がする。
 それに比べて我がニールセン。CDでこそ店頭で見かけるようにはなってきたが(ただ名古屋では最近ほとんど見かけなくなりつつあり危惧している)、文字としての情報などとにかくいろいろ探し回らなきゃ、ないわけだ。中古レコードの解説に一喜一憂している自分がいるわけだし。まだアングラ的部分を多分に残している。そんな状況故にまだまだニールセン熱にうなされた生活を今後も当分送ることとなりそう。

(2002.8.17 Ms)


 世間では盆休み。しかし私は今週一杯は仕事に追われっぱなし。というわけで、先週は一足はやく一日だけ休みをとって土日と合わせて上京、小旅行を敢行。行きは18きっぷ鈍行の旅。昼ご飯は春休みと同様、清水港にて、おいしい魚をたっぷり。夕食は、かねがね興味をもっていたフィンランド料理店「キッピス(乾杯の意味)にて、お試しコース。杉並区西永福駅前のこじんまりした店。欧風料理をマスターしたご主人、日本にフィンランド料理店がほとんどないので立ち上げたとか。カレリア・パイも出てきて、昨年のカレリア旅行をしみじみ思い出す。東部カレリア地方の魚料理もいいね。ベリー付きの魚料理、いかにもフィンランドだ。今後もご贔屓にしたい。ただ、フィンランド・ビールは東日本では入手不可とのことで残念ながらなし。輸入元の関係で大阪近辺では手に入るらしいけれど。

 幕張メッセにて恐竜博を見る。童心に帰って。しかし、この20年以上、恐竜への興味からは遠ざかっていたが、楽しいものだ。ちなみに私が帰った後、小泉首相もやってきたとか。
 音楽ネタとしては、輸入楽譜の「アカデミア」さん、同じ本郷ではあるがこの月末引越しとのことでセール中。いろいろ買い込んだ。「ペトルーシカ」の原典版(ドーバー)、900円。まだまだ在庫多々あり。その他、ベルリオーズの「5月5日作品5」なんて珍しいのがあったので曲も知らずに購入、500円なり。バス独唱と混声合唱とオケのための作品、副題は「ナポレオンの死に寄せる歌」。なんでもナポレオンの遺骸が帰国するナポレオン・フィーバーの時代の作らしい(スコアでは1832年の作とあり)。興味を引いたのは、唯一の打楽器、大太鼓(それもmolto grande)。特注の巨大大太鼓を使って、ドッカーン!!ではなくて、弱奏を4発だけかいな淋しい。でも、その部分の彼のコメントは「遠くで鳴る大砲の音」。なるほど、「ラコッチィ行進曲」中間部の発想の先駆けと言えそうだ。また、200円で、ハイドンのお気に入り86番も。
 その他、安くはなってないがニールセンの作品2「オーボエのための幻想的小品」も買い。初めて見つけて嬉しい。ハーモニーが面白いもんね、これ。ピアノパートを練習しよう。また、読みものとして、「ExMusica」第6号。黛敏郎特集などなど。貴重な資料ではあろう。海外ニュースにて、ショスタコの新作「フィンランド組曲」の紹介も。

 ディスク・ユニオンにて、ショスタコの歌曲全集の第1巻(1950−56)購入。話題のDelosレーベルのもの。ちなみに隣に有った第2巻は最晩年のもの。今回購入の第1巻は、人類史上初めて宇宙で鳴り響いた旋律、「祖国は聞いている」なる歌曲の入った作品86(1951)の世界初録音が貴重。宇宙飛行士ガガーリンが、宇宙船で歌ったことで話題のもの。音楽的には説教臭い、妙に落ち着き払った雰囲気の、いわゆる社会主義リアリズムの模範回答か。その前の作品84の中の「コーカサスの朝」と鋭い対比だ。これが調性不安定、変拍子。この落差がとても印象的な1枚(その2曲しかまだ聴いてない)。でも、「祖国は聞いている」はショスタコ・ファンなら是非押さえたい。何せ、ソ連の有人宇宙飛行という人類史上の輝かしい一歩の背景に有る音楽なのだ。宇宙時代の到来とともに、ショスタコのこの歌がますます歌われることであろう・・・・か?
 その他、ブラームスの管弦楽つき合唱曲「勝利の歌」作品55。普仏戦争勝利、ドイツ帝国成立の賛歌・・・ブラームスと政治との珍しい接近を示す。しかし、バッハ、ヘンデル風で祝祭的なニ長調・・・交響曲第2番の先駆のような響きも。さすが、ブラームス!ベートーヴェンの「ウェリントンの勝利」みたいなところまで堕落はしない。あなどれん。
 スコアも安く入手、ニールセンの1番。ただ6番だけはまだ安くなったのを見てないので未入手のまま。

 渋谷タワーレコードにて。さすが、ダスビ・シンパのCD屋。次回の曲目も紹介。噂の通り、7番「レニングラード」の再演。「黄金時代」。そして、意表を突いて、ロシア・アバンギャルドの金字塔!モソロフの「鉄工場」!!!!こりゃ凄いよ。金管打炸裂の、大音響のコンサートじゃ。CDも店頭にズラリ並んでいました。・・・・ただ、再演というのがやや気になるな。全集頓挫なのかと心配しちゃうな。聞きたいのはやまやまなれど、全集こそ期待したい。頑張って欲しい!!(あともう1曲、「葬送と勝利の前奏曲 作品130」も取り上げるとのHP情報あり。9/16追加)
 さて購入CDはニールセン。オーデンセ響の全集より2番を。カップリングが初期の劇音楽「スネフリズ」。2,3分の小品ばかりだがまずまずの面白さ。1番第2楽章と同じ楽想がまた出てきた(歌曲にもあり)。よっぽどお気に入りなのかな。マーラー、ショスタコの初期のような使い回しだ。

(2002.8.12 Ms)
(2002.9.16 Ms)


 つい先日、そう遠くない場所で1歳の子供が連れ去られ、海で死体として発見(愛知県御津町<みとちょう>にて)。近くに住む者として大変心配である。今の土地には4年ほど住んでいるが、いろいろマンションやら商業施設やら、開発が進むとともに、夜の喧騒なども激しくなり、治安に対する不安も正直、以前よりは増している。こんな田舎も物騒な世の中で。心も休まらないな。
 そんな中で、音楽は常に私を癒しつつ励ましつつ。憂さ晴らし。久しぶりに、これぞ、というCDとの出会い。高校大学と常に私の傍らにあり、一時は私の自画像のような気さえしていた(?)ショスタコの交響曲第6番。待望の新譜がでた。1967年のコンドラシン&モスクワ・フィル、日本公演(私はまだこの世にいない)。マーラーの9番の日本初演やチャイコの「悲愴」など既に3枚ほどライブ版は出ていたが、とうとう出ました、ショスタコ。カップリングはオイストラフをソリストにした同じくショスタコのバイオリン協奏曲第1番。とにかく聴いていただきましょう。ライブならではの粗さはあろうが、かなりテンション高く、打楽器的にもオヤと思わせる箇所もあり、是非とも揃えていただきたい一品。でも、こんなコンサートに行けたらホント涙してしまうだろうな。ロシアの音、全開で懐かしさもあり、惹きつけて止まぬ。
 最近、ニールセンに傾倒しすぎていて、ショスタコのこの6番も久しぶりに聴いたことになったのだが、独身時代の自分のいろいろな風景がよぎるようで、また、自分史的にもなつかしさあり。jまた、そういや、今、自分は、ショスタコがこの6番を書いた年齢であることをふと思う。一心不乱に、社会の中でしがみつき、心の中では社会に対して斜に構え、与えられた場所での人生を格闘している様を改めてショスタコの中に見るようで感激も新た。3楽章制の「序破急」が、心の内面から外面への感情の変容のようでもある。自身の小ささと如何ともし難い他者の力への諦観、諦観を以って抑圧できぬ醜きものへの怒り、そして、それらを吹き飛ばすユーモアと忘却、さらには姑息な社会性・・・・。それこそが命を救う。
 現代社会における我が人生、ショスタコとともにあり、か。

 BSにて「ラフマニノフ・メモリーズ」なる番組。海外ではいい番組つくってるなぁ。ラフマニノフの生涯を本人が娘に語る、といったあらすじのなかに、彼の生前の映像やら、ロシア革命で破壊された彼の別荘を再建し孫をロシアに招待、ロシア時代の彼の生活ぶりなど紹介するコーナーなど。もちろん、彼の名曲の数々もふんだんに折り込まれ。交響曲、協奏曲のみならず、歌曲、オペラ、当然ピアノ曲など幅広い分野からの選曲。なかでも、ロシア正教の賛美歌などは珍しいもの。革命と戦争、海外での生活のためのピアノ演奏の苦労と作曲の敬遠・・・・交響曲第1番「死の島」が繰り返し流れるのも、彼の本質的な部分を捉えているかもしれない。その合間に、ピアノ協奏曲第2番や第3番は軽く流されるだけ。ちなみに、ゲルギエフがよく振っていたし、インタビューも交え大活躍である。さて、やっと手にいれたスイスの別荘、穏やかな生活の中で作曲に打ち込む・・・パガニーニ狂詩曲・・・・しかし戦争、アメリカ亡命・・・再び安住の地を追い出され、人生の最後を異郷にて・・・交響的舞曲第1楽章中間部のサックスによる悲歌・・・とにかく泣けるなぁ。そして、そういや交響曲第2番が出て来ない・・・・と思ったら最後に第3楽章がとうとうと流れ出て、感動の幕。ラフマニノフなる音楽家の全体像をみごと敷衍した好番組。再放送あれば是非どうぞ。ピアノ協奏曲2,3番と交響曲第2番だけじゃないんだよなぁ、くどいようだけれど。

(2002.7.30 Ms)


 先週末は金沢への小旅行。梅雨最後の大雨が予想される中、結果として梅雨あけの暑い真夏を思わせる気候となった。金沢城周辺散策。初めて訪れた頃はまだ金沢大学キャンパスであった。今やキャンパスの面影は皆無、城の再建など進み公園として着々と整備されている。そんな中で、いろいろ話題のNHK大河ドラマにちなんだ加賀百万石博なるイベントあり、立ち寄った。特記すべきは特になし。キャストやあらすじについての再確認ってところか。ちなみに百万石占い(?)をやってみたら、私は「秀吉」タイプと出た。ちなみに男子は、「信長」「秀吉」、そして「家康」ではなく、「前田利家」「佐々成政」の4人に分類されていたという随分レアな占いではある。そこそこ賑わっていた。
 夜は、アンサンブル金沢のホームグラウンドでの定期など楽しむ。ハイドンの「ロンドン」と「告別」、そしてオルガン・ソロを迎えてバッハの小品と、ドイツ後期ロマン派の忘れられた大作曲家ラインベルガーのオルガン協奏曲第2番。なかなかに面白く楽しめた。詳細は別途。「告別」については、そもそも、夏休みをなかなかくれない領主さまへのストライキの意志表示としてのこの交響曲、を再認識。これで夏休み前の仕事は終了ってか。いいなぁ。夏休み。今年の私は細切れの休みしかないものなぁ。それはさておき、最後は照明を担当したと思われる方にも拍手拍手。確実な演奏と洒落た演出、いいコンサートでした。
 帰りは翌日のんびりと青春18きっぷなど駆使してのリーズナブルな移動。途中、マス寿しなど日本海の名物なども充分に食しつつご満悦である。夏の小旅行その1でした・・・・ちなみに今年は海外逃亡は不可につき残念至極。

 偶然手にした、「ショパン」8月号。ピアノの専門紙などなかなか読むこともないが、チャイコフスキーコンクール優勝の上原彩子さんのライブCDなど付録でついていたので購入。チャイコのピアノ協奏曲第1番第1楽章その他。細かなところまで考えぬかれた演奏と思った。微妙な節回し、テンポの揺らし方など、私が今まで聴いた演奏とは違う面が際立って聞きとれた。他にも聴きたいところだが、パガニーニ狂詩曲や、ショスタコのソナタ第1番などはCD化の予定とのこと。興味津々だ。
 ちなみに、「ショパン」誌、懐かしいお名前が。日本ロシア音楽協会を主宰、「シンフォニア」という同人誌を作られていた鮫島さんのお名前。チャイコフスキーコンクールでのレポート記事。ご活躍されているようで何より。10年くらいまえだろうか、まだロシア・ソ連の音楽に関する資料がほとんどない時代、「シンフォニア」はかなり先駆的な活動として目を見張ったもの。
 その他、ショスタコ、プロコ、ハチャトリヤンなどをジダーノフ批判で次々と槍玉に挙げたフレンニコフ氏がプーチン大統領の隣に鎮座する写真。まだまだ重鎮ぶりを見せつけた。半世紀以上、激動のソ連・ロシアの権力者の傍らに座り続けた作曲家・・・・これはこれで凄い人間ではある・・・・ショスタコ、まだまだ、そう遠くない過去の人だとフレンニコフ氏とプーチン大統領のツーショットを見て思う。
 あと、「モスクワの音楽風景」と題して、モスクワの音楽関連情報。なども面白い・・・・ショスタコの墓もありました。我がHPとしても、「ショパン」誌購読をオススメいたしましょう!! 

(2002.7.23 Ms)


 生演奏ニールセン目当ての久しぶりの上京(アマデウス・ソサイエティー管弦楽団さんに感謝感謝)、CDもどっさり買い込んだ。ショスタコの「ジャズ組曲第2番」2000年のプロムスで初演された、シャイーのCDとは全く別物の代物。初CD化。最近発掘された「フィンランド組曲」も収録、かなりの珍品CD。その他、ニールセンのオルガン作品「コンモティオ」のオケ編曲版(2000年、私がデンマークに旅行した時、オーデンセのホールでポスターが貼られていたなァ)。さらに、ブラームスの歌曲選集(ニールセンの室内楽曲「甲斐なきセレナーデ」と同名タイトルの歌曲op.84−4を確かめたくて)、さらにブラームスの合唱曲集(私もとうとう後半生?を意識して、ブラームス作品全制覇目指して始動、というわけか・・・・ニールセンのオケ伴付き合唱曲との比較をしたいというのと、意外とティンパニ・パートに面白いものがありそうなので一度耳にしたかったというのが理由)など購入、じっくり時間をかけて楽しみたいと思っている。(2002.7.7 Ms)

 とりあえず、ざぁっと購入CDなど聴くがイマイチなもの多く残念か。まず、ショスタコ「ジャズ組曲第2番」、これはプロムスのビデオ録画があれば充分、という程度のものか。その他の曲も演奏面で、ここがいい!ということもなく。ショスタコの新曲も無条件に飛びつきゃいいってもんでもないな。
 ニールセンのオケ編曲CD。どうも編曲が気に入らない・・・・かなり現代的。ニールセン風な感じは受けなかった。「コンモティオ」よりも、バイオリン・ソナタ第2番で強く思った。第3楽章の気楽な雰囲気が好きなのだが(交響曲第2番の第2楽章のようなイメージで捉えていたのだが)、金管打が猛烈に主張してたりしてチョイとガックリ。最後に意味ありげにGの音をバイオリンがオクターブでクレシェンドを何度もするところさえ、ソロを消して金管にやらせていて、そりゃぁないでしょうに。不満も多々ありつつも、初期歌曲の編曲はまずまずか。・・・マーラーの歌曲みたいなややオーバーな雰囲気も無い訳ではないが・・・・。ただ、このCDに触発されて、私もニールセンの作品を研究(そんな大袈裟なものでもないが)したくて、作品の編曲などやってみたいと思った・・・梅雨明けそして寝苦しい眠れぬ夜にふと頭をよぎる。夏休みの宿題?そんな休みも無いのだが。弦楽四重奏曲第1番の管弦楽編曲、交響曲第3番第1楽章の吹奏楽編曲、というのが夜に受けた啓示、うーん果たせるかな。演奏する当ては無くとも勉強のため。ショスタコも「証言」のなかで好きな作曲家の作品の編曲はとてもためになるよ、と言ってるしね(彼の場合は、ムソルグスキーの歌劇とか、ストラビンスキーの詩篇交響曲でしたっけ)。
 あと、ブラームスの歌曲そして合唱曲、これは時間をかけてじっくり付き合いたい。まず「運命の歌」Op.54の存在は気になるところ・・・大学時代、ブラームスの交響曲第1番を演奏した時のアンケートで、この交響曲を始めて聞いたという合唱団の学生から、この「運命の歌」を思わせて感動したとのコメントあり、この10年来、気にはなっていたもの。ベートーヴェンの足音を聞きながらの作曲の一例であることは一聴にして明かな作品。ハ短調、運命動機・・・・。興味深い、私にとっての新たなるフロンティアといったところか。ドイツ・レクイエムへの最近の傾斜とも連動はしているのだけれど(あぁ私も変わったものよ。ニールセンへの没入は必然的に私をブラームスの知られざる作品へと誘いつつある)。
 最後に、中古で購入した、ブルックナーの3番。これがオススメ。やや悪意をもって?ロジェストベンスキー指揮の、REVELATIONレーベルのもの。もう入手不能だろうけれど。何かの紹介で、必ずやお笑い、てな感じで気にはなっていたのだが、やってくれた。とにかくロシアンブラス全開(1972年録音)、神々しさというより生々しさ。この演奏はブルックナーファンは?となろうが、私には随分親しみを感じさせる好演と映る。とにかく爽快。チャイコやショスタコのようなブルックナー、恐いもの聞きたさ、でいかが。

(2002.7.20 Ms)


 驚喜。感激。なにがって、そりゃ「ランラン」です。・・・・などと意味不明のようだが、さにあらず。N響定演でみごと、ラフマニノフの3番の協奏曲を弾ききったピアニスト、それが「ランラン」氏である。BSにて偶然、彼が第1楽章は後半の長大なカデンツァを独壇場で凄い様相でやってたもんだからついつい寝るのも忘れて、疲れのたまった金曜深夜ながら一気に最後まで見てしまった。とにかく、ガツガツ、ドカンドカン、ピアノが壊れんばかりに体当たりの熱演。まだ若干二十歳、若さ故にパワーと確実な技術力(運動神経もまた凄い)で押しまくるのだが、それだけではない。とにかく、顔、そして体全て。ランラン氏の総体が音楽を視覚化したかのような、とにかく見ていただくより仕方ない。この演奏は聴く価値もあるがそれ以上に見る価値がある。HP上の評判を見る限りでもかなりのセンセーショナルな取り上げ方をされているようだ。
 私の好感は、2点。演奏家としての彼に対する好感。とにかく、不要な動きも多々あるという批判もあろうが、音楽と自らが一体化して完全に音楽に没入している姿・・・・。外見だけならはったりにすぎないが、それだけの外見プラス確実な演奏、ということで見るものをうならせてしまうな。私もティンパニストとしてだが、かつてそんな演奏を意識したこともあるが、年齢とともにそういう要素は消えつつもあり。何か、私を奮い立たせる演奏と映った。
 あと、彼に対する一部の「ラフマニノフなのに、内面からにじみでるロマン性のかけらもない・・・・」といったコメントに対しての私の考え。これぞ、早過ぎた野蛮主義者としてのラフマニノフの姿を前面に押し出した演奏ではないか?という点での好感。私の感覚としては、ピアノ協奏曲第2番の影を引きづって彼の作品を見るのはどうか、とつねに思う。やはり彼の隠された本来の姿は、悪魔的かつ強暴な第1交響曲にあるんじゃないか(それを把握しておいてこそ、特に最後の作品「交響的舞曲」フィナーレについて感じられる違和感が解消されないか)。ただ、その初演の失敗が彼をして、師チャイコフスキーへの回想を込めつつ、ロマン溢れるピアノ協奏曲第2番を書かせただけで、その後も何かにつけて、(当然、ピアノ協奏曲第2番で確立した書法も確かに受け継がれてはいようが)第1交響曲的な世界が背後に存在し、その復権を狙っている、と感じているのだ。今回の演奏は、その、大多数の人が彼に期待するところのアメリカ・ハリウッド映画音楽風な感触の「遅れてきたロマン主義者」というレッテルではなしに、将来ストラヴィンスキー、プロコフィエフらを輩出することとなるロシアの「早過ぎた野蛮主義者」としての彼の側面を伝える、凄みに満ちたものと感じた。
 とにかく、ランラン、聞いて欲しい、見て欲しい。次は、プロコフィエフのコンチェルトとかいけそうじゃない?

(2002.6.22 Ms)


 友人の結婚式。愛知県は北部、犬山市、明治時代の建造物の建ち並ぶ「明治村」内の教会にて。幸せそうな二人を見るのは良いことだ。こちらも幸福な気分になる。式中、オルガンで「フィンランディア賛歌」など流れて驚き。そんな要望でもしたのかしらん?と思いきや、さすがにそんなオプションはなし。偶然のことと。
 馬車に乗ってお二人はそのまま村内引き回し。ハズカシや。でも、こんな経験できんわな。いい思い出となったことでしょう。
 そんな二人が去った後、我々打楽器軍団3人は、教会横の劇場「呉羽座」の片隅で、結婚披露宴の出し物の最終リハーサル。さてはて・・・。
 披露宴は、市内に戻ってホテルでのレストラン・ウェディング。カラオケもピアノもないし、スペースもそんな広くない。オケ関係者の結婚式とはいえ、大々的なアンサンブルも出来ないわけ。そんなわけで、ギター弾き語りとか、カラオケテープ伴奏つきサックスのソロ、とか、地味ながらも心温まる出し物。なんだか良かったなぁ。今まで、私の経験だと、オケ関係者を集めて妙なスタイルのアンサンブルなど仕立てて(偶然、弦楽カルテットになる、なんてことはなかったなぁ)いろいろやってきたのだが、シンプルなのがいいね、やっぱり。今回、私の感激は、ドヴォルザークの「母の教え給いし歌」。これ、彼の最高の旋律美をほこる作品だと思う。ひさしぶりに聴いて、なんだか懐かしさと、切なさと。新郎新婦共通のご友人夫婦が、旦那さんのギター伴奏にて奥様が歌ってみえた。私の結婚式体験の中でもかなり印象が良かったです。
 まだまだ書きたいことはあれど今、時間もない。また続きは後ほど。そう言えば、先日のワールドカップ、日本対ロシア戦。日本の歴史的勝利の影で、ロシアでの大暴動騒ぎ。新婚旅行、大丈夫だよねぇ。確か、もうその頃はロシアを脱出、フィンランドに着いているはずだが・・・・。ああうらやましや。(2002.6.11 Ms)
 さて、その結婚披露宴、BGMのマニア度の高さはなかなか。やはり、今までの経験では、新郎新婦入場でのサン・サーンス「オルガン付き」のまさしく第2楽章第2部、オルガンの荘重たるハ長調の強奏部分から、というのが強烈。といおうか、はまり過ぎて笑ってしまうくらいだった。これを越える場面はまだ目撃したことはないが、今回の、マーラーの5番フィナーレ、オルガンバージョンなんてのも、素晴らしいムードではある。その影響からかつい最近、ブラームスそしてエルガーのオルガン作品集なんてのも中古で購入してしまった私ではある。まぁ、披露宴以外にも、ワールドカップ、日本ベルギー戦の歴史的な初の勝点ゲットの裏で放送されていた、イギリスのエリザベス女王在位50年式典をちらりと見たら、「威風堂々第4番」のオルガン版が流れててこれまた感激させるものあり。そのものは収録されていなかったが、「エニグマ変奏曲」の「ニムロッド」のオルガン版など収録されていたのでそのCD即、買いとなった次第(実のところは、ウォルトン生誕100年だし、彼の作曲した女王の即位のための戴冠式行進曲がきけるのか、とおもってちらりと見ただけ)。それは、ともかくとして。
 披露宴でのBGM、乾杯そしてご歓談は、ヨハン・シュトラウスU世の「こうもり」序曲あたりから始まってワルツがいろいろ出てきてまぁ無難な滑り出し。お色直し中に、ブラームスの2番の第3楽章やら、プロコフィエフの7番「青春」の第2楽章やらとどんどん毒気も出てきて、果てはショスタコーヴィチのバレエ組曲だったりして。明るく晴れやかな雰囲気で終始しておりました。各テーブルへのケーキのサービスは、「くるみ割り人形」第2幕のお菓子の国のさまざまな舞曲を聴きながら(ご親族の方も、聞いた事ある曲がいろいろある、と仰っていましたっけ)。そしてお開きは、またしてもマーラーの5番、第3楽章。・・・踊りだしたくなるような彼らの気持ちの反映ということでしょうかね・・・舞曲とスケルツォの祝典。今回聞きそびれた第4楽章はお二人用にとっておき、ってところかしらん。あと、個人的には、下世話ながらやはり「ニールセンの競技的3拍子もおわすれなく」ってところか。
 そんなBGMの合間に、私的には披露宴では初の打楽器アンサンブルの演奏。とはいえ、場所もないし、楽器もない。ボディ・パーカッションってこと。実は、元N響団員の岡田知之率いるアンサンブルでも、また、岩城宏之指揮のアンサンブル金沢でも、アンコールでやっていた一品。結構楽しい曲だ。私が膝を8ビートで叩きつつ、皆でいろいろ体だけで勝負。一人一人のソロもあって面白い。ただ、こんな場で披露するのが相応しいのかは個人的におおいに不安もあったのだけれど、皆様の暖かい拍手もあって安心安心。これからも使えそうか。
 しかし、どうも足がだるいなぁ、と思いつつも家路につき、ズボンを脱いで驚き。両膝とも一面に真っ赤。内出血だ。ちゃんと打点はぶれてないのか指の形もうっすらと・・・・ホントですよ。そういや、レストラン、結構広くて音が聞こえにくいだろうとかなりエキサイトしてやってはいたのだが、自分の体をこんなに傷めていたとは・・・・。半年間の実演不足が一気の爆発しましたか・・・・・。明治村、呉羽座の片隅からヨソ様の目に耳に触れる事となった、このアンサンブルをもってまた半年ぶりに私の演奏活動も始動開始、となりますかどうか。

(2002.6.15 Ms) 


 今年はオリヴィエ・メシアン没後10年。そして4/7が命日だったとのこと。偶然NHK−FMにて特番を聴いてしまった。世の終わりのための四重奏曲。そして、トゥーランガリーラ交響曲。久しぶりだなァ。CD持っていないが、高校の頃、エアチェックしてボチボチ聴いていて、久々に聴くと、めくるめく極彩色の音の洪水がなんとも心地よい。そういや、最近地味な曲ばっか聴いているな。ピアノ、打楽器各種、管楽器の雄叫び、そして何と言ってもオンド・マルトノ。すっかり魅せられてしまった。やっぱ、私の本質的な興味関心は中学の頃から、音色、にあったはずだった。シンセにハマリ、打楽器に精進して・・・・という学生時代の頃の自分をふと思い出したのであった。メシアン、そういや我がHP初登場じゃないか?今後、HPに登場する余地やありやなしや。
 N響アワーもテーマが、トゥーランガリーラになってて驚き。第5楽章の、鼻歌で歌えてしまうヨナ抜き音階風の部分だ。これでメシアンも多少は親しまれる時代となりますか?

 さて、4月から職場も変わってなかなかに大変である。法律をとにかく猛勉強しなきゃ話にならん。まぁ、シューマンもチャイコフスキーも法科出身だったわけだし、法律も音楽もまずは厳格なルールあってのこと、しかし、そのルールに乗りつつもいかに人間の自然な感性に馴染ませるかが大事なわけで。ともかく、今後も地道に音楽と仕事と両立させつつ自分らしくありたいもの。

(2002.4.13 Ms)


 3月の上京、緒方恵さんのヴァイオリン・リサイタル目当て。最近、北欧の作品集をCD発売したばかり。それと連動してのリサイタル。ニールセンの1番のソナタを始めて聴く。なかなかに難解な雰囲気はある。しかしフィナーレは、後年の交響曲第4番の最後の部分を思わせるなだらかでおおらかな3拍子のメロディー、面白い部分も多々あり。その他、スウェーデンの作品をいろいろ聴く。ボー・リンデのソナタなど、調性感もあって親しみやすい。こういった活動、地味ではあるが、是非続けて行って欲しいもの。隠れ名曲との出会いもまた楽し、です。また詳細はトピックスにて書くつもりです。

 ちょっと金欠ということで、久々に「青春18きっぷ」での上京とした。朝8時前に出発。豊橋、浜松、と乗り換え、10時に静岡に降り立つ。駅ビルで土産など物色。帰りにまた立ち寄るため。11時に清水駅着。駅からほど近い港にある「河岸の市」で、港であがった新鮮な海産物を入手。富士山を仰ぎ見つつ野外にて食す。寿司もうまい。特にトロのうまいこと。タコわさび、なんてのも美味である。昼食後、興津、富士、沼津と乗り換えて、2時頃、東京行きの列車に。3時半頃東京着。ショッピングの後、リサイタルへ。
 帰りは翌日、朝8時半頃ホテルを出、9時過ぎに伊東行き快速に乗る。熱海の次、来宮で下車。由緒ある旅館内の「まご茶屋」にて「まご茶漬」を食す。江戸っ子好みのマグロのお茶漬け、らしい。熱海市街をざっとバスで通り過ぎて、湯河原もちらりと立ち寄り(大橋巨泉議員辞職によって繰上げ当選のフィンランド人ツルネン・マルテイ氏、町会議員を努めた地でもある)、沼津乗り換え、また清水によって土産買い。桜えび、甘えびなど。さらに、静岡にて、タコわさびなど。当分、食卓を楽しませてくれるだろう。また、駅前の郵便局内に音楽ホールがあるのでのぞいて見ると、地元音楽家のオーディションのようなものをやっていた。開館より6年あまり、その歩みを記した冊子なども見たが、なかなか現代音楽まで含めてさかんな活動がみられる。今後、チェックしてもよかろう。
 静岡を4時頃出て、掛川にて下車。静岡名物の一つ、とろろ飯の老舗へ。とにかくスルスル御飯が入る。この二日、和食万歳、って感じ。余談ながら、掛川の次の駅は「愛野」(アイノ)である。ジュビロの本拠、磐田に近く、スタジアムの最寄駅として最近できた駅か。せっかく「アイノ」なる地名なのだから、フィンランドをテーマとした町作りなどいかがか。「アイノラ」を建てて、日本のヤルヴェンパー、なんてのを売りにしたら・・・・などと想像するのは私くらいなものか?さて浜松、豊橋と乗り換えて7時半には帰宅。たまには、旅らしい旅もいいもの。いつもの新幹線は便利だけれど、たまにはこんな旅も楽しい。

 CD情報、新宿のタワーレコードに今回始めて寄ってみたが、渋谷程ではないにせよ品揃えもある。最近話題のカラヤンのソ連ライブ購入。ショスタコの10番。これは凄い。重厚でかつ深みのある雰囲気。第1楽章冒頭からして引き込まれる。第2楽章の迫力もいい。どうも打楽器類の近くにマイクがあるらしい。小太鼓が壮絶な勢いで聞こえている・・・・ドラムスの強調がハードロック的ですらある?シンバルやドラの音もひずんでるなぁ。ホルンの咆哮は随所でカッコイイ(ロシア・オケにはない雰囲気だ)。金管の重さ、低弦の存在感なども曲の持つ雰囲気をおおいに強調する結果となっている。一度聴く価値はあるでしょう。

(2002.3.15 Ms)


 CD購入情報などなど。
 2/11のダスビ上京にて、会場で昨年の演奏CD購入。なつかしく、また感動新た。ショスタコ12番、感想をHP上でまた1年ぶりに続けなきゃ。CDを聴いていろいろまた蘇る。
 遅ればせながら、バルシャイのショスタコ交響曲全集も買い。プラスチックケースのスリムじゃないセットしかなかった。3000円を切るロープライス。とりあえずダスビからの帰宅後にHPネタを思い出すためにもまず2、3番を聴くも、断然ダスビの方がしっくりくる。確かにバルシャイの得意そうな曲ではないだろう。あと、重厚長大、あまり深刻な作品も聴きたくない昨今、続いて15番を聴いてみたが、イマイチ。また生活に余裕が出来たら、名演と思われそうな作品を聴いてゆこう。とりあえず買っておいた程度のまま半月すぎてしまった。どうも疲れてるとショスタコの交響曲に向きづらいな。
 名古屋に行ったついでに、今池のラ・フォーレなるCD屋に立ち寄る。ニールセンの劇音楽(隠れ名曲で紹介した「母」をメインにその他、珍しいものもあり)、歌曲集(ただし戦前の古い録音ばかり)など購入。満足。彼の作品の重要性、交響曲と歌曲に重きがあるとの指摘もよく見かけるが確かに、いろいろ面白いものあり。また整理して皆さんにご紹介したい。最近、ニールセン初期(特に交響曲第1番より前の作品)に凝っている。ニールセンの個性が花開く瞬間の作品群、とても面白い作品だらけだ。
 ということで、2/23は横浜にてニールセンのオーボエ作品を聴く。名古屋でやってくれなかったのは本気で口惜しい。とてもいい曲なのに・・・・。そのコンサートの詳細はまた。
 この上京にて、BIS新譜2枚。まずは、やはりニールセンヴァンスカ、BBCスコティッシュの1,6番。やはりピアニッシモの語り口はヴァンスカならでは、か。でもシベリウスとちがってニールセンでそれが成功しているかは?ただ、細やかな曲作りはしている。普段聴き取りにくい内声の動きも聴き取れたり面白い面はある。テンポの設定、1番はあまり好みではなかった。個人的には6番の方がしっくりと聴けた。やはり、3,4,5番を早く聴きたい。今のところ1,6番は、超オススメとまではいかないか・・・。ブロムシュテットは越えていないとの感想。
 もう1枚は、オストロボスニア室内オケショスタコ。1939年の「フィンランドの主題による組曲」世界初録音。DSCH社から最近出版されたもの。音楽としては、熱狂できるほどのものではない。室内オケの伴奏で男女の声楽ソロ。素朴な民謡をそのまんま生かしている。雰囲気は「ユダヤの民族詩」に似てはいるものの、それよりは遥かに単純。決して名曲の仲間入りする代物ではないだろうが、CD解説によるとフィンランド、シベリウスなどとショスタコとの絡みでいろいろ面白いことも書いてあり、その解説部分は買いだ。それこそ上記の12番、メインテーマがシベリウスの「レンミンカイネン組曲」のテーマの一部と同じとの指摘は興味深い。まさか、レーニンレンミンカイネンを掛けてるの?あと、バルシャイ編の室内交響曲2曲(弦楽四重奏曲8,10番)もなかなか良い演奏。オケのレベルは高いと思う。このCDについてはまた項を改めて紹介したい。ショスタコ・マニアは持っていて損ではなかろう。

 CD購入以外では、2/24のN響アワー、過去の名演にて、コンドラシンの「キージェ中尉」と「ボルト」・・・・しっかりと彼を映像で見たのは始めて・・・1980年か・・・もっと長生きしてほしかったな。特にボルトの勢いある演奏は凄いよ。フィナーレ、あんなテンポじゃやらないって普通。なんだか感動した。コンドラシン、もっと知りたい指揮者だ。

(2002.2.26 Ms)


 N響定演、1月は、パーヴォ・ヤルヴィの指揮。TVにて鑑賞。シベリウスの5番。やや速めのテンポで落ち付きがないような気がしないでもない。最後の断続的な和音の大袈裟さ(休符がえらく長いですね)には困惑気味。面白くは聞けたのだが。
 意外と良かったのはシューマンの1番「春」。第3楽章のテンポ感は一部聴き慣れないものではあったが、とにかく生き生き溌剌としていて好感持つ演奏ではあった。
 シューマンと同じコンサート、アルヴォ・ペルトの交響曲第1番「ポリフォニック」は良かった。彼の交響曲3曲は随分昔BISのCDで聴いた記憶はあるがさっぱり曲の内容は忘れていた。第3番は今の彼の様式に連なる美しさを持っていたと記憶するが、この1番は12音技法による作品とのこと、なかなかに難しい。のだが、リズム感はしっかりと安定、わかりやすいビート感などももっており興味深く聴けた。第2楽章の後半のエキサイト感覚はポピュラリティを得られそうか。・・・・余談ながら、この最後の部分のダダダダダン、というリズムモティーフ、ティンパニや小太鼓で何度も繰り返されるのだが、来週東京にて聴くであろう、ショスタコーヴィチの交響詩「10月」(もちろん、2/11のオーケストラ・ダスビダーニャさんによる演奏。楽しみにしております。)をふと思い出す。作曲年代はペルトの方が数年前。この12音技法の作品がショスタコの背後にあったのだかどうだか?1960年代ソ連における若きペルトと大家ショスタコに果たして接点はあったのか?

 実は本日は貴重な代休。2001年日本におけるイタリア年の総括でもある、岡崎美術博物館での「カラバッジョ展」を鑑賞(日本では東京とここ愛知県の真ん中である岡崎のみ。平日ながらも賑わいは見せていた。しかし随分山の中まで入って行ったものだ。)。光と影の実に写実的な魅力的な宗教画の数々。そんな中に、巨人ゴリアテの首を持つダビデの絵を見つつ、ニールセンの歌劇「サウルとダビデ」を思い出し、その横に掲げられた眠るアモルと題された絵を見つつニールセンの劇音楽「アモルと詩人」(アモルとは愛の神。故にキューピッドでもあるわけか。)を思い出す。ニールセンづいている日々なのは相変わらずであった。
 さらに余談ながら、美術館の後、キャナリィロゥ岡崎店にて遅目の昼食、パスタ・スパを美味しく頂くが、それにしても平日の昼下がり有閑マダムの群れにはどうも参ってしまうなァ。あと、国道1号の怒涛のトラック軍団の恐怖と言うのも・・・。不況故にか高速道路を使わぬトラックがどんどん危険な走りを身近なところでしている。この2つの例ともに、現代日本の普段の姿なのか。・・・・・・。

(2002.2.6 Ms)


 ニールセンHPが昨年後半停滞した反動で、今年は最初からニールセンづいている。2,3月のゲヴァントハウスのニールセン6番が空振りに終わった口惜しさから、逆にいろいろニールセン・コンサート探しに躍起になり、オーボエの幻想的小品の紹介を契機に、今、初期作品などどんどん聴いている・・・とは言え聴ける曲は限られてはいるが。
 名古屋では、久々に金山の中古CD屋を訪れ、「愛の賛歌」「不滅」を含むCDを。「愛の賛歌」、とても心地よい。最後の鐘の音、救われます。
 ヴァンスカ目当ての上京、トンボ帰りながらも、御茶ノ水にて、ニールセンの師匠、ゲーゼの珍しいところで、クラリネットのための幻想的小品Op.43など見つける。ほとんどシューマンにしか聞こえないな・・・でも、前期ロマン派の流れがニールセンの出発点になったであろうことは想像できる事例だろう。
 渋谷タワーでは、翌日ヴァンスカのサイン会があるのをうらやましく思いつつも、オーデンセのオケの交響曲第3番を購入。カップリングが、学生時代の習作、弦楽四重奏曲の中間楽章を弦楽オケに編曲した版・・・こりゃあモーツァルトにしか聞こえん、美しい音楽ではあるが。でも、演奏はなかなかに良い。指揮者のSerovは、ソ連時代、ショスタコの未出版作品の録音などでも耳にした名前ではあったが、こんなところで再会したのも何か嬉しかったりする。

 さて、今年に入って日曜の仕事がいろいろと入っていてなかなかに大変。ただ、(何が何でも)平日に代休は取るのでかえって落ちついてHPのメンテ等はできるのかな?とは思っている。3週間ノンストップで仕事はできないよな、休みはほしいよ・・・なんて書くと裏目に出るかな?一般の人と違うサイクルでここ数ヶ月暮らす事になるのだが、そんな経験もまた楽し、か?意外と平日のコンサートに行きやすくはなるかな。

(2002.1.22 Ms)


 新年のクラシックTV番組ネタなど。
 昨年は、いきなり、テレビ愛知で早朝、ショスタコのピアノ協奏曲第1番はじめ海外でのコンサート映像あり、また他局でも、彼の交響曲第5番など、面白い企画が目白押しで興奮したものだが、今年はそのテレビ愛知はクラシック番組もなく低調。トピックス・ネタにはならず、だぶん・ネタ程度で、こちらでの紹介。

 1/1早朝、ベルリンフィル・ジルベスターコンサート。内容はあまりわからないままビデオ録画しておいた。「踊り」がテーマであったようだ。バッハの管弦楽組曲第3番のガヴォットあたりから始まる。ただ、番組冒頭、プログラム見て、興味はなし。ワルツをいろいろやるなかで、シベリウスの「哀しきワルツ」の存在は異色ではあったが・・・・例えばニューイヤーコンサート、いくらワルツ特集でもこれはやらないだろう、新年早々(冗談ぽく、「新年葬送」などと変換されて苦笑)。その他、コダーイの「ガランタ舞曲」など、一応聴いては見たが、とりとめもなく楽想が煩雑に入り代わり立ち代りで聴いていて楽しくはなかった。ということで、ほとんど聴くこともなくつぶされる運命のビデオであった。
 さて、その、小澤のニューイヤーは、別段興味も覚えずスルー。
 その代わりといってはなんだが、NHK名古屋ニューイヤーコンサートは楽しかった。ソリストも様々で、聴かせ所も多々。オルガンのソロで、「さくらさくら」のテーマによる即興演奏は面白かった。フランスのオルガニストのようで、いかにもフランス近代の和声感覚と、「さくら」との融合が不思議かつ心地よさがあった。ピアノ協奏曲は、ラベル。これまた美しく洒落た演奏で良し。注目は、アルチュニアンのトランペット協奏曲か。アルメニア系の作曲家のようだが詳細は調べていない。曲想はボロディン風。ハチャトリアンにも当然近い感触だが、彼よりはさらに平易、わかりやすく、安定した調性感をもつもの。もっと知られていい作品と感じた。
 後半は、ワルツ特集。とは言え、シュトラウス一家によるものではないワルツばかり、という面白い企画だ。相変わらず「花のワルツ」が含まれていてさすがに食傷気味(年末に、蒲フィルでやったのに加え、TVでもNHK大阪の聖夜のコンサート、東急ジルベスター、ベルリンフィル・ジルベスターと、とにかく「花のワルツ」づくし・・・・)だったが、アンダーソンの「舞踏会の美女」の颯爽たる急速なテンポ感(豊田フィルでの演奏とはさすが違います。名フィル・ポップスオケとしての面目躍如か?)、そして、さすが松尾葉子氏のタクト、フランスもので、幻想交響曲第2楽章、そしてトリの「ラ・ヴァルス」、堪能させていただいた。私のオケでもお世話になっている打楽器のOさんも出ていて、その活躍ぶりなども改めて確認・・・そう言えば彼女、マリンバ奏者として今度、安倍圭子やライヒ(とてもかっこいい「ナゴヤ・マリンバ」なる作品を!)を2/17に知立リリオにて演奏予定ときく。そちらも興味深い。さて、今年の年始、最も素晴らしかったのはこのNHK名古屋ニューイヤーコンサート。まず企画に魅力あり。良かった。

 さて、昨年末、大御所、朝比奈隆氏逝去。1/6、NHK、芸術劇場の枠にて追悼番組あり。大フィルのベートーヴェン7番をそれで見た。管楽器フル倍管。決して急がず、スケールの大きな演奏と感じた。縦の線のズレ、というのも微妙に感じさせるのだが(その辺りはN響をよくTVで見る機会があり、それと比較するなら、随分アラは見えてくる)、気にさせない雰囲気はある。元来、私はそれほど彼に興味を覚えた事もないのだが、特筆すべき指揮者であったことは、誠に遅ればせながら体験することができた。
 あと、1/3早朝にも民放で、「若獅子と朝比奈〜終わりなき青春」といったタイトルでの番組があったが、彼の死の前から決まっていた新春特番で(タイトルからして死の前の発想だとわかる)、一部ネット上では、あんな追悼番組許せない、との怒りもあったようだが、やや仕方ない面はあっただろう。ただ、若い狂言師が進行役で、突然、若手演奏家による「チゴイネルワイゼン」(ピアノ伴奏)があったりと、朝比奈目当てのファンにとっては時間の浪費の多い編集と感じただろう。朝比奈氏は、ブルックナーの9番第2楽章の主部再現から第3楽章、そして、同じく8番のフィナーレ、大フィルの演奏で。ブルックナーの9番フィナーレを聴きつつ、大御所の冥福を祈ります。

(2002.1.12 Ms)


 東海地方、歴史的な大雪にみまわれたこの1/3。私の住む辺りも滅多に雪が積もることもないのだが、今回は朝、畑や屋根の上に数センチ雪が積もっていました。さて、年末年始の休みも今日でおしまい。毎年、慌しく、自分の時間もないままこの休みは過ぎていくのだが、そんな中での音楽ネタいろいろ。まずは、年末編からいきましょう。

 特番もいろいろやるのでクリスマス前からビデオもフル稼働。まず、BSにて感動的なブリテンの「戦争レクイエム」。1964年のライヴ。ブリテン自身もオケとは別の小編成アンサンブルの指揮者として登場。ラテン語の通常のレクイエムが進行するなか、別働隊アンサンブルと歌手が、現代の戦争に関する詩を歌う。まるで太宰の小説にあるような二重構造が興味深く、その2つの詩の流れがフィナーレで見事に合わせ重なり、戦争犠牲者への追悼が深く心に刻み込まれる。いい曲だ。2001年を総括する意味もふと頭をよぎりつつとても感銘を受けた。

 クリスマスイヴは、NHK大阪ホール落成記念の「聖夜のコンサート」。西本智美の指揮。クリスマスソングやら、歌やピアノの伴奏指揮がほとんどで(彼女の見せ場は「花のワルツ」くらい)、取りたててコメントもなし。ただ、サンタの帽子かぶっての指揮は、ちょいガックリか。NHK朝の連ドラ「ほんまもん」のテーマは、千住兄弟の指揮、バイオリン共演・・・・作曲者の兄の指揮ぶり、慣れてないとは言え、NHKの音楽番組とは思えないレベルと感じたがいかがだろう?続く、モンティの「チャルダッシュ」に至ってはオケの人も大変だったのでは?とさえ感じる。ま、イベントではあろうが。
 ローカル系では、「楽・らく・クラシック」名フィル、コバケンの「ハルサイ」(12/7の定演)を軸にオケの裏側も含めて紹介。ストラヴィンスキーを取り上げての番組ということで企画は買いだ。ティンパニのペダル部分の解説、バチ作りの風景などなかなか好感を持つ番組作り。アマオケのパトロン、トヨタの番組だけはあった。

 12/28深夜のNHK。マンボNo.5誕生に関わる秘密、とても面白い。人種差別、キューバ革命などいろいろ複雑に絡みつつ、クラシカルな要素を含んだマンボの確立を目指すペレス・プラードの物語。例の「ウゥッ」という掛け声、実は「ディロ」と言っているそうな。トランペットの出だしを合図する「出ろ」という意味なのだそうな。つい興奮してレコーディングで叫んだらしい。キューバでは、この一件、「録音を台無しにした」とのことでキューバを去ることとなったらしい。メキシコで心機一転、大成功・・・。興味深い番組だった。

 フィンランド絡みの番組も多数あり。特に12/29,NTTがスポンサーで、IT王国のレポートは必見。ラップランドのトナカイ飼いの原住民がケイタイで連絡をとり、小学校ではTV電話での授業。日本の目指す方向にフィンランドありそうか。昨年通じて、フィンランドの映像、いろいろ楽しんだ事多し。また、番組冒頭の「カレヴァラ」朗読、さらに、オスカー・メリカントの「ヴァルス・レンテ」というピアノ曲のBGMなどマニア度も高く素晴らしい。

 大晦日、東急ジルベスター・コンサート、年越しのカウント・ダウン、ショスタコーヴィチの5番フィナーレ1曲のみは実家で見た。ただ、テンポがあまりに遅過ぎ。アッチェレランドもなかなか効かず、ちょっと好みではない。しかし、曲半ばのクライマックス、ドラ炸裂、ティンパニの両手連打の部分で突如、NYテロのビルへの旅客機突入の映像がかぶるのは凄い効果だった。一転して再現部へ向かうハープの部分は、皇室の慶事、愛子さま誕生・・・・しかし、皇室映像とバックにショスタコーヴィチとは、とんでもない組み合せだが・・・絶対「皇室アルバム」とかではあり得ない選曲であろう。これは必見であったと思う。
 あとで、録画したテープでざっと番組を見たが、カウントダウン、最後の音がなくなっても楽譜には3拍の休符があり、それも含めての計算だったと、指揮者井上ミッチーは言う。ちょっと早く終わってしくじったのか?とリアルタイムでは思ったのだが、さすが、である。
 その他、プロコフィエフ「シンデレラ」からのワルツ〜真夜中、そしてヴァイオリン協奏曲第1番など、ありきたりなジルベスター選曲ではない、滅多に地上波で流れない音楽の数々、・・・やや演奏の質は・・・・と思うところもあったが有意義なプログラムで感謝。

 最後に、昨年の反省、我がHP、随分書き散らし、未完の企画など多々あり、反省しきり。ショスタコの「前奏曲とフーガ」、「ダスビ鑑賞、12番」、さらにニールセン・・・・。どうも、トピックスを追い過ぎて、鑑賞体験記、演奏舞台裏、ばかりになってきていますね・・・本年は、その辺り方向転換したいところながらも、どうなりますか・・・。そして、お断り、インデックスの「ウラ曲解」、様々なオーケストラの既存のプログラムの曲解など、自分流にかいてみようかと思った企画ですが、企画倒れ・・・スミマセン・・・とりあえず、消しておきました。

今年も、あいかわらずこんな視点で書いてゆくことでしょう・・・本年も宜しくお願いします(2002.1.3 Ms)


過去のだぶん

2001年 2000年


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