反射望遠鏡の光軸調整をするときに使用するレーザーコリメータを作りました。
原理は大変簡単で、下の図のようになっています。 |
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レーザー発光モジュールから照射された赤いレーザー光は、反射板に空けた1ミリ程の穴を通って斜鏡で
屈折し、主鏡に到達します。そして主鏡で反射して斜鏡に戻り、コリメータの中の反射板に投影されます。
戻ってきた光点がレーザー光を通した穴に重なれば、光軸はぴったりと一致しているわけです。
光点が穴に重ならないで、反射板の別な所に投影された場合は光軸がずれているので、光点が重なるよう
に、斜鏡と主鏡の傾きを少しずつ変えて調整します。
下の写真は完成したレーザーコリメーターです。
左が接眼部への取付けるアイピースアダプターで、中ほどに反射板を確認するための窓が開いています。
反射板には戻ってきたレーザー光の位置が確認できるように、円形のスケールが描かれています。
右側の黄色いボタンは電源のオフ・オンスイッチです。
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レーザーコリメーターは3つのパーツに分解できるようになっています。
左側は接眼部への取付部、真ん中は反射板、右側はレーザー照射部です。
パーツの大部分はビクセンのカメラアダプターの半端品を流用しましたので、
精度的には問題なく耐久性も十分あります。
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下の写真はレーザー照射部の中身です。
右上がスイッチ、左側がボタン電池でLR44を2個(3V)使っています。下が発光モジュールで
24.5ミリアイピースのクロームメッキがしてある部分を流用して、レーザー発光モジュールを
プラケースに入れて差し込んであります。
あとでレーザー光の方向を微調整できるようにネジで3点止めにしました。
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レーザー発光モジュールです。
秋葉原の秋月電子で購入、1個500円でした。3Vの直流で発光します。
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主鏡、斜鏡に反射して戻ってきたレーザー光を投影するための反射板です。
下の部品もビクセンのカメラアダプターの半端品を使っています。
反射板はサランラップの芯とボール紙で作りました。斜鏡と同じように斜めに切って、レーザー光の
光点を見やすくしてあります。(正確に45度に切る必要はありません。要は光点が見やすいように斜め
になっていれば良いわけです。)
楕円形のスケールはパソコンで印刷して、真ん中に1ミリの穴を針で開けました。
工作上の注意点としては、照射されたレーザー光がちょうど真ん中の穴を通過するように、センタリン
グに気をつけることです。
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接眼部へ取り付けるためのアイピースアダプターです。
反射板を見るために窓を開けてあります。直径3センチほどの窓ですが、アルミの円筒にボール盤で穴
を開けました。
右上のネジはレーザー照射部を固定するネジです。後述のセンタリング調整をするときに、このネジを
緩めて、レーザー照射部を回転させて調整します。
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コリメータを前から見た画像です。奥に反射板が見えます。十字線の真ん中にはレーザー光を通すため
の小さな穴が開いています。
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全部を組み立てたあと、レーザー光の中心を出すためのセンタリング調整を行います。
レーザー光線が、望遠鏡の光軸にぴったり合うようにしておかないと、正確な光軸調整はできませんの
で、センタリング調整は厳密におこなってください。
調整のやり方ですが、まずコリメーターを動かないようにしっかりと固定します。(私はタカハシの
接眼部を万力で押さえ、コリメータを取付けました。)
次に5メートルほど離れた壁に、レーザー光が当たるように的を貼り付けます。
電源をオンにすると、その的に直径数ミリの赤い光点が映るので、的の真ん中に光点が来るように、
的を貼り直します。
次にレーザー照射部を180度回転させます。光点が的の真ん中からずれたら、その位置から元あった位
置の半分の距離の場所に、光点が来るよう3点止めのネジを調整して動かします。
このとき、コリメータが動かないようにしっかり止めていないと精度が出ません。
光点の位置調整ができたら、また光点が的の真ん中に来るように的を貼り直します。
そしてレーザー照射部を180度回転させます。光点がまだずれるようなら、前述の作業を繰り返して、
光点のずれがなくなるまで、3点止めのネジを調整してください。
光点がずれなくなったら次は90度ずつ回転させてずれを調整します。やり方は前述の通りです。
レーザー照射部を360度回転させても光点がずれなくなったら、センタリング調整は完了です。
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コリメータを上から見たところです。タカハシの接眼部を万力で押さえて使用しました。
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センタリング作業に使用した的です。真ん中にレーザー光点が来るように調整します。
レーザー照射部を360度回転させても光点の位置が変わらなければセンタリングは完了です。
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ニュートン反射望遠鏡に付けて光軸調整をしているところです。
コリメータの窓から見える反射板の中央の穴に、戻ってきた光点が重なればOKです。
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