Star Trek the Next Generation 2nd season


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人間の条件
The Measure of a Man

第2シーズン 第35話
宇宙暦:42523.7

新たに宇宙基地から転属された士官が研究のためにデイタを分解するとデイタに告げる. そして断られると今度は法務官に訴え、諮問会が開かれることになった.

人間の条件-あらすじ-


諮問会は以前ピカードの軍法会議が開かれた第173宇宙基地で行われる. ライカーはデイタを起訴するという困難な任務につく. どうすればデイタにも「自分の運命を選択する権利」があることを諮問会のメンバーに納得させられるのか、ピカードはガイナンにアドバイスを求める. 「機械仕掛けの小さな生命」でも今回のようなテーマが扱われている.

デイタがポーカーを学ぶ. なぜサンバイザーをしているのか?おそらく気分の問題だろう. また彼の記憶容量は800 x 10の15乗ビット、情報伝達スピードは60兆回/秒であることが本人の口から語られる.

面白くなりだした第2シーズンのなかでも非常に印象的で、評価の高いエピソード. クライマックスはピカードがデイタ、そしてマドックスを喚問するシーンだが、今回の様にピカードが相手を激しい口調で相手を言い負かすというパターンは後のエピソードでもしばしば見られるようになる. 言っていることはもっともだが、道徳的な内容に見ている方はうんざりしてしまう(シリーズ後半ではその頻度は減るのだが). 外国では「私はすべてをスタートレックから学んだ」的なファンもいるようだが、さすがにそこまで能天気になることは難しい.

制作サイドも語っているように、ここで扱われているのはデイタの災難だけではない. 「奴隷」という制度に象徴される、人間なら誰でも持っている(持っていない人がいたら会ってみたい)他人に対する「差別」という問題についてピカードが視聴者に反省を求めている.

脚本を書いたMelinda M. Snodgrassという女性は"Tears of the Singers"というベストセラーの作家ということだ.
「諮問会」という設定はたまに登場する。第4シーズンの「疑惑」は、人間の嫌な面をこれでもかと思い知らされる、不快だが インパクトのある内容となっている.

監督:Robert Scheerer
Cast
フィリッパ・ルボア大佐: Amanda McBroom - "The Rose"
ナカムラ提督:Clyde Kusatsu
ブルース・マドックス中佐:Brain Brophy - "Max Headroom"
ガイナン:Whoopi Goldberg
オブライエン:Colm Meaney


人間の条件


エンタープライズは173宇宙基地へ向かい、そこで実験設備を積み込むことになっていた。 ライカー、デイタ、ポラスキーたちはポーカーをしていた。確率の問題だから簡単だと笑うデイタ、だがライカーのブラフを見破ることができず、負かされてしまった。

やがてエンタープライズは宇宙基地に到着、ピカードが基地のラウンジでくつろいでいる。彼は向こうからやってきた女性士官を見つけ、「まさか」といいながら彼女に近づいていった。彼女はフィリッパ・ルボア大佐。二人には昔、一悶着あったらしい。

しばらく艦隊から離れていた彼女は第23セクターの法務局に勤務しているという。彼女はスターゲイザー事件の裁判に関わっていたようだ。おそらくその頃の二人は激しくやりあっていたのだろう。いがみあっているように見えるが、いまはもう昔の感情には縛られていない。二人のテーブルにナカムラ提督と若い士官が近づいてきた。若い男はマドックス中佐という名前で、あとでピカードに話があるという。

提督とマドックスたちを連れ、ピカードはエンタープライズに戻った。ブリッジに案内されたマドックスはデイタをじっと見詰め、にやっと笑う。提督がエンタープライズの歴史的活躍をたたえているとマドックスが話を遮った。提督がブリッジから出て行くと、マドックスはデイタに向かって「元気にやっていたか?」と話し掛けた。彼はデイタがスターフリート・アカデミーに入学した時の試験官だった。彼は「デイタが単なる機械だ」という理由から彼の入学に反対していた。ピカードが用件を尋ねると、マドックスは「デイタを分解したい」と答えた。

観察ラウンジにピカード、ライカー、デイタ、そしてマドックスが集まった。マドックスはデイタを一目見たときから魅了され、スン博士に師事していたらしい。そして博士の研究を完全に理解するためにも彼を分解し、解析、最終的にはデイタのコピーを作りたいと説明する。当のデイタは「面白いですね」と聞いていた。だがマドックスは経験と知識が足りないようだ。デイタはマドックスにはその計画をこなす能力がないをピカードたちに告げる。それを聞き、ピカードは許可することは出来ないとマドックスに言うが、断られることを予期していた彼は、デイタをエンタープライズから降ろす許可を艦隊から得ていた。呆然とするピカードたちにかまわず、デイタは明日から自分の指揮下に入るとマドックスは言い放った。

作戦室にデイタが呼ばれた。ピカードが「マドックスの元へは行かせたくない」と言うと、デイタはこの異動に従うつもりはないと答えた。「艦隊司令部の指示には従わなくてはならない。デイタのような存在が増えることはすばらしいことだ」とピカードは説得しようとする。だがデイタが「ではなぜジョーディのバイザーのように明らかに人間の器官より優れているものが、艦隊の士官全員に適応されないのか」と反論すると、ピカードには答えることができない。デイタは「私が人間ではないからですね」と言い捨て、作戦室から出ていってしまった。ピカードはため息をつき、艦隊の士官の異動に関する規約を調べはじめた。

ピカードはフィリッパの元へ行き、助けを求めた。だが彼女は異動を拒否することは出来ないと答える。ピカードは必死に訴えるが、フィリッパは退役すれば命令に従わなくてもいいとアドバイスする。彼女のふざけた態度に怒ったピカードが部屋から出て行こうとすると、彼女は慌てて無礼をわびた。「信頼されてうれしかった。これを期に仲良くできる?」と尋ねられたピカードは「難しい問題だな」と答え、出ていってしまった。彼女は唇を噛み、軽率な言葉を悔やんだ。

デイタが部屋で荷物の整理をしている。かばんにはターシャのホログラムや入隊してからもらった勲章、ピカードからもらった本を入れた。デイタが部屋の奥で荷物を探していると、そこへマドックスが入ってきた。デイタはあなたには自分の感じている感情、実感を保つ能力はないと告げ、そして自分は艦隊から退役し、そしてマドックスの命令に従うつもりはないと続けた。マドックスは「とりあえず自分のオフィスに来い」と言い、部屋から出ていった。

デイタに断られたマドックスは法務局に訴え、ピカードはフィリッパの元へ出頭を命じられた。ピカードたちのやり取りを聞いていた彼女は、自分の研究のために他人の権利を損なう事はできないとマドックスに言う。だがマドックスが艦隊の所有物であるコンピュータを解体する際に、そのコンピューターの権利など考慮するだろうかと言い返したとき、フィリッパはその考えに興味を示した。そしてこの件は彼女の裁定のもとで裁かれることになった。ピカードは「スターゲイザーの時のように熱意を持って取り組んでくれ」と彼女に言う。

テンフォワードではデイタのお別れ会が開かれていた。隅っこでジョーディがさみしそうにしていることに気づいたデイタは彼のところへ近づいていった。こんな不条理なことには納得できないと言うジョーディ。二人は別れを告げた。

フィリッパの部屋。ピカード、ライカーが彼女が過去の判例を調べた結果を聞いている。どうやらデイタは艦隊の所有物で、自分の意志で退役することすらできないらしい。それを聞いたピカードは諮問を開くよう彼女に求める。まだこの基地の法務局には人手が足らないということで、デイタの弁護人にはピカード、マドックス側にはライカーが付くことを彼女は命じる。ライカーは拒否しようとするが、彼女はこの諮問会にはどうしてもそれが必要だと強い口調で告げ、ライカーは従うしかなかった。「全力を尽くすわ」、彼女はピカードにいった。

ピカードは作戦室にデイタを呼び、諮問会が開かれることになった経緯を説明した。デイタは艦長なら信頼して弁護を任せることができると答えた。一方、ライカーはデイタの構造をコンピューターで呼び出していた。ビューワーに映し出されたデイタの構造図を見たライカーは思わず見とれてしまうが、後に控えた任務を思い出し、頭を抱える。

デイタの法的身分を確定する諮問会がはじまった。マドックス側についたライカーはデイタを喚問する。ライカーは巧みにデイタがスン博士に作られたアンドロイド、つまり「機械」であることを立証していく。ライカーは鋼鉄の棒をデイタに曲げさせ、そしてデイタの腕を引き抜く。それを見たフィリッパは思わず息を呑む。そして「人間にスイッチはない」と言いながら、デイタのスイッチを切ってしまった。だらりと前に倒れこむデイタを見たマドックスはニヤリとする。ライカーは自責の念に駆られたような表情をしている。そしてピカードは休廷を求めた。

テンフォワードではピカードがガイナンに諮問会のことを話している。ガイナンはデイタ、そして彼のコピーは「奴隷」のような役割を与えられるだろうとピカードに話す。ピカードは今回の諮問会で争われていることがいかに重要な問題であることに気づいた。

諮問会が再開された。ピカードは問題の本質は「デイタが何者かの所有物であることが本当に認められるのか」ということであると前置きし、デイタを喚問した。ピカードはデイタが荷造りしていた鞄を開き、中に入っていた品物について説明させる。ピカードはターシャのホロ映像装置を示し、彼女との関係を説明するよう求めた。特別な事態だから話せと言われたデイタが関係を持ったことがあると証言すると、皆一様に驚く。ピカードはデイタの尋問を終えた。

つづいてピカードはマドックスを喚問した。ピカードは「心を持つものの条件」を尋ねる。「知性、自己認識力と知覚力」とマドックスが答えると、なぜデイタにはそれがないのかと言えるのかと聞き返す。ピカードは自分と同様にデイタもその条件を備えていると説明する。そしてもし仮にデイタの複製が何千体も作られれば、それは「コピー」ではなく、一つの「心を持った種族」になるだろうと言い、改めて「デイタは何だ?」とマドックスに尋ねた。ピカードの問いにマドックスは答えることは出来なかった。ピカードは「我々、そしてデイタが何者なのか?それは我々、そして将来作られるであろうレプリカントの未来を決定する」とフィリッパに告げた。

彼女は自分にデイタが何者かであるか断言することはできないと話しはじめた。そしてその答を見つけるのはデイタ自身であり、そのためにも基本的人権を認めると結論を下した。デイタはマドックスに近づき、今回の命令を正式に拒否、マドックスの方も異動命令を取り消すと約束した。デイタは「いつかきっと中佐の研究が見を結ぶ時がくるでしょう」と言い、部屋から出ていった。マドックスは「立派な男だ」とつぶやく。それを聞いていたフィリッパに「男っていうことは人間?」と言われたマドックスは微笑み、退出した。フィリッパは「味方することもあるのよ」とピカードに笑いかける。そしてピカードは笑い返し、彼女をディナーに誘った。

観察ラウンジでライカーが一人で外を眺めているとデイタが入ってきて、祝勝会へ一緒にいかないかと誘う。ライカーが「君を危険にさらすところだった」と断ると、デイタは「ライカーが弁護人を引き受けたおかげで審問会が開かれた。感謝している」と言った。「人間が出来ている」とライカーが微笑むと、デイタも「まだ未熟だが、成長する」と答える。二人は祝勝会へ向かった。




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