第四話:わが家に電子レンジが来た日


 わが家には電子レンジというものがない。いや、正確にはなかった、ついこの間まで。赤ちゃんを連れたお客さんが我が子に幼児用の電子レンジで暖める食べ物を持参して、

「すみません、ちょっとチンさせてもらえませんか?」と言っても

「はぁ?チンって何ですか?」のれんに腕押し。

 そんなある日。新潟から大阪に引っ越す知人が、電子レンジを呉れるというのだ。

やった〜〜。わが家にも21世紀を迎える前に電子レンジが入るのだ。

 知人が電子レンジをおいて行ったあと、早速使ってみよう、ということになった。

「ともちゃ〜〜ん(うちのかみさんは私をこう呼ぶ。すんまへん)、これ、壊れているよ。」

「どうしたの?」

「どうしても扉が開かないの。」

よく見ると、一生懸命手で開けようとしている。

むむむむ・・・

「あのねえ、これはボタンを押すの」

次に、ミルクを暖めることにし、ミルクの入ったコップを入れた。

「よし、これなら一分!」

じっとプレートの回転を見つめ、ふと振り返ると、かみさんが厚手のミトンの鍋つかみをはめて待機している。

「なにしてんの?」

「だって、熱くなるんでしょ?」

「どひゃあ〜〜これは、電磁波で水分だけ振動させるからコップは大丈夫なの」

かみさん、じわじわ後退りしながらいわく、

「それって放射能?そんなに近づいて大丈夫?」

「どひゃひゃひゃひゃひゃ〜〜」

その晩寝ながら考えた回文

わたしんちでチンしたわ!

おそまつ


第三話の解答

1)大磯(おおいそ)・・・・「ソ」が多い。

2)水戸市内(みとしない)・・・・「ミ」と「シ」ない。

3)銚子のはずれ・・・・調子がはずれている。


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