臨床経絡
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先々週のこと日ごろは風邪を引きやすいので健康管理目的で定期的に受診しているEちゃんのお母さんから電話がありEちゃんが頭が痛いと言って学校を休んでいるらしい。お母さんの声からしてやや切羽詰った様子が伺えるので昼休みに診てあげることにした。

患者 男児(9歳)


主訴 頭がキンキン痛む

既往歴 マーカスガン


問診してみると(彼は9歳だがかなり客観的に症状を伝えることができる)コメカミと眼の奥がキンキン痛むらしい。頭を動かしても痛みが強くなることはない。よく聞いてみると目の前がチカチカ光ったという。閃輝暗点だ。子供でもストレスまみれだなあ…と思いながら切経してみると前脛骨筋部(左)の膨隆と硬結が著しい。脈状は左関上に緊脈。肝の実だ。

痛みの部位を経絡的に診れば「胆経」「小腸経」「胃経」「膀胱経」「肝経」辺りが怪しい。元々マーカズガンがあるので「肝経」「胃経」は調和を乱しやすい体質だがそこに何か精神的緊張かが加わったようだ。

「今、学校でどんなことやってるの?」表情を見逃さないようにしながら問うてみる。いじめがある場合こういう症状を子供が訴える場合があるがストレートにいじめの事実を訴えるとは限らない。巧妙に隠す場合だってあるので1回の問診だけでは謎が解けないこともある。

「百人一首」

「百人一首?!へえ!そんなんやってんだあ。すごいね!」

「うん、今度県の大会に出るっちゃん」

眼がキラキラ…いやギラギラした。

お母さんに詳しいところを補ってもらおうと話を向けてみると、担任の先生が熱心で子供たちに百人一首を指導していてEちゃんは学年でトップの成績らしい。その成果を試そうと先日小さな大会に出たが決勝で思うようにいかずボロ負けだったらしい。今回はそのリベンジの意味合いもあって彼の入れ込みようは並々ならぬらしく家でもお母さん相手に練習に余念がないらしい。

あ!これで解決。多分。百人一首は耳と眼とを最大限集中緊張させなければ人に先んじて札を取ることは出来ない。おまけに今回は悔しい思いをして直ぐのリベンジだ。

眼に開竅する「肝」が高ぶるのも無理ない。こころも高ぶるから勿論「心」も高ぶる。そうなると「肝」の高ぶりで「肝」「胆」は大きくバランスを崩す。「肝」が高ぶれば子午関係の「小腸経」にも影響が出る。木陰の「肝」が高ぶればその木陽の「胆経」が揺らぐ「胆」が揺らげばその相克の「胃経」も揺らぐ。元々Eちゃんは「胃経」変動が出やすい体質だからなお更だ。さらに「心」が高ぶれば子午関係の「胆経」にも影響が出る。同じ連環をぐるぐる周っている。まるでメビウスの輪だ。

ここまで綺麗に周っているとやることは簡単だ。後は選穴。いわゆる「経穴ゲートスイッチ理論」で言う「宝探し。

ん…ここまで陥ってしまった大元は何?「ボロ負け敗戦のリベンジ」…それって怒り・・・怒りなら「肝」だけど…リベンジに燃えるハートでしょ!「心」。

第1鍼は右の「通里」 子供だから原則鍼は刺さない接触鍼。こんな時甘流?鍼は役に立つ甘君ありがとう。

和的に鍼をしながら様子を診て「Eちゃん。今頭どう?」と聞いてみた。

「半分くらい痛い」

第2鍼は痛みが第1鍼後コメカミから眼の方に寄って来たので彼の本来の体質も鑑みて「胃経」に絞って選穴することにした。切経の時診た硬結がやjはりまだ顕著なので左の足三里を選んだ。

「どう?」

「うん。もう大丈夫。ありがとう」

以上治療終了しました。

翌々日、県の百人一首の大会でEちゃんは見事リベンジを果たし優勝しました。おめでとう!でも、頑張り過ぎないようにね!