富士登山 2012


山小屋から見た「ご来光」
スイングパノラマ撮影
地球が丸い!
2012年8月15〜16日
今年の夏は娘と富士山にチャレンジと、かなり前から計画していた。
娘自身も9年前の長男の富士登山は知っているし、ご来光も見たいと言っていた。
近年いくつか登山して、やはり挑戦してみたいと思っていたようだ。
本当は別日程で計画していたのだが、天気が今一つで延期していた。
この日程ならご来光が見える可能性が高いと判断し、決行となった。
個人的には2回目のため、前回とは違う須走口をチョイス。
標高とコースタイムの数字は旺文社の山と高原地図による。


マイカー規制期間中のため、
ふじあざみライン下の駐車場へ駐車。
9時ちょうどのシャトルバスに乗り遅れたが、
タイムイズマネーの観点から
タクシーで5合目へ。
うどんを食べて時間調整、兼
わずかな時間だけど高度順化。
ここの標高は1970m
10時15分歩行開始!
小雨のため、レインコート着用。
しばらく樹林帯を歩く。
小降りとなったので、暑さからジャケットを脱ぐ。
その後、歩きにくいのでズボンも脱ぐ。
 

と思ったらやっぱり雨が降ってきたので
再びジャケット着用。
6合目 長田山荘 11時30分
ここで標高2400m
富士宮口ならここから登り出しと思うと
がっかりな感じだけど、気にしない〜
本6合目 瀬戸館 12時20分
標高は2620m 小屋掲示の標高は
多少サバ読みか。以下同じ。
だんだん雨が強くなってきた。
 

7合目 大陽館 13時30分
標高は2920m
この辺りでも雨が止む気配なし…
左上の白い丸はレンズについた水滴。
雨は止んだが、代わりに風が凄い!
汗と雨とで濡れているので、
体感温度急降下。特に手が寒い。
空気が薄くなってきて息も上がる。
だんだん雲が切れてきて
少しずつ周りが見えるようになってきた。
    

本7合目 見晴館 15時ちょうど
標高は3140m
疲労もピークに達する。
チョコやウイダーインゼリーで頑張る!
本日のお宿に到着
8合目下江戸屋 15時45分
標高は3270m
風が強かったので、レインコートは
すっかり乾いていました。
 

5時夕食。
富士山定番のカレー、ハンバーグつき。
向かいのお兄さんと仲良くなりました。
だれとでもすぐお友達になれるのは
娘の得意技です。
8時ころの夜景
向こうの明るいのは東京。
左側手前は富士吉田市。
星はあんまり見えませんでした。
 
 
ご来光 4時55分
もはや説明不要でしょう。
しかし、この感じは正確には
肉眼でしか伝わらないでしょうね。
5時30分ごろ
赤みが取れて、さらに神々しい感じに。
真ん中左下は山中湖。
素晴らしい。
来た甲斐があったと思える瞬間だった。
 
 
5時50分 出発
昨日とは、うって変わって
超パノラマな景色!
私のショボい写真より、実際に
ご覧いただくことを強くお勧めします。
本8合目 6時15分
3370m
酸素あります とあるけど、
実際に酸素が効いたという話は
聞いたことがない。
    
 
定番のパンパンに膨らんだ写真。
ソイジョイはともかく、カロリーメイトは
箱ごと膨らんでいる。
残雪をバックに
前回と同じような場所で撮影。
9年たっても変わらないところは
まったく変わっていなかった。
 
  遠く横浜、東京のビルも見えました。
まあ、コンデジの写真なんで…
河口湖周辺を望む。
この視点の高さは日本では
ここ富士山でしか味わえないものだ。
 
 
8時10分登頂!
さっそく神社で焼印をしてもらい、
お土産のお守りを購入。

南アルプス、八ヶ岳等の山脈はじめ、
静岡、伊豆半島、江の島、横浜など
お鉢巡りならではの景色を満喫しました。
もちろん、火口もね。
9時10分 剣ヶ峰到着!
標高3775.6m
やったぜ〜♪
休憩を兼ねて家で待つ母親に電話で報告。
 
 
これまた定番の記念はがきを出す。
10時下山開始。
下山は砂走り。
砂がクッションになって気持ちいい。
めちゃくちゃ楽しかった。
13時40分 5合目に戻りました。
 

参考までに、休憩込みの歩行時間は、
1日目 5合目から8合目 コースタイム 5時間5分 に対し、5時間30分。
2日目 8合目から山頂  コースタイム 1時間50分に対し、2時間10分。
     お鉢巡り    コースタイム 1時間35分に対し、1時間50分。
     下山      コースタイム 3時間   に対し、3時間40分。
     2日目計    コースタイム 6時間25分に対し、7時間40分。
2日間合計所要時間    コースタイム11時間30分に対し、13時間10分 でした。
休憩込みということを考えれば、ほぼコースタイム通りだったと思います。

須走口は、確かに変化に富んでいて、いいルートだと思います。
吉田口と比べ、5合目が多少低く、時間も少し余計にかかるけど、
樹林帯があることによって、特に小学生連れの私たちにとっても
森林限界を感じたり、植生の変化を体で知るにはうってつけです。
確かに小屋は少ないけれど、ツアー客もいないので人が少ないのがよろしい。
砂走りのおかげで、下山コースタイムは逆に須走のほうがわずかに短い。
良くも悪くも、「富士山」を楽しむなら吉田口、「登山」を楽しむなら須走口でしょう。
今度もし行くことがあったら、御殿場口はきつそうだから、
やっぱり最短時間の富士宮口にもチャレンジしてみようかな?

マイカー規制
ここ数年、どんどん強化されるマイカー規制。
駐車場の心配がなく、路駐して5合目まで歩くリスクは確かにない。
しかし、乗り換えに要する時間は余計にかかるし、
何より駐車場自体有料なうえに、シャトルバスも勿論有料。
5合目駐車場は無料なのに・・・何か割り切れない。
それにしても、シャトルバスの料金、往復切符の割引率が凄くて
片道とほとんど変わらないのはねえ・・・

「富士山に登らない馬鹿、二度登る馬鹿」
とはよく言った物で、富士山の「ヤマ」としての姿を的確に表現した言葉だと思う。
世界的に有名で、ぶっちぎり日本一の高峰なんだから、それだけで動機は十分。
しかし、登山自体は非常に退屈で、混雑がひどく、山小屋も最低レベル。
登山の目的が「登頂」だったり、「ご来光」に特化されがちなのはやむを得ない。
二度目を目指す必然性に欠けると思う人が多いということだろう。
富士は眺める山であって、登る山ではない という登山家も多数いるようだ。
とはいうものの、この山から見える景色はやはり超絶レベル。文字通り日本最高級。
標高が高いという絶対的なこともさることながら、独立峰故のパノラマは貴重。
ご来光も含め、他にも素晴らしい景色の山はいくらでもあるし、
山歩きが楽しめるという意味では、むしろ他の山のほうがいいと思うのだが、
富士山に魅せられて何回も来てしまう人の気持ちも分からないではない。

客層の若さも特徴的。
いわゆる山ガールや、カップルの多さも特筆事項。
外国人登山者、初心者の多さも富士山は(多分)日本一。
その中で、明らかに下調べ不足のチャレンジャーの割合が異常に多い。
日本人外国人問わず、山の寒さが想像できないのは仕方ないのかな?
まあ、ある程度以上の体力さえあれば、どんな格好でも、どんなプランであっても
なんとか登頂できてしまうのが7、8月限定の夏の富士山の凄いところ。
24時間登山可能なので無茶な時間設定であっても帳消し可能。
ルートが簡単で見通しがいいため、道迷いのリスクは他の山に比べれば低い。
相変わらず登山道と下山道を間違える人は沢山いるけど、余計疲れるだけで大丈夫。
小屋も多数あるので、たとえ満員で入れてくれなくても、最終的に死にはしない。
高山病による頭痛や吐き気にやられても、独立峰の強風にやられても、
所持金と体力次第で何とかなる・・・かもしれない。
他の山なら単なる遭難だけど、それでいいのかなあ?

ゴミ問題と世界遺産
私見ですが、私は今のままの富士山では世界遺産には相応しくないと思います。
あまりにも多くのゴミが散乱した姿は想像をはるかに超える状態でした。
登山者が残した、あるいは飛ばされたと思われるゴミがあまりに多い。
多少ならというレベルではない。登山者が多すぎるのだ。
また、古い小屋から出たと思しき、金属の物体も多数転がっている。
近年、清掃登山なども流行っているし、意識レベルは向上しているはずなのに
実際のゴミ問題は全く解決には遠いと感じた。
そもそも、頂上に測候所や神社のみならず、自販機やら土産物屋があり、
山頂までブルドーザーで行けるなんて、単なる観光地に過ぎないではないか。
どうしても世界遺産を狙うなら、有料化や入山制限も考えたほうがいと思う。

アヒンサー
ここ数年、すっかり手塚ブッダの信者(?)な私。
今回初めて登山で不殺生を自然と意識した。
山岳と信仰とは切っても切れない関係にあるものだ。
登山とは、いろいろな意味でリアルに神に近づく行為と思える。
実際に天空に近づくのも勿論のこと、町に比べれば死のリスクも高いだろう。
空気もだんだん薄くなり、息を切らせて登っていると、
同じ山にいるという共通体験から自然と周りの人たちとの一体感も感じるようになる。
そして、山から見える景色は文字通り「神目線」と言って差し支えない。
豊かな自然、ダイナミックな姿に心を奪われ、創造主に思いを致す。
私たちがいまここに立っていられるのも、多くの人や物の助けがあったればこそ
ということを実感するとき、全ての物は繋がっているんだと否が応でも意識する。
さすれば、無用に花を手折ったり、無意味に虫を踏んだりなどはできないと思えた。
生態系が、とか、希少だから、ではないのである。
頭では理解できていても、体で腑に落とすこととは違う。
また、人間は忘れやすく流されやすい生き物なので、繰り返し意識し続けなければ
まったく同じではないにしても、すぐ以前のような姿に戻ってしまう。

いずれにせよ、娘は初の1泊登山を経験し、
しかも今までの山とはスケールが違う登山であったことは確か。
思い出に残るであろう登山を遂行できて、私は運が良かったと思う。
個人的にはジム通いの効果もあってか、体力的問題は皆無だった。
雨も風も含めて登山とは、自然と一体になれる行為。
今回は本当に意外なほど、「登山」を満喫できました。
正直、本音では他の未踏峰に行きたい気持ちもあるけれど、
これはこれ、きっと娘にとっても、いい山行であったことと思います。
マンガ「岳」に、登頂した山は以前とは見え方が変わるというセリフがある。
きっと、娘もしばらくは富士山を見るたびにそんな気がするのかな と思った。

前回9年前の富士登山記も合わせてご覧ください。
      その1 計画と準備
      その2 1日目
      その3 2日目と感想

                            2012年8月22日作成


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