種明かしをする前に、ルーレットのルールについて、簡単におさらいをしておきましょう。
ルーレットは、カジノで行われるギャンブルの代表的なゲームです。
回転するホイールにボールを投げ入れ、そのボールがどの数字ポケットに入るかを予想します。
数字は1から36まであり、そのほかに「0」と「00」があります(アメリカンタイプの場合)。
賭け方によって、配当が変わってきます。
1つの数字だけを賭けたときの配当は36倍。
赤か黒かに賭けた時の配当は2倍。
このように、当たる確率に応じて配当が変わってきます。
では、今まで出てきた4つの手法はどんなかけ方だったのかをお教えしましょう。
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賭け方 |
1回あたり収支 |
| 手法A |
1つの数字にだけ毎回10ドルを賭ける。 |
当たると350ドル、外れると-10ドル。 |
| 手法B |
10個の数字にそれぞれ1ドルずつ賭ける。 |
どれかが当たると26ドル、外れると-10ドル。 |
| 手法C |
赤黒どちらかに毎回10ドルを賭ける。 |
当たると10ドル。外れると-10ドル。 |
| 手法D |
赤黒に5ドル、奇数偶数に5ドルを賭ける。 |
両方当たると10ドル、両方外れると-10ドル。
一方が当たると0ドル。 |
特別に開発された手法というほどのものではありません。
いたって単純。
手法Aは、1つの数字にだけ10ドルを賭け続けるという方法ですから、めったに当たらないけど、当たったら配当が大きい。
いわば、大穴狙いです。
逆に、手法Dは、もっとも当たる確率の高い、「赤-黒」「奇数-偶数」の両方に5ドルずつ分けて賭けます。
いわゆる分散投資です。
もっとも損をする可能性が少ないですが、大当たりしても、10ドルの儲けしかありません。
手法BとCは、AとDの中間です。
さて、同じルーレットでゲームをするのであれば、どんな賭け方をしても、儲けの期待値は同じのはず。
その通り。
確率計算をすると、どの手法をとっても期待値は同じになります。
たとえば、手法Aの場合。
1つの数字だけに賭けた場合の当たる確率は、1/38。
儲けの期待値は、1/38×350−37/38×10≒−0.526
手法Bの場合。
10×1/38×26−28/38×10≒−0.526
手法Cの場合。
18/38×10−20/38×10≒−0.526
手法Dの場合。
18/38×5+18/38×5−20/38×5−20/38×5≒−0.526
いかがですが、期待値はすべて「−0.526ドル」です。
期待値がマイナスになってしまうのは、「0」「00」が入っているから。
「0」「00」がなければ期待値はゼロ。
でも、それでは胴元の儲けがなくなってしまうので、「0」「00」が入っているわけ。
1/38と1/36の差分だけ胴元の取り分になります。
ヨーロッパタイプでは、「00」がないので、胴元の取り分は少なくなります。
1回あたり−0.526ドルということは、これを1000回繰り返せば、−526ドルになります。
じゃぁ、どの手法も期待値が同じなら、どんな賭け方をしても結局同じなんでしょうか。
違います。
期待値が同じになるというのは、計算上の話。
誰がいつプレーしても、必ず「−526ドル」で終わるわけではありません。
プレーヤー個人個人で見た場合は、儲ける人もいれば、損をする人もいます。
それを全体でならすと−526ドルになるということです。
さぁ、ここまでは前置き。
ここからが本格的な分析です。

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