本当の成功法則を見つけようと思ったら、成功事例と失敗事例を詳しく調べないと分からないはずです。
成功事例にだけあって、失敗事例にはない事柄が見つかったら、それこそ本当の成功法則かもしれません。
この段階では、確定できないので有力候補として「成功法則であるかもしれない」ことが言える程度ですが。
じゃぁ、いろんな成功事例と失敗事例を片っ端から調べればいいじゃん、と思いますよね。
でも、そのような情報はめったに見ることができません。
世の中に成功本はいっぱいありますが、成功と失敗を比較検証したものは見当たりません。
成功ノウハウを教えるセミナーもいっぱいありますが、取り上げられるのは成功事例ばかりです。
なぜ?
成功と失敗を比較すれば、一番はっきりと成功法則が浮かび上がるはずなのに・・・。
答えは3つあります。
理由その1:面倒だから
成功事例の分析だけでも大変なのに、失敗事例も探してきて分析するとなるとさらに大変。
成功事例だけを調べて結論をまとめたほうがはるかに簡単。
読者や聴衆は、成功法則を知りたいのであって、失敗法則なんか知りたくないんですから、余計に失敗事例を調べる労力が惜しい。
成功事例だけを調べて結論を出したとしても、お客さんは文句を言いません。
理由その2:.失敗事例は見つけにくい
成功事例はよく目立つのですぐに探し出すことができます。
でも、失敗事例はなかなか見つかりません。
数の上でははるかに多いはずですが、人目に付かないからです。
本当に致命的な大失敗に至った場合は、表面化して誰の目にも分かるようになりますが、それは極端な事例です。
ようやく失敗の事例が見つかったとしても、その失敗の原因を探り出そうとするのは至難の業。
成功者へのインタビューだったら、気前良く何でも話してくれます。
でも、失敗者へのインタビューで、気前よく情報提供してくれる人がいるかどうか。
失敗者と烙印を押されてインタビューを受けるなんて屈辱的なことに耐えられる人がいるでしょうか。
理由その3:.成功事例と失敗事例を比較すると成功法則が分からなくなる
苦労して成功事例と失敗事例の両方の情報収集ができたとしましょう。
そこに誰が見ても明らかな違いが発見できれば幸運です。
たぶん、そこには決定的な違いは発見できません。
成功者といえども、誰も思いつかないような特別のことをやっているわけではありません。
失敗者といえども、やるべきことをやらずにボーっとしてたわけではありません。
両者を比較すると、やってることはそんなに変わらないということになります。
違いが発見できたとしても、わずかな違いで、本当にそれが成功と失敗を分けるポイントなのか分からない程度のもの。
運よく決定的な違いが発見できたとしましょう。
でも、それがそのまま成功法則になるわけではありません。
因果関係がはっきりしないからです。
たとえば、成功した人はハキハキと明るく話すが、失敗した人はモゴモゴと暗い話し方だとしましょう。
ここにはっきりした違いがあったとしても、それが成功法則になるでしょうか。
成功者→明るく話す
失敗者→暗く話す
ここから、明るく話すことが成功要因だと言えますか。
言えませんよね。
その人は、成功した人だから明るく話せているのかもしれないからです。
このように、違いが見つかったとしても、その因果関係を確かめるのがまた一苦労です。
成功要因、失敗要因なんて、簡単に一言で言い表せることはまれ。
様々な要因が重なり合っているのが普通で、それぞれの要因も、どの程度の影響を及ぼしたかまでは解明不能。
このように厳密に検証しようとすればするほど、明解な答えは分からなくなってしまうのが実態なのです。
結局は分析者の主観によって結論付けるしかないということに。
すると、成功事例だけを見て、成功法則を作り上げても変わらないということになるわけです。
さて、成功事例だけに注目してしまうことで、本当のリスクが見えなくなってしまうことを確かめました。
成功事例の裏には同じだけの失敗事例が存在している可能性があるということでした。
では、失敗の可能性だけを排除できたら、どうでしょうか。
失敗の可能性が少なく、成功の可能性だけが大きいという、本当の成功法則ができるんじゃないかと思いませんか。
次に、このことを確かめてみましょう。

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