さて、先のルーレットの必勝法と思われた手法Aは、大儲けできるかもしれないが、大損するかもしれないという、
とんでもなく危ない手法だということが分かりました。
でも、他の手法に比べて、ものすごく儲かる可能性がある手法だというところが魅力的ですね。
もしも、手法Aから大損する可能性だけを排除できたら、ものすごく優れた手法になると思いませんか。
では、大損しないように、初めの所持金を制限したらどうでしょうか。
つまり、収支が「−1000ドル」を超えた時点で、その人はゲームオーバーとするのです。
そうすれば、大損しても−1000ドル。
どんなに運が悪くてもそれ以上損をすることはありません。
下限を「-1000ドル」にして、先と同じシミュレーションをしてみると以下のような結果が出ました。
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下限−1000$ |
下限無制限 |
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| 平均収支 |
−299$ |
−485$ |
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最終収支
プラス |
274人 |
410人 |
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| 最高金額 |
6560$ |
7280$ |
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| 最低金額 |
−1000$ |
−5320$ |
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ゲーム
オーバー |
676人 |
0人 |
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下限を−1000ドルに設定した場合と、無制限の場合を比較してあります。
最も大きな違いは、最低金額です。
無制限の場合は−5320ドルでしたが、下限−1000ドルの場合は当然ながら最低でも−1000ドルどまりです。
下限設定した効果は歴然。
これなら、大損するリスクを避けることができそうですね。
平均収支を見ても、無制限の場合は−485ドルだったのに対して、下限−1000ドルの場合は−299ドル。
大損する人がいなくなった結果、平均収支も上昇しました。
そして、最高金額を見てみると、6560ドル。
無制限の場合の、7280ドルには及びませんが、これでも十分高い金額です。
大儲けの可能性を残して、大損の可能性を排除できたように見えますね。
でも、少し気になる点があります。
最終収支がプラスになった人の人数です。
無制限の場合は、410人もいたのに、下限−1000ドルの場合は、274人に減ってしまっています。
最終的にもうかる可能性がずいぶんと減ってしまいました。
それもそのはず、ゲームオーバーした人が676人もいます。
つまり、67.6%もの人が途中で−1000ドルを超えて早々とゲームオーバーになってしまったのです。
以上のシミュレーションから分かることは何でしょうか。
下限を設定すると、大儲けの可能性をある程度残したまま、大損の可能性を排除できる。
でも、多くは途中でゲームオーバーになり、最終収支がプラスになる人も激減してしまう。
せっかくのシミュレーションなので、下限設定を−100ドルの場合も検証してみましょう。
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下限−100$ |
下限−1000$ |
下限無制限 |
| 平均収支 |
−39$ |
−299$ |
−485$ |
最終収支
プラス |
31人 |
274人 |
410人 |
| 最高金額 |
4400$ |
6560$ |
7280$ |
| 最低金額 |
−100$ |
−1000$ |
−5320$ |
ゲーム
オーバー |
969人 |
676人 |
0人 |
なんと、平均収支が−39ドルにまで縮小しました。
−100ドル以上損をした人がいないんですから、当然ですね。
その一方で、最高金額で4400ドルも稼いだ人がいます。
無制限の時や下限−1000ドルの時と比べると金額が低くなりましたが、それでも大きな金額です。
最大に損しても−100ドル、最高に儲けると4400ドル。
これだと、ずいぶんリスクが少なくなったように見えますね。
でも、最終収支がプラスになった人を見ると、僅かに31人。
それ以外の969人は、全員途中でゲームオーバーになってしまっていたのです。
97%の人がゲームオーバー。
ほとんどの人が最後までたどり着くことさえできない。
僅かに3%の人だけが最終収支がプラスになり、そのうちの1人が4400ドルを獲得できたということです。
以上のシミュレーションから分かることは何でしょうか。
下限値を上げていけば、大損の可能性はどんどん排除できる。
でも、下限値を上げれば上げるほど、途中でゲームオーバーになってしまう可能性がどんどん上がっていく。
どうでしょうか。
下限を設定することで大損するリスクを回避できるように見えますが、
結果として、成功の可能性もどんどん狭めることになってしまうというわけです。
さて、ここはルーレットの遊び方を研究するサイトではありません。
このルーレットのシミュレーションから、どのような知見が得られるのかを次に考えてみましょう。

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