ある資格予備校の広告にはこんな表現が見られます。
社労士試験全体の合格率は9%ぐらいですから、この予備校の受講生はその約3倍もの合格率。
いかに我が校の教育が優れているかを示すのに分かりやすい数字です。
これは、当たり前に見られますよね。
でもこれ、1通目の案内メールに出ていた勝率のデータをそっくりではありませんか。
さらに、こんな広告を出している予備校もあります。
合格者占有率とは、合格者の中に占める我が校の受講生が占める割合のことです。
この広告では、合格者のうちの半分以上が我が校の受講生だと言っているのです。
これも、よく見られる広告ですね。
でもこれ、2通目のメールに出ていた「成功者に占める手法Aの割合」とそっくりではありませんか。
あのメールのデータを見ただけで手法Aの優秀さを認めることができないのと同じように、これらのデータだけで予備校の評価はできません。
予備校の広告は、数字にウソがなかったとしても、その予備校が本当に優秀なのかどうかは分からないのです。
なぜなら、これも、合格者という一部の人のデータにしか注目していないからです。
もしかしたら、不合格者の実態を分析するととんでもない情報が出てくるかもしれません。
しかも、この資格予備校が発表するデータには信ぴょう性が疑われるケースがありました。
合格率を算出する場合、成績劣等生を分母から外したり、
模擬試験を受けただけという人でも、合格した場合は、我が校の合格者に含めたり・・・。
そのために、各予備校の合格者数を合計すると、全体の合格者数をはるかにオーバーしてしまう事態が起きてしまいました。
データの取り方が恣意的で、信憑性がないとして、公取委から指摘されたことがありました。
しかし、ルーレットの事例で見たように、公表データが正確にカウントされたものだとしても、この手の情報には、錯覚を招く罠があるのです。
このようにして見ていくと、この手の事例は、私たちの日常の至る所に存在することが分かりますね。

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