蛙におんばこ。 解釈:薬がよく効いた場合にいう言葉。死んだ蛙にオオバコ(車前草)の葉 を被せれば、生き返るという言い伝えによる。 蛙の行列。 解釈:向こう見ずな人々の集まりのこと。蛙が後足で立つと、目が後ろ向き で前が見えなくなるところからいう。 蛙の子は蛙。 解釈:子は結局親と同じ道を歩むものであるということ。凡人の子は、矢張 り凡人であるということのたとえ。 類義:瓜の蔓に茄子(なすび)はならぬ。親に似た亀の子。炭の袋から白い 粉は出られぬ。蝮(まむし)の子は蝮。鳶は小鳩を生まぬ。 反義:鳶が鷹を生む。 蛙の相撲。 解釈:互いに行き違うことのたとえ。蛙が立ち上がると目が後ろ向きになる ところからいう。 蛙の面(つら)に水。 解釈:どんな仕打ちに遭っても、何も感じず、平気でいる様。 類義:石に灸(きゅう)。牛に経文(きょうもん)。牛に対して琴を弾ず。 牛の角を蜂が刺す。馬の耳に風。馬の耳に念仏。鹿の角に蜂。 参考:Pouring water on a duck's back.(家鴨の背中に水を注ぐ) 駆け馬に鞭。 解釈:強い者に力を添えて、更に強くすること。走っている馬に鞭を打って 猶も駆けさせる意。 類義:虎に翼。火に油を注ぐ。吠える犬にけしかける。薪に油を添える。 陽炎(かげろう)稲妻水の月。 解釈:掴まえることができないもの。 類義:陽炎稲妻月の影。 霞に千鳥。 解釈:春の霞と冬の千鳥が一緒で不相応だというところから、あり得ない事 や相応しくない事のたとえ。 反義:富士に月見草。柳に燕。 風の前の塵 解釈:物事の脆(もろ)く儚(はかな)いことのたとえ。 類義:風の塵。風の前の雲。風吹く塵。風待つ露。風前の塵。風前の灯火(ともしび)。 風は吹けども、山は動ぜず。 解釈:風が吹いても山はびくともしないように、周囲のごたごたを気にせず 突き進むこと。 風待つ露。 解釈:風が降れば露が飛ばされるように、儚(はかな)い運命のたとえ。 類義:風の前の塵。 堅い石から火が出る。 解釈:何時もは慎み深い人でも、時として思い切った事をするものである。 堅い木は折れる。 解釈:堅い木は丈夫そうにみえるが、実際は折れやすいもので、かえって柔 らかいものほどよく耐える。 類義:堅い物は割れる。木強ければ、則ち折る。強(こわ)い物は折れやす い。 堅き氷は、霜を踏むより至る。 解釈:霜が降りれば冬が来て、やがて堅い氷が張る。冬が来ても慌てること のないように、事前に準備することが大切である。また、災難は小さな事から 次第に大きくなるものだから、初めのうちに注意せよという戒め。 類義:霜を履み堅氷至る。 蝸牛(かたつむり)も一家の主(おるじ)。 解釈:蝸牛は弱い軟体動物であるが、背負っている殻の主人であり、また殻 は、蝸牛にとって家と同じである。 片山曇れば、片山日照る(ひでる)。 類義:入船あれば、出船あり。 鉄鎚(かなづち)の川流れ。 解釈:水の中に鉄鎚を投げ込むと、頭の方が重くて沈んでしまうところから、 頭が上らないことをいう。 類義:鉄鎚の川流れで浮かぶ瀬がない。 蟹は甲に似せて穴を掘る。 解釈:自分の才分に応じた行いや望みを持つこと。 類義:一生升に二升は入らぬ。根性に似せて家を作る。破鍋に閉じ蓋。 噛む馬は終いまで噛む。 類義:三つ子の魂百までも。 亀の年を鶴が羨む。 解釈:欲に際限がないことのたとえ。 類義:亀も上々(うえうえ)。 鴨の水掻き。 解釈:のんびりと水に浮かぶ鴨も、水中では絶えず足で水を掻いているよう に、人知れず苦労や心配をしていることのたとえ。 烏の頭(かしら)の白くなるまで。 解釈:何時までもその時期が来ないこと。 類義:鴉(からす)の子が白くなって、駒に角が生(お)いん程。駒に角の 生ゆるまで。 烏の行水(ぎょうずい)。 解釈:よく洗いもせずに、入浴を済ませてしまうこと。また、入浴時間が極 めて短いこと。 烏の白糞(しろふん)。 類義:鳶が鷹を生む。 烏、百度洗っても鷺(さぎ)にはならぬ。 解釈:無駄な骨折りは止めよということ。また、自分の生まれつき持ってい る性質は努力しても変えられないから、それを生かす工夫をした方がよいとい うこと。 類義:烏の黒いのは、磨きがきかぬ。 参考:鵠(こく。白鳥のこと)は浴せずして白し。 烏を鷺(さぎ)。 解釈:黒を白と言い、白を黒と言うように、不合理な事を言うこと。 類義:馬を鹿。白を黒という。雪を墨。 枯木に花。 解釈:衰えた者が再び栄えることのたとえ。また、あり得ないこと、極めて 稀なことのたとえ。 類義:炊豆(いりまめ)に花。枯れた木にも咲く花。貧乏に花咲く。 枯木も山の賑わい。 解釈:枯れた木でも山の風致を添えるものであるという意。転じて、つまら ぬ物も数に加えておけば、無いよりは益(ま)しである。 類義:蟻も軍勢。餓鬼も人数。枯木も森の賑わかし。枯木も山の飾り。痩牛 も数集れ(たかれ)。 夏炉冬扇(かろとうせん)。 解釈:時節外れで役に立たない物のたとえ。転じて、役に立たない才能や言 論をいう。 類義:寒に帷子(かたびら)、土用に布子(ぬのこ)。十日の菊、六日の菖 蒲(しょうぶ・あやめ)。葉月(はづき)の白襲(しろかさね)、 川の石、星となる。 解釈:川の石が星になる筈が無いように、ある筈がないことのたとえ。 類義:石に花咲く。炊豆(いりまめ)に花。 考える葦(あし)。 解釈:人間のこと。パスカルの言葉「人間は一本の葦であり、自然のうち最 も弱いものにすぎぬ。しかし、それは考える葦である」から。 雁が発てば、鳩も発つ。 解釈:自分の能力も省みず、矢鱈と他人の真似をすること。 類義:一匹狂えば、千匹の馬も狂う。鯉が躍れば、泥鰌も躍る。鷹が飛べば、 蚊も飛ぶ。 雁が飛べば、石亀も地団駄(じだんだ)。 解釈:自分をわきまえずに、他人の真似をしようとする意。雁が飛ぶのを見 て、飛べる筈のない石亀も飛ぼうとして地を踏み付けることから。 類義:蛙が跳べば、石亀も地団駄。鯉が躍れば泥鰌も躍る。鶴が飛べば、瓢 箪(ひょうたん)も羽たたき。 閑古鳥(かんこどり)が鳴く。 解釈:人がいなくて、物寂しい様子。商売が流行らないときなどに言う。 |