仇花(あだばな)に実は成らぬ。 解釈:仇花は実のならない花のことで、見かけは美しくても成果は上らない こと。着実でない計画は成功しない。 頭の黒い鼠。 解釈:主家の物をかすめ取る者をいう。人間の髪が黒いのを、鼠になぞらえ ていう言葉。 新しい酒を古い革袋に盛る。 解釈:新しい思想や内容を古い形式や器に当てはめてしまうこと。 新しき酒は、新しき革袋に盛れ。 解釈:新しい思想や考え方は、表現形式も新しくすべきである。 後の雁(かり)が先になる。 解釈:後から遅れて来た者が、先に進んでいる者を追い越すことのたとえ。 油断すると後から来る者に追い越されるという意。 類義:後の雁。後舟、かえって先となる。先の雁が後になる。 穴の狢(むじな)を値段する。 類義:捕らぬ狸の皮算用。 あの声で蜥蜴(とかげ)食らうか時鳥(ほととぎす)。 解釈:時鳥は蜥蜴を食うとは思えないほどの、哀れな声で鳴く。転じて、人 は見かけによらないものだという意。宝井其角(たからいきかく)の句。 類義:外面如菩薩内心如夜叉(げめんにょぼさつないしんにょやしゃ)。 家鴨(あひる)が文庫を背負う。 解釈:背が低く、尻の大きい女の格好の悪い様を言った言葉。 虻蜂(あぶはち)取らず。 解釈:両方の物を得ようとして、どちらも取り逃がすこと。欲ばり過ぎたた めに、かえってだめになるという意。 類義:一も取らず二も取らず。二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず。花も 折らず実も取らず。 油に画き、氷に鏤む(ちりばむ)。 解釈:油の上に絵を描いたり、氷に彫刻しても、直ぐ消え失せてしまうこと から、実体のはっきりしない物に向かって苦労しても、甲斐がないこと。骨折 り損の意。 油に水。 解釈:性質が異なるために、しっくりしにいこと。異質なために、融和しな いこと。 類義:油に水の混じる如し。水に油。 油を以て油煙を落とす。 解釈:同種の物を利用して効果を上げること。 類義:邪(じゃ)を禁ずるに邪を以てす。毒を以て毒を制す。盗人の番には、 盗人を使え。 雨栗日柿(あまぐりひがき)。 解釈:雨の多い年は栗のできがよく、日照りが多かった年には柿のできがよ い、という言い伝え。 雨垂れ、石をも穿つ。 解釈:僅かな力でも、根気よく続けることによって、成就するということ。 類義:石に立つ矢。泰山(たいざん)の溜(したたり)、石を穿つ。釣瓶縄 (つるべなわ)井桁(いげた)を断つ。点滴、石をも穿つ。念力、岩をも透す。 人跡(ひとあと)繁ければ、山をも窪む。 雨垂れは三途(さんず)の川。 解釈:一歩家を出れば、どんな危険にぶつかるか分からない。雨垂れの落ち る軒下が、この世とあの世の境目であるという意。 類義:雨垂れ落ちは三途の川。男は閾(しきい)を跨げば七人の敵あり。 あま梃子(てこ)では行かぬ。 解釈:生易しいことでは、解決できない。よほどの覚悟が必要だという意。 梃子を使えば、重い物も容易に動かすことができるが、ちゃちな梃子ではどう にもならない。 雨夜(あまよ)の月。 解釈:在るのだが、見えない物。想像だけで、現実とはならないことのたと え。 類義:雨夜の星。 網の目に風溜(た)まらず。 解釈:風は網の目を吹き抜けるから、網は風を止める役には立たない。いく ら注ぎ込んでも、一方から抜けていってはたまらないこと。 類義:蜘蛛(くも)の網に風溜まらず。 網の目に風止まる。 解釈:ある筈がないことのたとえ。また、あり得ないことも稀にはあるとい うこと。 類義:雨の夜にも星。蚊帳(かや)の目に風溜まる。 蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)。 解釈:蛙や蝉が喧しく鳴き騒ぐこと。転じて、言葉ばかりで内容のない文章 や議論をからかった語。また、くだらない連中ががやがや騒ぎ立てること。 雨が降ろうが、槍が降ろうが。 解釈:どんな困難があっても、という決心の堅さをいう。 類義:火が降っても、槍が降っても。 雨、塊(つちくれ)を破らず。 解釈:世の中が泰平でること。雨が静かに降り、土の塊を壊すことなく地面 に浸み込み、草木を育てるという意。 類義:海、波を揚げず。 雨に沐(かみあら)い、風に櫛(くしけず)る。 類義:櫛風沐雨(しっぷうもくう)。 雨に濡れて、露恐ろしからず。 解釈:大難を経験した者は、少しぐらいの困難にはたじろがない。 雨の降る日は、天気が悪い。 解釈:当たり前のことを、こと改めて言うこと。 類義:犬が西向きゃ、尾は東。雉子(きじ)の雌鳥ゃ(めんどりゃ)女鳥。 雨の夜にも星。 解釈:普通にはあり得ないことでも、稀にはあるということ。 類義:網の目に風とまる。 雨は花の父母(ふぼ)。 解釈:花が雨に育てられて咲くこと。この「花」は桜のこと。 雨降って地固まる。 解釈:雨が降ると地面に浸み込んだ水が地盤を引き締め、固くなることから、 いざこざが起こることによって、かえってその後では物事がまるく治まり落ち 着くようになるたとえ。 類義:諍(いさか)い果てての契り。 参考:After a storm comes a calm.(嵐の後には凪(なぎ)がくる) 荒馬の轡(くつわ)は前から。 解釈:困難な事ほど小細工せずに、堂々と真正面からぶつかっていくのがよ いということ。 嵐の後には凪(なぎ)が来る。 類義:待てば海路の日和かな。 参考:A after a storm comes a calm.(嵐の後には凪が来る) 嵐の前の静けさ。 解釈:大事件の前の不気味な静けさ。暴風雨が来る直前に一時静まりかえる ことがある。 蟻集まって、樹(き)を揺るがす。 解釈:力の弱い者でも、集まれば大きな樹を揺り動かすほどになるという意。 また、身分に相応しくない望みのたとえ。 類義:蟻が塔を組む。聚蚊(しゅうぶん)雷(らい)を成す。 蟻の穴から堤(つつみ)の崩れ。 解釈:ごく小さな手ぬかりが、取り返しのつかない大事を引き起こすことの たとえ。 類語:千丈の堤も蟻の一穴(いっけつ)から。塵も積もれば山となる。油断 大敵。 蟻の思いも天に昇る。 解釈:蟻のような小さく弱いものでも、一念発起して努力すれば、天にも昇 るような大望を果たせるものである。 類義:一念天に通ず。思う念力岩をも透す。蝦蟇(がま)の息、天へ上る。 虱(しらみ)の息もトウリテン(六欲天の第二。三十三天とも)。蚤(のみ) の息も天に上る(あがる)。 蟻の熊野詣り。 解釈:蟻が列をなしているように、人がぞろぞろと行列を作ること。 類義:蟻の開帳詣り。蟻の観音伊勢詣り。蟻の堂詣り。 蟻の這い出る隙も無い。 解釈:僅かの隙間も無い。警備が厳重で逃れ出る余地の無い状態のたとえ。 慌てる蟹は穴へ這入れぬ。 解釈:慌てると簡単なことでも失敗するから、落ち着くようにとの戒め。 類義:慌てる鼠は穴へも這入れぬ。 鮑(あわび)の貝の片思い。 解釈:鮑は二枚貝のように見えるが、巻貝の一種で、片貝しかない。自分が 思うだけで相手は思ってくれない片恋を、片貝にかけたもの。 類義:磯の鮑の片思い。 泡を食って育つは鰡(いな。鯔)の子ばかり。 解釈:慌て者を諌める言葉。 参考:鰡は鯔(ぼら)の子。鯔は有名な出世魚で、成長するに従い、はく→ おぼこ→いな→ぼら、などと名前を変え、ぼらの特に大きいものを鯔(とど) という。とどとなって終わるから、「いよいよ終わり」を「とどのつまり」と いう。 鮟鱇(あんこう)の待ち食い。 解釈:少しも働かないで、ご馳走だけにありつくこと。鮟鱇は深海の底にじ っと潜んで動かず、小魚をおびき寄せて、これを一呑みにするという。 |