櫛風沐雨(しっぷうもくう)。 解釈:風で髪を解き、雨で髪を洗うという意から転じて、風雨に晒されて、 苦労すること。 鹿の角を蜂が刺す。 類義:牛の角を蜂が刺す。 鹿を逐(お)う者は、山を見ず。 解釈:一つの事に熱中している者は、他事を顧みる余裕がない。目先の利益 追求に夢中になっている者には、それ以外の事柄が見えず道理を見失うたとえ。 類義:鹿を逐う者は兎を顧みず。鹿を追う猟師は山を見ず。 参考:傍目八目(おかめはちもく)。 鹿を指して馬と為す。 解釈:明らかに間違いと分かることを、脅しや威圧によって正しいこととし て押し通すこと。無理のごり押し。 類義:鴨を家鴨(あひる)とささえる。鷺(さぎ)を烏。 獅子吼(ししく)。 解釈:大演説。大雄弁。仏が道を説くとき、一度口を開くと、恰も獅子が吼 (ほ)えて百獣を恐れさせるような威力を以って、邪法や悪魔を説き伏せる様 子をいう。転じて真理や仏法を堂々と説くこと。 鹿(しし。また猪)食った報い。 解釈:悪い事をしたことの当然の報い。禁じられていることを楽しんだ後の 苦しい報い。伊勢の神宮では、鹿と猪を神の使いとしていた。これを食べた者 は、神罰を受けるとされていた。 類義:鹿食った罰。 獅子、身中(しんちゅう)の虫。 解釈:内部、身内から災いが起こること。味方と思っていた者の裏切り。獅 子の体内に寄生していた虫が、遂には獅子を死なせてしまうこと。また仏徒 (ぶっと)でありながら仏法を悪く言うこと。 獅子に牡丹。 解釈:日本画風の美しい光景の取り合わせの一例。 類義:竹に雀。紅葉に鹿。柳に燕。 獅子の子落とし。 解釈:自分の子供は可愛いけれども、苦労苦難をさせて、逞しく育てよの意 味。獅子は生んだ子を深い谷底に突き落として、岩にしがみ付いて這い上がっ たものだけを育てるという。 類義:可愛い子には旅をさせよ。獅子の子育て。 獅子奮迅(ししふんじん)。 解釈:獅子が奮い立ったような凄(すさ)まじい勢いをいう。 蜆貝(しじみがい)で海を量る。 類義:貝殻で海を量る。 蜆(しじみ)千より法螺貝(ほらがい)一つ。 解釈:価値の無い物が幾ら多くあっても、役に立たないことのたとえ。 類義:雀の千声、鶴の一声。 麝香(じゃこう)は臍(へそ)故、命を取らる。 解釈:長所やよい個性が逆に仇(あだ)になるたとえ。麝香鹿は下腹部に芳 香を発する鶏卵大の袋を持っている。雌を惹き付けるための物だが、これが猟 師に狙われて命を落とすことをいったもの。 類義:孔雀は羽ゆえ人に獲らる。翠(すい)は羽を以てその身を害す。象は 歯ありて以て其の身を焚(や)かる。 尺蠖(しゃっかく)の屈(かが)めるは、伸びんがため。 解釈:大きな飛躍のためには、忍従し屈辱に耐えることも必要という意。尺 取り虫が縮むのは伸びるためである。 蛇(じゃ)の口に蝿。 解釈:敵としてはあまりに小さな相手。ひとたまりもないことをいう。 類義:鬼に煎餅(せんべい)。 蛇(じゃ)の道は蛇(へび)。 解釈:同じ種類の人間同士には、同類のやったことは直ぐ分かるということ。 類義:悪魔は悪魔を知る。蛇の道はくちなわが知る。泥棒を捕まえるには、 泥棒を使え。餅は餅屋。 蛇は寸(すん)にして人を呑む。 解釈:人並外れて抜きん出ている人は、小さいときから普通と異なるという たとえ。蛇はほんの一寸くらいの小さい頃から、大きい物を呑むという意。 類義:牛を食らうの気。栴檀(せんだん)は双葉より芳し(かんばし)。蛇 は生まれ乍らにして、牛を呑む気あり。竜は一寸にして昇天の気あり。 首鼠両端(しゅそりょうたん)。 解釈:決心しないこと。迷っている状態。「首鼠」は鼠が穴から首を出し入 れして、左右を窺っていることから、進んだり後退したりすることをいう。 沈丁花(じんちょうげ)は枯れても香し(かんばし)。 解釈:沈丁花はよい香りの花であるが、花が枯れてもまだ香りが残る。よい 物は多少傷んでも値打ちがあるとの意。 類義:腐っても鯛。 |