不退転(ふたいてん)。 解釈:へこたれず、後に引かないこと。挫(くじ)けずに仏道修行に励み、 退くことがなくなること。 用例:不退転の決意を固める。 豚に真珠。 解釈:価値の分からない者に高価な物を与えても役に立たないことのたとえ。 類義:犬に論語。馬の耳に念仏。猫に小判。 参考:To cast pearls before swine.の訳語。 豚に念仏、猫に経。 解釈:何も分からない者には、どんなにいい事を聞かせても、有り難さが分 からないというたとえ。 二股膏薬(ふたまたごうやく)。 解釈:あちらと手を結んだかと思うと、こちらに寝返ったりして、態度が一 定しないこと。 類義:内股膏薬(うちまたごうやく)。 二人口は過ごせるが、一人口は過ごせぬ。 解釈:夫婦の二人分の生活費は、独身者の二倍かかる訳ではなく、かえって 安上がりで経済的であるということ。 類義:十人暮らしは易いが、一人口は暮らせぬ。一人口は食えぬが、二人口 は食える。 二人は伴侶、三人は仲間割れ。 解釈:二人だと仲良くできるが、三人になると、分裂して上手くいかなくな るということ。 参考:Two is company, but three is none.の訳語。 豚を盗んで、骨を施す。 解釈:大きな悪事をした代わりに、小さな善行をして善人の振りをすること。 淵に雨。 解釈:少々増やしても変わり映えしないこと。無駄骨のたとえ。 類義:川に水運ぶ。雪上に霜を加う。淵に塩。淵に上の雨。 淵に臨み魚(うお)を羨むは、退いて網を結ぶに如(し)かず。 解釈:他人の幸せを羨むよりも、自分の幸せを得ることを工夫することが大 切である。 類義:河に臨みて魚を羨むは、家に帰って網を織るに如かず。 淵は瀬となる。 類義:昨日の淵は、今日の瀬。 釜中(ふちゅう)の魚(うお)。 解釈:釜の中で泳いでいる魚のように、危険が目前に迫っているのを知らな いで、呑気にしている様子。 類義:魚の釜の中に遊ぶが如し。 物色(ぶっしょく)。 解釈:物の色。容貌や人相書きで、その人を探すこと。適当な人・物を多く の物の中から探し求めること。 仏法(ぶっぽう)あれば、世法(せほう)あり。 解釈:物事には反対のものがあるという意。世法とは世渡りの法で、仏法の 対義。 類義:煩悩(ぼんのう)あれば、菩提(ぼだい)あり。 筆を曲ぐ。 解釈:故意に事実を曲げて書くこと。 太る南瓜(かぼちゃ)に針を刺す。 解釈:発展していく途中のものに対して、邪魔をすることのたとえ。 舟盗人を徒歩(かち)で追う。 解釈:盗んだ舟に乗って逃げる者を、陸上で追い掛ける。骨折り損のたとえ。 また、やり方が適当でないことのたとえ。 類義:舟盗人を陸で追う。 鮒の仲間には、鮒が王。 解釈:詰まらぬ者の中では、詰まらぬ者が頭(かしら)となること。小人物 の中に賢者はいないたとえ。 類義:団栗(どんぐり)の背競べ。鮒の中では鮒が王。 腑(ふ)に落ちない。 解釈:合点(がってん)がいかない、納得できないということ。 舟に刻みて、剣(つるぎ)を求む。 解釈:時勢の移り変わりに気付かず、何時までも古い考え方や仕来たりに縛 られる愚かなたとえ。舟から剣を落とした男が、舟に印(しるし)を付けて川 底を探したが、船が動いて見付けることができなかったという中国楚(そ)の 故事による。 類義:株を守りて兎を待つ。 舟に懲りて、輿を忌む。 解釈:舟に乗ってひどい目に遭ったため、駕籠に乗ることも嫌うように、必 要以上に用心すること。 類義:羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く。黒犬に噛まれて、赤犬 に怖(お)じる。 船は船頭に任せる。 解釈:船のことは船頭に任せた方がよいように、何でもそれぞれの専門家に 任せた方がよいということ。 類義:海の事は漁師に問え。仏の沙汰は僧が知る。道によって賢し。餅は餅 屋。 船は帆で持つ、帆は船で持つ。 解釈:船は帆によって動き、帆は船がなくては役に立たないように、世の中 は互いに助け合ってこそ価値を生じるものであるという意。 舟は帆任せ、帆は風任せ。 解釈:あれこれ思い煩わず、全て成り行きに任せるということ。帆掛け舟が 進むのは帆のお蔭であり、その帆の働きは、風任せであるということ。 船を沈め、釜を破る。 解釈:必死の覚悟で物事に当たること。 類義:井を塞ぎ、竈(かまど)を平らぐ。釜を破り、船を沈む。背水の陣。 舟を焼く。糧(りょう)を棄て、船を沈む。 舟を焼く。 解釈:舟を焼いて自分から逃げ道を絶ち、決死の覚悟で臨むこと。ジュリア ス・シーザーが敵国に侵入する際、部下に勝利か死かを覚悟させるためにボー トを焼いて後退不可能にしたことから。 類義:川を渡り、舟を焼く。背水の陣。船を沈め、釜を破る。 参考:To burn one's boats.の訳語。 不偏不党(ふへんふとう)。 解釈:一方に片寄らない立場を採ること。 父母の恩は山よりも高く、海よりも深し。 解釈:両親から受けた恩は、他に比べるものがないほど大きい。 類義:千尋(せんじん)の海、蘇迷盧(そめいろ)の山。父の恩は山よりも 高く、母の恩は海よりも深し。船車(ふなぐるま)にも積まれぬ御恩。父母の 恩を知らざるは、只(ただ)畜類に喩(たと)えたり。 文(ふみ)はやりたし、書く手は持たず。 解釈:恋文を書きたいが、文字を書けない。かといって人に頼むのは恥ずか しいと気を揉むこと。 不身持(ふみもち)の儒者が、医者の不養生を謗る(そしる)。 解釈:自分の欠点を省みずに、人の欠点を馬鹿にすることのたとえ。 類義:猿の尻笑い。 踏めば窪む。 解釈:何かすれば多少の差はあっても、効果はあるということ。何もしな ければ何の効果も望めない。やればやるだけ、何らかの反応や影響があると いうたとえ。 冬編笠に、夏頭巾(ずきん)。 解釈:逆さまなことのたとえ。また、そのような異変もあり得るということ。 類義:夏布子(ぬのこ)に冬帷子(かたびら)。冬帷子に夏布子。 蜉蝣(ふゆう)の一期(いちご)。 解釈:蜉蝣(かげろう)は朝生まれて夕方には消えてしまう。それと同じよ うに人間の一生の儚(はかな)いことのたとえ。 類義:蚋(ぶよ)の一時。 冬来(きた)りなば、春遠からじ。 解釈:厳しい冬が来たとはいっても、また明るく暖かい春が巡ってくる。今 は不幸でも、それに耐え抜けば前途には明るい希望が見えてくるということ。 参考:If winter comes, can spring be far behind?の訳語。 冬の雪売り。 解釈:何処にでもあり余るほどある物を売っても、買い手がないことのたと え。 類義:湖上、魚を鬻(ひさ)がず。冬の氷売り。林中には薪(たきぎ)を売 らず。 降らぬ先の傘。 解釈:先の事を考えて、不意の時の用意をしておくこと。 類義:転ばぬ先の杖。濡れぬ先の傘。 降りかかる火の粉(こ)は、払わねばならぬ。 解釈:自分の身に危険が迫れば、それを防ぐ行動に出ざるを得ないこと。 類義:売られた喧嘩は買わねばならぬ。 武陵桃源(ぶりょうとうげん)。 解釈:世俗からかけ離れた別天地。単に「桃源」とも用いる。中国晋(しん) 代、武陵の漁師が川を遡って行くと桃林に出合った。更に川源まで行き着くと そこに洞穴があり、その遥か彼方に、戦乱を避け、世の中の変遷を知らずに平 和に暮らす人々の村があったという故事による。 振り分け髪(がみ)の友。 類義:竹馬の友。 古川の水絶えず。 解釈:涸れたように見える古川でも、地下に流ががあって水が絶えることは ない。これと同じように、幾ら旧家が落ちぶれても、昔を思わせるような立派 な物が残っていたりして、そう簡単に尽きることはないという意。 類義:大鍋の底は撫でても三杯。腐っても鯛。長者の跡は三年味噌臭い。古 川には水涸れず。 古疵(ふるきず)は痛み易い。 解釈:古い傷は一見治ったように見えても陽気の変わり目に時々痛んだりす るように、過去の悪事も何かある毎に祟るものだという意。 古木(ふるぎ)に手を掛くるな、若木に腰掛くるな。 解釈:これから先の見込みがない者を頼りにするな、現在は振るわなくても、 将来の発展の見込みがある者には、敬意を払うべきであるということ。 類義:若木に腰掛けな。 故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る。(論語) 解釈:以前に学んだ事をよく吟味し、それを基にして新しく知識を拓くこと。 また、過去の事柄を研究して、新しい見識を拓くこと。温故知新(おんこちし ん)。「温(あたた)めて」と用いることがある。 古屋(ふるや)の造作(ぞうさく)。 解釈:古い家を増改築したりすると、いろいろと痛んだ個所や不都合な点が 出てきたりして、意外と手間や費用がかかることをいう。 風呂と客は立ったがよい。 解釈:客は立って一差(ひとさし)舞わなければならないと、客の余興を求 める言葉。また、客はあまり長居をせずに、ほどほどで帰った方がよいという こと。 類義:客と白鷺(しらさぎ)は、立ったが見事。 不惑(ふわく)。(論語) 解釈:四十歳のこと。 附和雷同(ふわらいどう)。 解釈:自分の意見を持たず、軽々しく他人の説に同調すること。 刎頚(ふんけい)の交り。 解釈:深く親しい交わり。友のために首を刎(は)ねられても決して後悔し ないくらいの堅い交わり。 粉骨砕身(ふんこつさいしん)。 解釈:骨が粉になり、身体が砕けるほど働くこと。骨身を惜しまずよく働く こと。 文事(ぶんじ)ある者は必ず武備(ぶび)あり。 解釈:学芸と軍備はどちらか一方に片寄ってはならないということ。 類義:治(ち)に居て乱を忘れず。文武は車の両輪。 分相応(ぶんそうおう)に風が吹く。 解釈:人にはそれぞれ身分相応の暮らし方があるということ。 類義:大きな家には大きな風。分々(ぶんぶん)に風は吹く。 踏んだり蹴たり。 解釈:何度も重ねてひどん目に遭うこと。または、ひどい目に遭わせること。 類義:痛む上に塩を塗る。こけた上を踏まれる。泣き面に蜂。 糞土(ふんど)の牆(しょう)はぬるべからず。 解釈:汚い土で造った壁は、鏝(こて)で綺麗に塗ることはできない。性根 (しょうね)のない人間には教える甲斐がないというたとえ。 類義:朽木(きゅうぼく)は雕(え)るべからず。 文(ぶん)は人なり。 解釈:文章は、筆者の思想を表現したものであるから、その全人格が表れて いるとしいうこと。 参考:The style is the man himself.の訳語。 文は武に勝る。 類義:ペンは剣よりも強し。 分別過ぐれば、愚に返る。 解釈:あまり考え過ぎると、かえって詰まらない考えをして失敗するという こと。 類義:過ぎたるは猶及ばざるが如し。 分別なき者に怖(お)じよ。 解釈:考えのない者は、何を仕出かすか分からないので恐ろしい。分別のな い者には気を付けた方がよいということ。 類義:馬鹿程怖い者はない。 |