無いが意見の総仕舞い(そうじまい)。
解釈:放蕩者(ほうとうもの)に幾ら意見しても、効き目はないが、金を使
い果たせば遊べなくなるから、放蕩も自然に止んでしまう。
類義:無いとこ納め。
無いが極楽、知らぬが仏。
解釈:富の無い者は、豊かな暮らしを知らないから、欲に悩まされることも
ない。貧乏もそれなりに幸福であるということ。
活用⇒貧困者は、それなりに幸福である。Poor people are reasonably
happy.
反義:貧ほど悲しきことはなし。貧ほど辛い病はない。
無い子では泣かで、有る子に泣く。
解釈:子を持たなければ子に泣かされることもないが、子を持てば子の不始
末や親不孝で苦労することが多いという意。
類義:子故に泣けど、子が無くて泣く人はなし。持たない子には苦労はしな
い。
無い子では泣かれぬ。
解釈:たとえ子で苦労するとしても、子はあった方がいい。子がなくては、
苦労してみたくても、することもできない。
反義:子が無くて泣くは、芋掘りばかり。
内助(ないじょ)。
解釈:内部から与える援助。特に妻が家庭にいて、夫が外で十分に働けるよ
うに助けること。「内助の功」ともいう。
活用⇒会員が、会の長を補佐する。Members of the Committee to assist
the head.
内証(ないしょう)は火の車。
解釈:外から見た限りでは分からなくても、内部の財政状態がひどく苦しい
こと。
活用⇒外見は豪華、内面は貧困。The face is gorgeous, but the inside
is poor.
類義:内(うち)は火が降る。内は火の車。
内緒話は、江戸まで聞こえる。
解釈:秘密の話は何処からともなく洩れ、隠し通すことはできない。
活用⇒秘密は必ず漏れる。The secret leaks without fail.
類義:囁き千里。囁き八町。
無い袖は振られぬ。
解釈:実際持っていないものはどうしようもない。金銭に限らず、援助を請
われてもどうにもできないこと。
類義:世話尽(せわづくし)。
参考:An empty bag can't stand up right.(空の袋は真っ直ぐに立たない)
泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生。
解釈:同じ一生なら泣いて暮らすより笑って楽しく暮らす方が得である。
活用⇒泣いている一生よりも、悦楽の一生を選ぶ。The life of the
delight is chosen without choosing the crying life.
泣いて育てて、笑うて斯(か)かれ。
解釈:子供を育てるのにたとえ苦労したとしても、立派に成人させれば、老
後は、その子に面倒をみて貰って安楽に暮らせるというものである。
活用⇒老後は、息子の養育によって暮らしたい。Old age, I want to be
taken into care by a child who raised it.
泣いて馬謖(ばしょく)を斬る。
解釈:私情では忍びないが、秩序・規律を保つためには、愛する者をも断固
として処罰すること。中国三国時代、蜀(しょく)の諸葛孔明(しょかつこう
めい)は、可愛がっていた部下の馬謖を、命にそむき大敗に至らせた責任を取
らせて、涙ながらに斬ったという故事による。
無い時の辛抱、有る時の倹約。
解釈:金が無い時は不自由でも辛抱し、有る時もまた乱費しないで、倹約せ
よということ。財を成すたるの秘訣(ひけつ)。
活用⇒貧困なときは辛抱せよ。裕福なときは節約せよ。Case when a poor
patient. Case when a wealthy savings.
無い名は呼ばれず。
類義:火の無い所に煙は立たぬ。
無い物食おうが、人の癖。
解釈:沢山ある物にはあまり食指が動かないが、少ない物や無い物は余計に
欲しくなるということ。
類義:無い物食いたがる。無い物ねだり。
無い物は金(かね)と化物(ばけもの)。
解釈:金は一見あるように思えても、実際は無いもの。居ると言われている
化物も実際は居ない。
類義:有りそうで無いのは金。
内憂外患(ないゆうがいかん)。
解釈:国内に起きた心配事と外国との間に生じた心配事。その両方を同時に
抱えているように、悩みの多い状態をいう。
用例:内憂外患こもごも至る。
直き木に、曲がる枝。
解釈:どんなに立派な人でも欠点はあるものだということ。
活用⇒高潔な人でも、欠点を持っている。Even the person of virtuous
character has a fault.
長生きは、恥多し。
解釈:人間は多少とも恥を晒しながら生きていく。長生きすれば、それだけ
世間に晒した恥も多くなるということ。
活用⇒人は長生きに比例して、恥も多くなる。Shame increases to the
person in proportion to long life, too.
長い舌は、短い手の徴(しるし)。
解釈:大層な事を言う人ほど、実行が伴わず、いざとなると役に立たない。
長居は畏れ。
解釈:人の家を訪問した際には長く居るのは避けるべきである。一所(ひと
ところ)に長居をすると、碌な事はない。
類義:長居は無益。長居は無用。長居をすれば物を見る。
長い目で見る。In the long run.
活用⇒長期間持続する。Long-lasting. I last for a long term.
長芋で足を突く。
解釈:油断していて、思いも掛けない失策を冒すたとえ。また、大袈裟なこ
と。
類義:芋茎(いもがら)で足を衝く。
長い物には巻かれろ。
解釈:自分の力の及ばない相手には反抗せず、相手の言う通りに従っておく
のが無難であるということ。
類義:強い者には負けろ。泣く子と地頭には勝たれぬ。太きには呑まれよ。
長追いは無益(むやく)。
解釈:逃げる敵を徹底的に追い詰めるのは危険であること。死に物狂いの逆
襲を受けて、思わぬ傷を受けることもある。敵に逃げ道を与えた方が、最後の
勝利には有効な場合が多いということ。
類義:長追いは無用。深追いは禁物。
長口上(ながこうじょう)は欠伸(あくび)の種。
解釈:長話は、聞き手を飽きさせるだけで、内容に注意を払って貰えない。
類義:下手の長談義。
長崎ばってん、江戸べらぼう、神戸兵庫のなんぞいや、ついでに丹波のい
も訛り(なまり)。
解釈:各地の方言の特徴、面白さを言ったもの。
類義:江戸べらぼうに、京どすえ。
鳴かず飛ばず。
解釈:他日雄飛する機会を窺(うかが)って、長い間雌伏していること。活
躍して認められる機会や場がなく、人目にも立たないでじっとしていること。
仲立ちより逆立ち。
解釈:仲立ちするのは難しいもので、逆立ちする方がずっと楽であるという
こと。仲介の難しいことのたとえ。
活用⇒仲裁の仕事は難しい。Arbitration is hard work.
泣かぬ子を泣かす。
解釈:大人しくしている子に、いらぬ手出しをして泣かす。余計なお節介を
して面倒を引き起こすことのたとえ。
類義:寝る子を起こす。
仲のよいで喧嘩する。
解釈:仲がよ過ぎると、時々小さな喧嘩をするものだ。
活用⇒仲がよいと、時々喧嘩する。It sometimes fights when getting
along well.
類義:思うあまりの小諍い(こいさかい)。思う仲の綴り諍い。濃い仲の女
夫(めおと)諍い。好い仲の小争い。
長飯長糞、これも一得(いっとく)。
解釈:どちらかというと欠点になるような癖も、時には役立つということ。
長持、枕にならず。
解釈:大は小を兼ねるとはいうが、長持では枕の代用にはならないように、
そういかない場合もあることのたとえ。
活用⇒大きい物は、小さい物を兼ねないこともある。Of large,
sometimes small things may not concurrently.
類義:杓子(しゃくし)は耳掻きにならぬ。
流れ川に大魚なし。
解釈:大魚はせせらぎには棲めないように、大人物が活躍するためには、相
応の大きな場が必要であること。
活用⇒大人物は、大きな舞台を必要とする。The great man needs a big
stage.
類義:大魚は小池に棲まず。
流れに棹(さお)。
解釈:川の流れに乗って下る舟に、棹刺して速度が増すように、勢いが付い
たところへ加勢されて、更に物事が順調に運ぶこと。「流れに棹刺す」とも。
活用⇒順調なことが、加勢されて更によくなること。Is smooth, it is
also better help.
類義:得手(えて)に帆を上げる。
流れに枕し、石に漱ぐ(くちすすぐ)。
解釈:負け惜しみが強く、屁理屈を言って上手く言い逃れをすること。
活用⇒負け惜しみを言うこと。It gives yield with a bad grace.
類義:石に漱ぎ、流れに枕す。
流れる水は腐らず。
解釈:淀みの水は腐るが、流れ続ける水は腐らない。人も仕事や勉学に励ん
でいれば、生き生きとして進歩できるということ。
活用⇒常に勉学をしていれば、新鮮である。If study is always done,
it is fresh.
類義:転がる石には苔生えぬ。精出せば凍る間もなし水車(みずぐるま)。
使う鍬は錆びぬ。
流れを汲みて、源を知る。
解釈:行いを見てその人の性格や本心を窺うことができる。下流の水を見て、
その水源の様子を知ることのたとえ。
活用⇒行動を観察して、本性を推察できる。The nature can be guessed
by observing the action.
泣き面に蜂。
解釈:泣いて浮腫(むく)んだ顔を更に蜂が刺す。不幸が続いて起こること、
よくないことが重なること。
類義:痛む上に塩を塗る。不幸は単独では来ない。弱り目に祟り目。
参考:It never rains but it pours.(降れば必ず土砂降り)
泣く子と地頭(じとう)には勝てぬ。
解釈:「地頭」は平安時代荘園(しょうえん)管理に当たった役人。泣く子
と地頭の無理は許すしかないということから、力のある者に道理を言っても勝
ち目がないということ。
活用⇒権力者は必ず勝つ。The man of power wins without fail.
類義:力は正直。強い者勝ち。
参考:Kings have long arms.(王の腕は長い)
泣く子に乳。
解釈:ある行為に対しての効果が、直ぐに現れることのたとえ。
活用⇒習ったら、すぐ実行する。It executes it soon when learning
it.
類義:泣く子に唐辛子。泣く子に羊羹(ようかん)。遣り手に小判。
泣く子は育つ。
解釈:乳児にとっては、泣くのは一種の運動でもあるから、よくなく子は食
欲も盛んである。その結果、健康で発育状態もよいということ。
類義:赤子は泣き泣き育つ。泣く子はかみ堅し。
参考:「強者は必ず勝つのか」
無くて七癖(ななくせ)。
解釈:誰にでも癖はあることのたとえ。癖がないような人でも、七つくらい
は持っているものだ。
活用⇒誰でも、いくらかの癖を持っている。Everyone has some habits.
類義:無くて七癖、有って四十八癖。難無くて七癖。人に一癖。
泣く泣くよい方を取る形見(かたみ)分け。
解釈:欲だけはなくさない人間の性根(しょうね)の浅ましさを皮肉った言
葉。親兄弟の死を悲しんで泣きながらも、いざ形見分けとなると欲が出て、値
打物を選ぶ。
鳴くまで待とう時鳥(ほととぎす)。
解釈:徳川家康の作とされる句。忍耐強いこと、寛容であることが、最終的
な勝利を招くことを遠回しに表現する言葉。「鳴かぬなら」の句に続いて、
「殺してしまえ時鳥」の織田信長、「鳴かしてみせよう時鳥」の豊臣秀吉と並
べて、戦国三武将の性格の違いを示す言葉とされている。
活用⇒何事も、機が熟すまで待とう。Let's wait for what until the
opportunity ripens.
鳴く虫は捕らる。
解釈:鳴き声の美しい虫は、それ故に捕らえられるように、なまじの特技は
かえって身を誤ることのたとえ。
活用⇒特技を持っていると、場合によっては、不幸になることがある。
According to circumstances, with the special skill, it is likely to
become unhappy.
類義:粋(いき)が身を食う。孔雀は羽故に人に獲らる。象は歯有りて以て
身を焚かる。
無け無しの無駄遣い。
解釈:金銭に余裕の無い者ほど、浪費し勝ちであるということ。「金持、金
を使わず」という諺もある。
活用⇒貧困者は、無計画に浪費する。Poor waste it haphazardly.
仲人七嘘。
解釈:仲人の褒め言葉は、嘘が多いもので、当てにはできないということ。
活用⇒仲人は、真実を言わないことが多い。The go-between doesn't
often speak the truth.
類義:仲人口は当てにならぬ。仲人口は嘘八百の掛け値。仲人口は半分に聞
け。仲人の嘘八百。仲人の空言(そらごと)。
仲人は、時にとっての氏神。
解釈:縁談をまとめてくれる仲人は、当人同士にとって、その時は有り難く、
神様のようなものである。
活用⇒見合いのときは、仲人は神様になる。When meeting it with a
view to marriage, the go-between becomes a god.
類義:挨拶は時の氏神。
仲人は宵の中(うち)。
解釈:引き際を綺麗にすることが肝心であること。仲人が有り難いのは、式
や披露宴の終わる宵の口迄で、それ以後は若夫婦にとっては邪魔なだけだから、
早々に引き上げた方がよい。
活用⇒役目が終わったら、早々に退出することを忘れるな。Do not
forget to leave early when the role ends.
類義:仲人は宵の口。
仲人は草鞋千足。
解釈:仲人は一つの縁談をまとめるために、千足の草鞋を履き潰すほど奔走
する。仲人の苦労をいうたとえ。
活用⇒仲人は、二人の家の間を何回も往復するので、1000足の履物を消耗
した。Because the go-between shuttles between houses of two people
many times, 1000 footwears has been consumed.
類義:仲人の履物(はきもの)切らし。
名古屋女に宮男(みやおとこ)。
類義:東男に京女。
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