情けが仇(あだ)。 解釈:相手を思い、情をこめてした事が、かえって悪い結果を生じてしまう ということ。 活用⇒相手の好意に対しては、誠意をもって応えよ。Reward with sincerity for other party's goodwill. 類義:恩が仇。慈悲が仇になる。情けの罪科。 情けに刃向かう刃(やいば)なし。 解釈:情けや慈悲を掛けられれば、反抗することはできないということ。深 い情けが、結局は最も強い武器になること。 活用⇒情愛を受けることは、至上の幸福である。It is happiness of supremacy to receive affection. 類義:仁者(じんしゃ)に敵なし。 反義:恩を仇で返す。 情けの酒より、酒屋の酒。 解釈:同情を寄せられるだけでは、さほど有り難くもない。同時に実質的な 恩恵、特典が欲しいということ。 活用⇒同情するなら、品物を上げたい。I want to raise the actual goods if sympathizing. 類義:お心持ちより、樽の酒。思召しより米の飯。 情けは質に置かれず。 類義:情けの酒より、酒屋の酒。 情けは人の為ならず。 解釈:人に情けを掛ければ、相手のためになるだけではなく、何時か巡り巡 って自分自身に返ってくる。善行を施すのは、自分のためでもあるということ。 活用⇒善行は、人のためと自分のためにある。There is beneficence for the person and for me. 類義:思えば思わる。 情けも過ぎれば、仇となる。 解釈:度を越して情けを掛けると、かえってその人のためにならなかったり、 迷惑に思われたりするということ。 活用⇒同情は、適当にすべきである。You should do the sympathy properly. 情けを仇で返す。 解釈:情けを掛けた貰った恩義ある人に対し、害を加える振る舞いをするこ と。 活用⇒同情をされたら、誠意をもって恩返しをして下さい。If it sympathized, then repay its kindness in all sincerity. 類義:後足(あとあし)で砂を掛ける。恩を仇で返す。 梨の礫(つぶて)。 解釈:投げた石が戻ってこないことから、何の連絡もないこと。音信不通。 「梨」を「無」に掛けている。「梨も礫もせぬ」ともいう。 済(な)す時の閻魔顔。 解釈:借金を頼むときは下手(したて)に出て愛想をよくするが、返済とな ると渋々で不機嫌になること。自分勝手なことをいう。 類義:借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔。 茄子(なすび)の花と親の意見は、千に一つも仇はない。 解釈:茄子には無駄花がなく、全て実となるように、親の意見は間違いがな くてためになることばかりであるという意。 為せば成る。 解釈:物事は、やる気になってやれば、何でもできるものだ。米沢藩主上杉 鷹山(うえすぎようざん)の歌「為せば成る為さねばならぬ何事も、成らぬは 人の為さぬなりけり」。 参考:「Uesugi Youzan」・「上杉鷹山」。 名高の骨高。 解釈:人から聞いた話と実際とがひどく違っていることのたとえ。名前だけ はよく知られているが、実際はお粗末で詰まらないこと。 活用⇒写真と実物とは異なる。It is different from a photograph and the real thing. 類義:聞いて極楽、見て地獄。聞いて千金、見て一毫(いちごう)。聞いて 千金、見て一文(いちもん)。 菜種(なたね)から油まで。 解釈:最初から終わりまでの意。 鉈を貸して、山を伐られる。 解釈:信用できない者を信用して、かえって災いを受けること。 類義:恩を仇で返す。盗人に鍵を預ける。盗人に糧(かて)。盗人に倉の番。 庇(ひさし)を貸し手母屋取られる。 夏歌う者は、冬泣く。 解釈:働ける時に怠けて遊んでいる人間は、後に生活に困って泣くことにな る。 活用⇒生業を怠ると、後に困窮する。When the occupation is neglected, it becomes poor. 納所(なっしょ)から和尚。 解釈:一足(いっそく)跳びに出世して偉くなること。 類義:沙弥(しゅみ)から長老。 夏布子(ぬのこ)に寒帷子(かたびら)。 解釈:季節外れの役に立たないもの。物事があべこべのこと。「布子」は綿 入れ、「帷子」は麻の単衣(ひとえ)。 類義:夏炉冬扇(かろとうせん)。夏かんじきに冬万鍬(まんが)。夏炬燵。 夏の小袖。 夏の小袖。 解釈:夏の冬着の意で、季節外れで必要ないものということ。 類義:夏炉冬扇(かろとうせん)。夏布子(ぬのこ)に寒帷子(かたびら)。 夏の蛤(はまぐり)は、犬も食わぬ。 解釈:夏の蛤は美味しくないということ。夏は産卵期で味が落ちるが、十月 から三月頃までが旬で一番美味しい。 夏の火は、嫁に焚かせろ。 解釈:夏の暑い時に火を焚くような厭な仕事は嫁にさせよ、ということ。 類義:秋柴(あきしば)嫁に焚かせろ。 反義:夏肥(なつごえ)は嫁に嗅がせろ。 夏の牡丹餅、犬も食わぬ。 解釈:夏作った牡丹餅は腐りやすいので、早く食べた方がよいということ。 類義:夏の餅は居ない者は食わぬ。夏の餅は嫁と姑を仲よくさす。 夏の虫、氷を笑う。 解釈:自分の狭い見識に捉われて、他にもっと別の世界のあることを知らな いという意。夏の虫は氷を知らないので、これを見て笑うということから。 類義:井の中の蛙(かわず)、大海を知らず。 夏は鰹(かつお)に、冬鮪(まぐろ)。 解釈:鰹の一番美味しい季節は夏で、鮪の美味しい季節は冬だということ。 夏は日向を行け、冬は日陰を行け。 解釈:体を健康にするためには、夏は暑い日向に出るようにし、冬は寒い日 陰に居る方がよい。また、夏は涼しい日陰を人に譲り、冬は暖かい日向を人に 譲るようにして、出しゃばった行動を慎んだ方がよいという意味もある。 類義:冬は日陰、夏は日表(ひおもて)。 七重(ななえ)の膝(ひざ)を八重に折る。 解釈:一心にお願いすること。丁重にお詫びをすること。 類義:七重の膝を十重(とえ)も折る。七重の襞(ひだ)を八重に折る。 七転び(ななころび)、八起き(やおき)。 解釈:何度失敗しても失望することなく、奮起して頑張ること。人生の浮き 沈みが激しいことのたとえ。 活用⇒何度失敗しても、何時かは成功するだろう。It is likely to succeed some time no matter how it fails. 類義:七転八起(しちてんはっき)。失敗は成功の基。七下がり七上がり。 七下がり七上がり。 解釈:人間の一生は、何度もの浮沈の繰り返しである。よい時もあれば悪い 説きもり、決して平坦ではない。 活用⇒人生には、浮き沈みがある。In the life, there is ups and downs. 類義:浮き沈み七度。七転び(ななころび)、八起き(やおき)。 七度(ななたび)尋ねて、人を疑え。 解釈:物が紛失したとき、何度もよく探した上で、他人を疑っても遅くない。 類義:七度探して、人を疑え。七日尋ねて人を疑え。 反義:人を見たら泥棒と思え。 七つ泣き別れ。 解釈:七歳年の違う夫婦というものは、上手くいかずに離婚するという迷信。 七つ七里に憎まれる。 解釈:七、八歳くらいの男の子は、悪戯(いたずら)盛りで、近隣近村の人 々から憎まれる。「七里」は多くの村里のこと。 類義:七つ七里蟹の穴にも憎まれる。七つ憎まれ、八つ張られ。七つ八つは 憎まれ盛り。 七つまでは神のうち。 解釈:子供は七歳までは神に守られているということ。これは古い民俗信仰 より出たもので、生後数年間は、人間は神のもので、死ぬことは神の元に還っ て行くことだから、死なせても罪になるとは考えず、葬る方法も人間並みに扱 わないで、捨て去るような粗末な扱いをした。 活用⇒幼児は神様である。The infant is a god. 類義:七つ前の子は、神様。男子(なんし)は七歳迄物あやかり。 何某(なにがし)より金貸し。 解釈:名を取るより実(じつ)を取った方がよいという意。由緒ある家柄で も貧乏では何にもならない。金貸しと蔑(さげす)まれても、金貸しするほど の財産家がよい。 活用⇒名声よりも、財産を重んじる。I respect property than the fame. 類義:某(それがし)より食うがし。 何事も因縁。 解釈:この世の中の全ての事、悲しみや苦しみや楽しみは、前世の因縁によ っているのだ、今生(こんじょう)は前世からの繋がりの結果としてあるのだ という意。 何事も縁(えん)。 解釈:全ての物ごとは縁があってこそ結ばれるので、どんなに親しい仲でも、 縁がなければ結ばれない。 何事も縁の結果である。All are the results at the chance. 類義:合縁奇縁(あいえんきえん)。縁は異なもの。 何もせずにいる事は、悪を為している事なり。 解釈:人間はこの世に生を受けた以上は、自分から進んでよい事をしなけ ればならない。何もしないでいるのは、人道に反して悪事を行っていることと 同じという意。 活用⇒もし善行をしなければ、何もしなくても、悪事をしてるとみなされ る。It is considered to do an evil deed even if I do nothing if I do not do a good deed. 類義:善を為さざる者は大いに悪を為す。 難波(なにわ)の蘆(あし)は、伊勢の浜荻(はまおぎ)。 解釈:同じ物でも、場所が変われば呼び名が違うものだということ。難波の 国(現在の大阪府)での蘆は、伊勢の国(現在の三重県)では浜荻と呼ぶこと から。 類義:所変われば品変わる。 七日通る漆も、手に取らねばかぶれない。 解釈:物事に関わりを持たなければ、被害を受けることはないという意。 類義:触らぬ神に祟りなし。 名主の跡は芋畠。 解釈:長者で栄えた家が、今は没落して、見る影もない様子をいう。金持の 家の跡継ぎには怠け者が多く、散財をして二、三代で家を潰してしまうものだ。 類義:長者に二代なし。長者末代続かず。名主の三代、草だらけ。名家三代 続かず。 名の無い星は、宵から出る。 解釈:初めに出てくる物によい物がないこと。また、待ち望んでいる者は、 中々来なくて、待ちもしない者が早くからやって来るという意。 類義:よい花は後から。 名は実(じつ)の賓(ひん)。 解釈:徳を積めば名誉は自然に伴ってくる。徳を伴わぬ名誉は無意味である。 名誉は実際の徳が齎(もたら)す賓(客)であるという意。 活用⇒名誉は、徳と共に存在する。Honor exists along with morality. 名は体を表す。 解釈:人や物の名前は、そのものの実態を表しているものだ。 活用⇒人は、名前に似たような人間になる。The person becomes man who looks like the name. 類義:名詮自性(みょうせんじしょう)。 参考:Name is omen.(名は縁起もの) なぶれば、兎も食い付く。 解釈:我慢にも限度というものがある。どんなに大人しい物でも、煩(うる さ)く手出しをすれば怒るという意から。 活用⇒弱い者を苛めると、仕返しをされる。When a weak person is bullied, it is retaliated. 類義:地蔵の顔も三度。仏の顔も三度。 鍋が釜を黒いと言う。 解釈:自分の事を棚に上げ、人の事を嘲(あざけ)ること。 活用⇒他人の事について、自分の事のように思いなさい。Think of others' things like think of my thing. 類義:五十歩百歩。目糞が鼻糞を笑う。 鍋釜売っても。 解釈:どんなに無理な算段をしてもということ。 類義:借金を質に置いても。 鍋蓋で鼠を抑えたよう。 解釈:思い切り悪く、決断の付かないことのたとえ。 鍋蓋と鼈(すっぽん)。 解釈:あまりに違い過ぎることのたとえ。 類義:月と鼈。同形異質。 ナポリを見てから死ね。 解釈:イタリアのナポリの風景美をたとえたもので、その美しい景色を見な いままに死ぬのは勿体無いという意。 類義:日光を見ない中(うち)は、結構と言うな。 参考:See Naples and then die.の訳語。 |