1999年8月上旬の日記

夏期講習で忙しい合間を縫っての日記更新。仕事以外ではうちのiMacのカスタマイズに熱中しました。(1999年9月1日記)

8月1日(日) タンジェリンのiBookが欲しいよ。
[日記]7月末につかの間のお休みがあったのだけど、明日から仕事再開。今度は3週間の長丁場です。
お休みの間は結構iMac漬け。iMacやMac OSの解説書をあれこれ読みあさったり、ワープロ専用機(キャノワード)で作成して蓄積していた授業用資料(MS-DOSフォーマット)をiMacに少しずつ移し換えJeditで編集し直したり、オンラインソフトをダウンロードしてデスクトップのカスタマイズに夢中になったり、ちょっとだけゲームにはまったり(ゲームの話題はいずれ別の機会にね)といった毎日でしたが、なによりもワクワクしたのはなんといっても例の
iBookの発表。毎日配信されるメールマガジン(MacWire Express)の記事を頼りにあちこちのMac関係のサイトを覗いては情報を集め、掲示板でいろんな方々の書き込みを読ませてもらったりしました。大人の男が持って歩くのは恥ずかしいっていう意見が多かったのには笑っちゃいました。大人の男の人ってすごく不便なんだね。
今回すごいなあと思ったのはやっぱり、Airportという技術を利用してワイヤレスでインターネットに接続したりLANを組めたりする点。コードなんか気にせずに、リビングとかベッドルームとかベランダとか好きなところに持っていって使えるじゃん、ねえ。それにあのデザインでしょ。超欲しいよ。発売されるのは秋(9月)だし、色は絶対にタンジェリンだなあ。でもMac OS 9の発表が10月だって言うから、それを待ってMac OS 9がインストールされたヴァージョンを買おうかな。またOSのアップデートで苦労しそうだからね。ちなみに
QuickTime 4もアップルのホームページからダウンロードしてインストールしました。
でもコンピューターってなんかものすごくお金がかかりますよね。このままだといつまでたってもSRS
用語についてを参照)用のお金が貯まらないよお。
[回想記]Mac自体を使うのも楽しいけれど、使い勝手をよくするためのカスタマイズってやつにもはまっちゃいますね。そこらへんの話は別の機会に文章にまとめてみたいと思っています。QuickTime 4も楽しい。アップル・ジャパンのホームページのQuickTime ShowcaseってところでQuickTime 4用のコンテンツがいろいろ公開されています。iBook、待ち遠しいですね。早く実物を触ってみたいものです。(1999年9月1日)

8月8日(日) 東野圭吾『白夜行』を読む。
[日記]6日(金曜日)まで仕事が忙しく眠る暇もないような状態。土日はつかの間のお休みだった。
金曜日の夜、仕事を終え自宅に戻る途中に立ち寄った本屋さんで、大好きな東野圭吾さん(たぶん
全作品を読破しているはず)の新刊『白夜行』(集英社)をゲット。土日を利用して読みふけった。東野圭吾さんは一応ミステリー作家というレッテルが貼られているようだが、ミステリーという枠には収まらない当代一流のエンタテイメント作家だと思う。理系出身ならではの豊富な知識を背景に精緻な舞台が設定され、人間が生きることの切なさが見事に描き出されている。社会性も十分にある。しかもそれが「純文学」もどきのものに堕することなく、豊潤な物語性を帯びた極上のエンタテイメント作品として成立しているのがすごいところだ。これは東野さんの最大の武器である明快な文体のなせるわざだろう。あまりにも読みやすいので見過ごしてしまう人たちも多いだろうが、これだけ説得力のある文章を書ける作家はそうはいないはずだ。これこそが「知性」だ。
今秋、
広末涼子さんの主演で映画化されるというので話題になっている『秘密』は、東野さんの去年の作品(文藝春秋刊)であり最高作と言ってもよい傑作(ぜひ読んでくださいね)だったが、今度の『白夜行』でさらに広大な物語の地平を切り拓きはじめたなという印象を受けた。余韻に浸っています。
明日からまた仕事。あと2週間、暑いけど倒れずに乗り切ろう。
[回想記]前々から東野圭吾さんの非公式ホームページを作ってみたいなと思っていましたので、このサイトの新装開店を機に東野圭吾全作品解説というページを作ってみました(まだまだ未完成ですけれども)。映画の方も封切りが9月25日ということでテレビCMもバンバン流れています。銀河は一応観に行くつもりですが、みなさんにはぜひとも原作の方を読んでいただきたいなあと思っています。(1999年9月1日記)

8月10日(火) バービーのPC、欲しくなってしまった。
[日記]Web上ではiBookに対する感想もひと通り出揃い、Mac系のサイトも落ち着きを取り戻しているようだが、なかでも最も話題になったのは例のJohn C. Dvorak氏の発言だった(知っている方も多いですよね)。「メーキャップケースみたいだ」とか「女子供向け」とか「まともな神経の男なら人前で持ち歩こうとは思わない」とか「トイザラスで売っていそう」とか言いたい放題。当然のことながらあちこちで反撃を食らい、sexistなるレッテルまで貼られる始末。ちなみに内容はともかく、原文を読んでみると思わずうなってしまうほど文章の上手な人です。正直、感心しました。
さてそのDvorak氏、「iBookに欠けているのはバービーのロゴだけだ」と揶揄していたのだが、なんと本家のMattel社から子供向けの
バービーのPCが発売されることになったという。スペックとかそういうことはよくわからないのだが、写真を見ると超カワイイ。日本でも発売されるのかどうかはわからないけど、もしもWindowsマシンを買うんだったら絶対これがいいなと思った。それこそトイザラスあたりで売っていそうじゃん(基本的にゲームマシンみたいだし)。コンピューターがトイザラスで買えるなんてことになったらとても素敵だと思う。ちなみにiMacそっくりさんのe-oneは爆発的に売れているようだけど(ここ)、いったいだれが買うのかな、こんなバッタもの。カワイクないから私は嫌いです。そう言えば、自動車の車体をiMac風のスケルトンカラーにするパーツも発売になったようだが(ここ)、こっちの方はカワイイし、こんな車が町を走ってたら思わず笑みがこぼれそうになると思う。
ところでアメリカではすでに現在のiMacは販売中止になっていて、新型iMacの発表を待つばかりだという話を読んだが(
ここ)、本当のところどうなんでしょう。だからアップル・ジャパンはスマートローンで在庫一掃をはかっているのかな。
[回想記]Dvorak氏は袋叩きにあったみたいですが、原文を読んで正直な人だなって思いました。真の問題は、iMacやiBookに代わる「まともな神経の男」のためのデザイン性のすぐれたPCが皆無に近いという点にあるのではないでしょうか。スペックの向上や価格の安さだけに血道をあげるのではなくて、トータルなデザインということを意識しなければ、コンピューターはいつまでたっても成熟した消費材の仲間入りはできないでしょうね。アップルから訴訟を起こされたe-oneの問題点も同じところにあります。デザインにも気を配ろうとしたんだけどiMac風のものしか思いつかないというのでは、あまりにも想像力が貧困です。iMacの真似でしかないのに中途半端にオリジナリティーを発揮しようとした結果、バランスの悪い不格好なものしか作れなかったというのは、Mac OSをパクったWindowsとちょうど同じですね。Dvorak氏のようにiMacやiBookのデザインが嫌いだという人の言い分は理解できます。それは好みの問題なのですから。くり返しますが、問題の本質は、すぐれたデザインのコンピューターを手に入れようという消費者なら当然の欲求を持ったときに、iMac(およびiMac風のもの)以外には選択肢がないという情けない状況にあるのです。(1999年9月1日記)


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Who has seen the wind? Neither you nor I.