まぁ、どんなハナシなのかは興味があったので薄々知っておりまして、NHKのドラマもちらっと観たりもしたので…正確に「まっさら」かというと疑わしいところはありますが……。
正直な感想としましては、「思ったよりも楽しめた!」でした。
娯楽映画としては成功してるのではないでしょうか?
予告を観て足を運んだ邦画にはよく裏切られてきた私ですが(良作に出会えていないだけかな?^^; 予告シーンのみが見せ場で後は繋ぎ……なんていう作品を良く観たもので、つい^^;)…この作品は別。
時間を気にすることなく、最後まで集中して観られました。
なによりも、雅な平安時代の雰囲気を束の間、味わうことが出来て嬉しかったです。
何よりもよかったのが、やはり主人公、阿部晴明を演じられた野村万斎氏でしょう。
あの低音で響く声、囁くような呪文、狩衣を颯爽と着こなし、軽やかに舞うような身のこなし。
いやもう一挙手一投足が絵になるというか…。
原作者の夢枕漠氏が「晴明役は万斎さんしかいない」と断言された理由が分かったような気がいたしました。
(私が勝手にイメージしている晴明像とは大分違うんですけど、でも、この作品の中の「晴明」はとても良い感じでした。)
また、伊藤英明氏の演ずる博雅も、とても初々しい感じで、よい味を出しておりました。
阿部晴明(ホームズ的存在^^;)と源博雅(ワトソン君的存在^^;)の掛け合いも絶妙。二人並んだときの対比もなかなかでした。
また、この作品のテーマともなっている「呪(しゅ)」についても分かりやすく説明してくれたので、とっつき安かったです。
更には「おのれ、晴明ぇ〜〜〜っ!」と叫ぶシーンが印象的な 真田広之氏の演ずる敵役、道尊もすごみがありまして、晴明との対決シーンは目が離せませんでした。
その他の登場人物たちも違和感はあまりなく、観られました。
……とまぁ、褒め言葉づくしですが、気にならない点が全くなかったわけでは決してありません。
物語展開では不自然だと感じたり、強引だなと感じられる部分が多々見受けられました。
例えば、盛り上がるべきところを盛り下げてしまいそうな演出をするとか、「もう一押し」してもらいたいシーンが流されてしまったり、「え゙っ? そこまでヤルほどのこと?」と一瞬引いてしまうシーンがあったり、クライマックスまでの沸点が少々曖昧になっていたり、もうちょい丁寧な動きを見せてくれれば良かったのにという物足りなさもあったりして。
また、全体的にCGの「作りもの」感が目立っていました…。
昔懐かしのウルトラマンとか戦隊もののノリもあり、演出もかなりベタなものが多くて、吹き出しそうになったところもありました、実は(笑)。
まぁ、CGとかに関しては「アニメっぽい」部分をわざと残したと、後で読んだパンフレットに書いてありましたけども。
ただ、そういう気になった部分はあるものの、楽しめる映画であることに代わりはありません。
こういうあっけらかんと楽しめる娯楽作品、私は好きです(なので、★もちょっと多めだったり)。
DVDが発売されたら買ってしまうかも?
2001-11-07