セルを集める基準というのは、
作品が好き・キャラクターデザインが好き・そのキャラの声優さんが好き・等
あると思います。
それは人それぞれと思いますし、それでいいと思います。
私の場合は「荒木プロ作品」「少女モノ」がメインの収集になっていますが、
今までにご紹介してきた通り、その枠にあてはまらない作品でも
感覚が合えば購入してきました。
でも、その前提として
作品を見たがあげられるのですが
この作品に関して言えば
作品を見た事がないのに、先にセルを買う事になっちゃった作品
に、なります。
1988年 ビデオ作品
まんだらけの目録(まんだらけZENBU)については、以前にも触れましたが
年に四回、販売価格が記入してある目録が販売されます。
欲しい商品があれば、その号の応募ハガキで申し込みます。
人気商品は欲しい人も多いので、なかなか当たりませんが
運良く当選すれば、その商品の購入権を得る事ができるというものです。
6月発売のまんだらけZENBU15号で「どんぐりと山猫」のセルが掲載されていました。
この男の子のこっちに向いた睫毛が名倉! |
確か、名倉 靖博さんがキャラデザインした作品という事は、
頭にありましたが、作品を見た事はありません。
掲載されている写真で見る限り
どうも普通のセルと見た目がかなり異なります。
男の子は名倉さんキャラデザイン 「とんがり帽子のメモル」 34話のミッシェルに似てる? |
ここで簡単にセルの彩色について説明しますと
普通、セルはセルの裏から専用の絵の具で塗られています。
重ね塗りができる特殊な絵の具なので
「口の中」「顔や服の影部分」などの面積の小さい部分が先に塗られ
そのあと大きい部分を塗りますが、その時には先に塗った部分の上に塗料がのってしまっても
表からはわからないので大丈夫というワケです。
セルへの加工は他にエアブラシや色トレスもありますが
これは手間がかかります。
どちらにしましてもセルを裏から見る事は、あまりおすすめできません(笑)
ZENBUを見れば見るほど「どんぐりと山猫」のセルは、今まで見てきたセルとなンか違う!
もしかして?!セルの上から描かれてない?!
これはちょっと、どんなセルか見たいなぁ!
30000円+税か・・・
ま・・・どうせ当たらないだろうけど応募しとこ
そして8月
ぱふぱふ〜
当選おめでとう〜♪
見た事のないアニメのセルが当たってしまいました・・・。
少し検索しましたが、この作品を取り上げているサイトは、殆どありませんでした。
とりあえず、見ない事には始まりません。
セルを受け取りに中野のまんだらけに行く前の日に
レンタル落ちのビデオを入手することができました。
原作:宮沢 賢治
監督:平田 敏夫
キャラクターデザイン・作画監督:名倉 靖博
美術:石川 山子
音楽:宮下 富美夫
ナレーション:クニ河内
アニメーション製作:プロジェクトチームアルゴス(なんか懐かしい)
ストーリーをパッケ−ジから抜粋しますと
ある日、一郎君のところにおかしな葉書が届きました。
差出人は山ねこで、めんどうな裁判があるので、一郎君に立ち会ってほしいと書かれてありました。
一郎君は、りすや笛吹きの滝や、きのこに尋ねながら
山ねこに会いに行きました。
いったい、山ねこの言っためんどうな裁判とは、何だったのでしょうか?
一郎君の知恵のおかげで、山ねこの裁判官は大いに面目をほどこすのですが・・・。
さて、その智恵とはどんなものだったのでしょうか?
宮沢 賢治・・・深い・・・
なんというか、このパッケージの絵のままが動く絵本のような淡々とした25分でしたが・・・
やっぱり、これって、セルの上から描いてない?
名倉さんは
1984年「とんがり帽子のメモル」のあとに
1985年「天使のたまご」「銀河鉄道の夜」
1986年「天空の城ラピュタ」
1987年「源氏物語」
1990年「楽しいムーミン一家」
2001年「メトロポリス」
などのアニメに参加され、
また、絵本作家としても
「パフスのふしぎな生活」
「ゆあ〜ん、ゆよ〜ん、ゆやゆよん」等で活躍され高い評価を受けている方です。
「とんがり帽子のメモル」から「どんぐりと山猫」までは4年間、
開いているけど山猫は「メモル」のゴロニャンに、ちょっと似てるかな?
メモルのゴロニャン |
で、受け取ってきました!
やっぱり!セルの上から描いてるわ!
輪郭のトレス線はマシン
セル全面が裏から白一色で塗られている
頬・鼻の頭・顔の陰などのタッチの部分は全て表からパステル?のようなもので手彩色
前髪はグラデーションに手彩色された紙が前髪の形に切り抜かれ貼られている
セル1枚と前髪部分1枚の計2枚で構成されている
1枚目:山猫がセルの上に手描きされている
2枚目:エアブラシで表現された煙
3枚目:手前の草むらがセルの上から手描きされている
4枚目:手前の草、数本がセルの上から手描きされている
合計4枚で構成されている
上のセルのレイアウト
この絵はビデオのパッケージの 背の部分に使われておりました |
と、いうわけでどんなセルか見たい!から始まった話ですが
実物は思っていた以上に、素晴らしいものでした。
商業アニメでは、なかなかお目にかかれない、凄く恐ろしい手間と時間のかかったセルアニメ作品ですが
こういう作品を見るとセルアニメにも、まだまだ可能性があるのでは?!と思いました。
でも・・・世の中はCGアニメに移行してるのよね。
あ〜(困惑)
2002年8月15日作成