セルギャラリー 28

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セルを集める基準というのは、
作品が好き・キャラクターデザインが好き・そのキャラの声優さんが好き・等
あると思います。
それは人それぞれと思いますし、それでいいと思います。

私の場合は「荒木プロ作品」「少女モノ」がメインの収集になっていますが、
今までにご紹介してきた通り、その枠にあてはまらない作品でも
感覚が合えば購入してきました。

でも、その前提として
作品を見たがあげられるのですが
この作品に関して言えば
作品を見た事がないのに、先にセルを買う事になっちゃった作品
に、なります。

1988年 ビデオ作品

まんだらけの目録(まんだらけZENBU)については、以前にも触れましたが
年に四回、販売価格が記入してある目録が販売されます。
欲しい商品があれば、その号の応募ハガキで申し込みます。
人気商品は欲しい人も多いので、なかなか当たりませんが
運良く当選すれば、その商品の購入権を得る事ができるというものです。

6月発売のまんだらけZENBU15号で「どんぐりと山猫」のセルが掲載されていました。

この男の子のこっちに向いた睫毛が名倉!

確か、名倉 靖博さんがキャラデザインした作品という事は、
頭にありましたが、作品を見た事はありません。
掲載されている写真で見る限り
どうも普通のセルと見た目がかなり異なります。

男の子は名倉さんキャラデザイン
「とんがり帽子のメモル」
34話のミッシェルに似てる?


ここで簡単にセルの彩色について説明しますと
普通、セルはセルの裏から専用の絵の具で塗られています。
重ね塗りができる特殊な絵の具なので
「口の中」「顔や服の影部分」などの面積の小さい部分が先に塗られ
そのあと大きい部分を塗りますが、その時には先に塗った部分の上に塗料がのってしまっても
表からはわからないので大丈夫というワケです。
セルへの加工は他にエアブラシや色トレスもありますが
これは手間がかかります。

どちらにしましてもセルを裏から見る事は、あまりおすすめできません(笑)

ZENBUを見れば見るほど「どんぐりと山猫」のセルは、今まで見てきたセルとなンか違う!
もしかして?!セルの上から描かれてない?!

これはちょっと、どんなセルか見たいなぁ!
30000円+税か・・・
ま・・・どうせ当たらないだろうけど応募しとこ

そして8月

ぱふぱふ〜
当選おめでとう〜♪
見た事のないアニメのセルが当たってしまいました・・・。

少し検索しましたが、この作品を取り上げているサイトは、殆どありませんでした。
とりあえず、見ない事には始まりません。

セルを受け取りに中野のまんだらけに行く前の日に
レンタル落ちのビデオを入手することができました。

原作:宮沢 賢治
監督:平田 敏夫
キャラクターデザイン・作画監督:名倉 靖博
美術:石川 山子
音楽:宮下 富美夫
ナレーション:クニ河内
アニメーション製作:プロジェクトチームアルゴス(なんか懐かしい)


ストーリーをパッケ−ジから抜粋しますと
ある日、一郎君のところにおかしな葉書が届きました。
差出人は山ねこで、めんどうな裁判があるので、一郎君に立ち会ってほしいと書かれてありました。

一郎君は、りすや笛吹きの滝や、きのこに尋ねながら
山ねこに会いに行きました。
いったい、山ねこの言っためんどうな裁判とは、何だったのでしょうか?

一郎君の知恵のおかげで、山ねこの裁判官は大いに面目をほどこすのですが・・・。
さて、その智恵とはどんなものだったのでしょうか?


宮沢 賢治・・・深い・・・

なんというか、このパッケージの絵のままが動く絵本のような淡々とした25分でしたが・・・

やっぱり、これって、セルの上から描いてない?


名倉さんは
1984年「とんがり帽子のメモル」のあとに
1985年「天使のたまご」「銀河鉄道の夜
1986年「天空の城ラピュタ
1987年「源氏物語」
1990年「楽しいムーミン一家」
2001年「メトロポリス
などのアニメに参加され、
また、絵本作家としても
「パフスのふしぎな生活」
「ゆあ〜ん、ゆよ〜ん、ゆやゆよん」等で活躍され高い評価を受けている方です。

「とんがり帽子のメモル」から「どんぐりと山猫」までは4年間、
開いているけど山猫は「メモル」のゴロニャンに、ちょっと似てるかな? 

メモルのゴロニャン


で、受け取ってきました!
やっぱり!セルの上から描いてるわ!

輪郭のトレス線はマシン
セル全面が裏から白一色で塗られている
頬・鼻の頭・顔の陰などのタッチの部分は全て表からパステル?のようなもので手彩色
前髪はグラデーションに手彩色された紙が前髪の形に切り抜かれ貼られている
セル1枚と前髪部分1枚の計2枚で構成されている


1枚目:山猫がセルの上に手描きされている
2枚目:エアブラシで表現された煙
3枚目:手前の草むらがセルの上から手描きされている
4枚目:手前の草、数本がセルの上から手描きされている

合計4枚で構成されている

上のセルのレイアウト

この絵はビデオのパッケージの
背の部分に使われておりました

と、いうわけでどんなセルか見たい!から始まった話ですが
実物は思っていた以上に、素晴らしいものでした。

商業アニメでは、なかなかお目にかかれない、凄く恐ろしい手間と時間のかかったセルアニメ作品ですが
こういう作品を見るとセルアニメにも、まだまだ可能性があるのでは?!と思いました。
でも・・・世の中はCGアニメに移行してるのよね。
あ〜(困惑)

2002年8月15日作成

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