忘れ去られた庇の活躍

庇の付いている家を最近見かけましたか？

玄関やベランダなどで外壁から屋根が突き出している家の庇を見かけること
はあると思いますが、「窓の上に庇」を付けている家を見ることは少なくな
りました。

「え、なんのこと？」という方もいらっしゃいますよね。ちょっと、忘れ去
られた「窓の上の庇」を思いだしていただきたいと思います。


窓の上の庇は、昔からあるのですが段々忘れ去られてきました。現在では、
あまり付けている家を見なくなりました。

「窓の上に小さな屋根がどうして必要なの？」と思われた方も多いかと思い
ます。
昔は、窓が木の格子だったり、板戸だったり、障子だったりしています。
なので、雨をよける為に必要でした。土蔵の窓を思い出していただければと
思います。窓の上に瓦などで小さな屋根がついていましたよね。

現在は、アルミサッシなどを使うようになったので、窓からの雨の侵入をあ
まり考えなくてもよくなりました。なので、忘れ去られてきています。
でも、今でも庇をつけている家があります。その理由をお話します。


窓の上に庇という「屋根」があると、雨を窓に近付けないことができます。
雨が窓から遠くに行くので、雨が降っていても窓から雨が入りにくい状況を
作れます。つまり、雨の日でも窓を開けられるということですね。

この状況は、雨の日でも部屋の中の空気を入れ替えられるということです。
暑い日に雨が降っていて窓を開けられないという嫌な状況を打破できます。

まあ、風が強く吹いてくると雨が入ってしまうので、閉めないわけにはいか
なくなるのですが・・・。でも、「窓を開けられるって素晴らしい！」って
感じですね。

もう一つのメリットは、日差しを遮れるということです。窓の大きさ、庇の
大きさによっては、無理な場合もありますが、僅かでも日差しを遮れると助
かりますね。窓から入る太陽さんはかなり熱いです。

窓の上の庇って、こんなメリットがあったんです。忘れてしまうのは可哀想
ですね。


でも、デメリットもあります。それは、窓に雨が当たりにくくなるので、窓
が雨で洗い流されることが少なくなるということです。窓がホコリまみれに
なってしまうのはいただけませんね。庇がなく、雨が掃除をしてくれると楽
ちんです。

それから、雨が庇に当たった時の音が以外と部屋の中に響きます。庇に防音
の処置が必要です。忘れると結構悲惨です。場所によっては、会話もテレビ
の音も聞こえな〜いとなってしまいます。夜は、眠れな〜いということも起
きてしまいます。

また、庇の付け方や外壁の材料によっては、壁の中に雨が侵入し易くなって
しまう場合があります。この辺は注意が必要です。外壁と庇の接点は、コー
キング納まりになることが多いのですが、コーキングは早くて5,6年で切れて
しまいます。まあ、10年経ってもなんともないという場合も多々ありますが。
コーキングは、防水粘土のようなもので、窓と外壁の隙間を埋めます。コー
キングが切れてしまうと雨の侵入の原因となります。

それから、雨は下からも降るので、注意が必要なんですね。「え、雨が下か
ら降るの？」と思った方もいらっしゃると思います。このお話は、またの機
会に。


●これから家を新築される方へ
「庇」は屋根の「軒」とは違います。軒がある程度出ていてると、窓の上に
付ける庇と同じ役目を果たしてくれます。窓と軒がどの程度の距離にあるか
を考えて、ご検討下さい。

◇道先　案内人（みちさき　あんないと）のお勧めは、窓上に庇を必ず付ける
ということではありません。アルミサッシなど窓の性能は凄く上がっていま
す。使い勝手上必要だと思うのであれば付けることが良い場合もありますが、
デザイン性なども考慮して、よく検討して頂いた方が良いと思います。