天候 快晴 |
コースタイム 23:00 起床
0:15 キボハット発
1:10 4855m
1:20 発
2:30 5065m
2:50 発
3:45 5225m
3:55 発
4:20 ハンスメイヤーズケイブ
4:30 発
5:20 一本
5:30 発
6:35 一本
6:45 発 −7℃
7:10 ギルマンズポイント
7:25 発
8:20 一本
8:30 発
9:05 一本
9:15 発
9:30 ウフルピーク
9:50 発
12:40 キボハット
13:20 発
14:45 JIWE LA UKOYO
15:00 発
16:00 一本
16:10 発
17:20 ホロンボハット着
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キボハット⇒キリマンジャロ頂上(5895m)⇒キボハット⇒ホロンボハット |
夜はほとんど眠れなかった。寝ると頭が重いのがひどくなりそうで、何度も深呼吸を繰り返す。しかし、これは高山病対策としては、結果的に寝ずに正解だったかもしれない。そのうちにシュラフの中に、行方不明になっていたヘッドランプがころがっているのを発見する。ヤレヤレ、やっぱり高山病で頭がボケている。23時起床、そんなに寒くはない。外は満天の星空だ。朝食は、そこそこ食欲があり、100kcalの玉子がゆと、みそ汁をゆっくりと食べる。前回、猛烈な頭痛の中、一つのカップラーメンを数人で分け合って食べたのとは、天国と地獄の差だ。
午前零時過ぎ、さあ、いよいよ頂上アタックに出陣。昨日登ったところで、まず一本。横に寝ている南十字星、その上にニセ十字星、天頂にオリオンが輝く。富士山の夜行登山と違って、辺りに明かりがなく、真っ暗闇の中を登っていく。『ポレポレ』、ゆっくりゆっくり、酸素が薄いので歩みは遅い。4時20分に着いたハンスメイヤーズケイブで、距離的には半分。ウフルに行けるかどうかのタイムリミットは、ギルマンズポイントを8時とのことであり、体調が悪く体力を消耗している人も数名いるので、確実に最高点を攻略するため、及び堅実にギルマンズポイント以上の全員登頂を達成するために、ここでウフル隊とギルマン隊の2つに分かれることになった。
ウフル隊10名は、一旦ペースを上げるが、ギルマンズポイントに近づくにつれて、滑りやすい砂地に加えて、傾斜が非常に急になり、次第にペースが落ちていく。酸素濃度は地上の約半分、喘ぎながら登る。6:15雲海の中から、マウェンジ峰のすぐ右側に日が昇る。気温は−7℃まで低下し、寒い。特に、足のつま先は完全にかじかんでいる。(靴下を二重にする、靴用のカイロを使う、などの防寒対策をすると良かった)『あそこがギルマンズポイントだ』、というガイドの声に励まされ急登を詰めると、やっとギルマンズポイントに着いた。記憶に残るイメージより遥かに狭い。10人もいると満杯になってしまう。
ここから見る東部氷河は、昔の写真を見るまでもなく、明らかに20年前より縮小していて、地球温暖化の影響を如実に物語る。ウフルピークの左側の南部氷河も、やはり東部氷河ほどは顕著ではないが縮小が見られる。地球の歴史46億年からすれば塵にもならず、地球温暖化が始まったとされる産業革命の1900年頃からの現在までの100年という時間と比べも、わずか20年という歳月でこのような惨状になってしまったことに、山を、そして地球を愛する一個人として私は衝撃を受けた。(注:キリマンジャロ氷河の縮小と地球温暖化の関連には異論もあります) ここからは、所々雪の残る稜線の右側をトラバースしていく。前回の高山病がひどかったためか、ここも記憶にない。今回は、頭痛も吐き気もなく快調で、意識は鮮明。ただ、低酸素の影響で足が前に進まないだけである。
1988年1月の東部氷河
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2008年1月の東部氷河
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1988年1月の南部氷河
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2008年1月の南部氷河
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頂上南面の南部氷河の横に出ると、緩やかな稜線を登っていく。高山病で体調を崩す人が多く、なかなかウフルピークに着かない。低酸素状態のため、顔がむくんで変形している人もいる。ギルマンズポイントから2時間かかって、ようやくウフルピークに到着。皆で感激の握手、よくやった!、皆本当によく頑張った!。これが、20年前に登り私が涙を流したアフリカ最高峰だ。私は、この感激を共有することの喜びを噛み締めた。ここは、私の記憶に残るイメージそのままだ。当時のガイドのジェームズさんと、涙の握手を交わしたその瞬間が、今ここに蘇る。頂上にあったタンザニアの国旗がなくなっていて、標識に代っていたが、タンザニア初代大統領ニエレレ氏の言葉を刻んだレリーフは、20年の歳月に耐えてそこに残っていた。入れ代わり立ち代り、何枚もの記念写真を撮った後、下山。
体調が悪くなった人の面倒を見ながら下山したので、知らず知らずのうちに疲労が溜まってしまったようだ。キボハットに着くと、マズイと思いながらも、しばし仮眠をしてしまった。案の定、起きた時にはひどい頭痛に襲われた。高所滞在による低酸素状態の上に、仮眠による浅い呼吸が重なって、低酸素状態を益々悪化させたということである。疲れきった身体にムチを打って、ちょうど3時間でホロンボハットまで下山。あとで聞くと、ギルマン隊6名も全員登頂のこと。夕食後は、死んだようにぐっすりと眠る。
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