スミレの特徴最終更新日 2006年 7月13日 スミレの語源スミレの語源は花の形が大工さんが木材に線を引くときに使う墨入れに似ているからだと言われています。
スミレの花の特徴先ず花を観察して下さい。花は細い柄(花茎)の先に1個横向きに咲いています。柄の途中には小さな葉が付いています。これを苞葉(ほうよう)といいます。 花びら(花弁)は5枚有ります。上の2枚を上弁(じょうべん)、横にある2枚を側弁(そくべん)、下の1枚を下弁といいます。 下弁には線状の飾りが付いていたり、一部色が変わっていたりします。下弁の上には雌しべや雄しべがあり、飛んできた昆虫を誘導する目印となっています。 下弁の元の方は花の後ろにふくらんでいて、ここを距(きょ)と呼びます。距がスミレの花の特徴です。花の中央には1本の雌しべがあり、そのまわりを5本の雄しべが取り囲んでいます。 スミレの蜜は花の奥にある距の中に隠されているので、上手に蜜を吸える昆虫は限られてきます。特定の昆虫にのみ蜜を提供し、体に付いた花粉を運び仲間のスミレと効率の良い花粉交換をしているのです。 多くの昆虫に蜜を提供したのではスミレの密を吸って、次は他の植物の花に行ってしまったのでは効率が悪くなります。 浮気を出来るだけ防ぎたいのです。
ところが口が蜜に届かない蜂の仲間には後ろから距に穴を開けて蜜を盗んでしまうものもいます。自然界にも鍵をこじ開けで盗みをする泥棒がいるのですね。
閉鎖花スミレの花は3月の中旬から5月中旬に咲く春の花の代表として知られています。ところが11月頃まで次々と蕾ができて種を実らせます。“夏や秋にスミレの花を見たことがない” といわれると思います。そうなんです!蕾を次々と作り、種を実らせるのですが、花は咲かせないのです。 花を咲かせないで種が出来るのです。 おや、受粉をしないで種が出来るの?と疑問を持たれると思いますが、自家受粉といって花の中で自分の雄しべの花粉が雌しべについて種が出来るのです。 この様な花を閉鎖花(へいさか)と呼びます。
スミレは春、競争相手の植物が大きくなる前に花を開きます。小さな体でも花が目立ち昆虫がやってきて花粉を運んでくれます。この時期には他の個体と花粉を交換して種を作ります。
本当は他の個体の花粉により受精した種子を作りたいのですが、次善の策として自家受粉を選択したのだと思われます。また、花弁を作らないので省エネにもなり、少ない日光でも種子を沢山作ることが出来るのです。
蟻に運ばれる種子果実は熟すと三つに割れて中の種子を周囲にはじき飛ばします。果実の柄の部分はだんだんと伸び果実を高い位置に掲げます。出来るだけ遠くに種子を飛ばす工夫でしょう。
最大の特徴は種子にはアリが好む柔らかい付属物(エライオソーム)が付いていることです。アリは好物のエライオソームを仲間のアリや幼虫に食べさせるために種子を巣に運びます。 ↑はスミレの種子の拡大図、上部はエライオソーム
スミレの地下茎スミレは多年草で地下茎がしっかりと地中に入っています。地下茎は茎や葉を支える役割と栄養を蓄える役割を持っています。昨年中に蓄えた栄養を冬の間しっかりと保存しておき、春の訪れを感じて他の植物よりも早く葉を出し、同時に花も付けます。この頃はまわりの草はまだ眠っていたり、目覚めても小さく上空を覆っている落葉樹も葉を広げていません。このため春の光を十分に浴びて栄養を作ったり、咲かせた花は目立ち、昆虫を引きつけるのです。
茎 と 葉今度は全体の形を観察しましょう。いろいろなスミレを見くらべてみると、細く伸びた茎に花や葉がついる種類(有茎類)と、葉も花も地表から束になって出て、茎がないように見える種類(無茎類)があることに気づくでしょう。この違いはスミレの種類を見分けるのに、大きな手がかりになります。春先には有茎類でもまだ茎が目立たないことがあるので、注意が必要です。葉は多くの種類が切れ込みのない単葉ですが細かく切れ込んだ菜を持つスミレもあります。葉のつけ根には一対の托葉があります。托葉の形やつき方は、スミレを見分けるときのよい手がかりになりますから、小さくて見にくいかもしれませんがよく観察しましょう。
春のスミレの葉は小型ですが、夏になると同じスミレとは思えないほど大きな葉を出します。これは特に無茎類で顕著です。
植物の世界も競争が激しく、生きていくには大変な努力と目を見張るような工夫をしているのです。
スミレを食草とする蝶昆虫は体が小さく機能も少なく多くの植物の毒を解毒する能力を持っていません。このため、特定の種の植物だけを餌としているのです。 スミレを観察しよう家の近くの道端、公園の隅、林の開けたところ等に多くのスミレが咲いています。これらのスミレを観察しましょう。
☆ 4月ならスミレを沢山見つけ名前を調べましょう |