カタクリ

ユリ科 カタクリ属  (Erythronium japonicum)


1年目のカタクリ
   山野に群生する多年草、高さ15センチほどの茎の先に、4〜5センチもある紅紫色の花を開く。
早春の妖精とも言われ、未だ寒さの残る早春(3月上旬)の雑木林にいち早く姿を見せ、狭山丘陵では3月下旬に可憐な花を付ける。
 朝日が昇り気温が上昇すると開花し、温度が下がったり夜間は花を閉じてしまう。地表付近の温度が13度を超えないと日中でも開かない。花冷えのする曇りの日はカタクリの鑑賞には出掛けない方が良い。

 落葉樹が葉を茂らす6月になると地上が姿を消してしまい、長い休眠に入る。この様な植物をスプリング・エフェメラル(春の短い命)、日本では春植物と呼ばれている。雑木林の落葉樹が葉を落としている早春、林床に差し込む日光により一年分のエネルギーを蓄え、日光が差さなくなると地上から姿を消して自分より優位にある高木と無駄な争いを避ける生物の知恵を感ずる。葉の表面には紫色の斑紋があるが、生育地によっては、全くないものもある。
 早春に光合成した澱粉は地下の鱗茎に蓄えられる。名前から分かるように、昔は鱗茎からカタクリ粉を取った。

 種子にアリの好むエライオソームという物質が付いていて、蟻に運んでもらうことによって増える。生育に適した場所に運ばれた種は翌年の春、発芽し細長い葉を出す。2年目からだんだん幅広い葉に成長し、開花するまで7〜8年もかかる。

 明るい場所を好むが、夏の暑さに弱く林の北の斜面に見られる。湿気が必要で斜面の下側に生える。生育環境を作るのが難しく、鱗茎が地下深くにあるので堀取る事が出来ない。くれぐれも掘り取って庭に植えようなどとしないで欲しい。



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