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スズメバチとアシナガバチ

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スズメバチとアシナガバチは,スズメバチ科に属するハチの総称で,スズメバチ亜科とアシナガバチ亜科に区分されます.我が国にはスズメバチ亜科3属17種,アシナガバチ亜科3属11種が生息しています.

生活史はいずれの種も1年限りで,1頭の越冬女王バチにより巣が創設され,最盛期の巣には多数の働きバチがみられます.オスバチと新女王バチの羽化後に営巣活動を終えます.営巣開始時期はアシナガバチの方が早く,4月上旬には巣作りを開始し,8月下旬には新女王バチが誕生し営巣活動を終えます.

スズメバチの営巣開始時期はこれより1ヶ月程遅く,4月下旬から5月上旬に営巣を開始します.活動期間もアシナガバチより長めで,オオスズメバチやキイロスズメバチは11月末,時には12月まで活動することがあります.

 

スズメバチとアシナガバチは巣の形状や営巣規模が大きく異なっています.スズメバチの巣は種により形状が異なるものの,巣盤が何段にも重なっており,外皮に覆われています.

営巣場所は土の中や樹洞,天井裏などの閉鎖空間から,軒下や樹枝などの開放空間まで多岐にわたりますが,種により異なっています.営巣規模は最も小さなヒメスズメバチでも育房数が200〜400房程度になり,キイロスズメバチのように大型の巣を作る種では10,000房を超えることもあります.

アシナガバチの巣は一枚の巣盤からなり,外皮が作られることはなく育房が露出しています.営巣場所は樹枝や葉の裏,軒下などの開放空間に作られることが圧倒的に多く,一部が戸袋や壁間などの閉鎖空間にも巣を作ります.育房数は100房以下のことが多く,営巣規模が大きいフタモンアシナガバチでも最大1,000房程度にしかなりません.

コガタスズメバチの巣 ヒメスズメバチの巣 セグロアシナガバチの巣 キアシナガバチの巣
樹枝に作られたコガタスズメバチの巣(外皮が一部破損.巣盤は3層) 薄暗い小屋の天井に作られたヒメスズメバチの巣(外皮は電灯の傘状) 樹枝に作られたセグロアシナガバチの巣(外皮が無く,巣盤は1層) 軒下作られたキアシナガバチの巣(外皮が無く,巣盤は1層)

スズメバチとアシナガバチは成虫の形からも見分けられます.スズメバチは腹部の矢印の部分が直角になっており,いわゆる砲弾型をしています.アシナガバチではこの部分がなだらかになっており,スズメバチよりも全体にほっそりしています.

また腹部の黄色と黒の縞模様もスズメバチでは明瞭ですが,アシナガバチではハッキリしない種が多数あります.その他,アシナガバチは飛ぶ時に,名前の由来である長い後脚をダラリと下げているのですぐわかります.

コガタスズメバチ セグロアシナガバチ
コガタスズメバチ セグロアシナガバチ
コガタスズメバチ セグロアシナガバチ
コガタスズメバチ(脚は体に平行) セグロアシナガバチ(脚はダラリと下がる)