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ハチ刺傷歴と抗体検査結果 |
ハチに刺された時の症状,抗体検査の結果などを私の体験を元にお話しします.中学生か高校生の頃フタモンアシナガバチに2度刺されたことがあります.その頃はまだハチ毒に対する正しい知識などありませんので,アンモニアなどを付けて効き目があったような気がしていました.その後は長い間ハチに刺されることはありませんでしたが,現職中はハチに関わる機会も多く,刺される回数も多くなりました.退職後は再び刺される機会は減りましたが,何度か出合い頭で被害に遭っています. 現在までに,スズメバチに8回(クロスズメバチ3回,キイロスズメバチ2回,コガタスズメバチ,モンスズメバチ,種不明のスズメバチ各1回),アシナガバチに9回(フタモンアシナガバチ4回,セグロアシナガバチ4回,キアシナガバチ1回),ミツバチ(いずれもニホンミツバチ)に5回刺されたことがあります.ハチ刺傷後の症状はいずれの場合も軽いものでしたが,種により少し違いがありました. |
スズメバチ | 刺傷部が2~3日間腫れ,その後しばらく痒みが続きます.また刺された場所が少ししこります.キイロスズメバチに手首を刺された時は,刺された翌日は腕時計がはめられませんでしたが,まもなく腫れも引きました. |
アシナガバチ | 刺傷部が2~3日間腫れ,その後しばらく痒みが続きます. |
ミツバチ | 刺傷部が少し腫れ,その後しばらく痒みが続きます.また刺された場所が少ししこります. |
▶ 1回目 |
最初に刺されたのは1988年8月8日です.家屋の天井裏に営巣したキイロスズメバチの巣を,脚立に乗って3m位離れた場所から観察していたところ,突然多数のハチが体当たりしてきました.いつもと様子が違うような気がしたので,すぐに脚立から降りましたが,防護服の上から手首を刺されました。現在は防護服も改良されていて,刺される危険性は低くなっています.. すぐ水道水でよく洗い流して抗ヒスタミン系の軟膏を塗りましたが,数時間後に腫れ始め,翌日には肘のところまで腫れて腕時計がはめられませんでした.2日後には少し腫れも引いて快方に向かい,刺された場所がしこった他は特に症状はみられませんでしたが,キイロスズメバチの怖さを思い知らされた貴重な経験となりました 生活衛生センターでは,駆除作業に従事する可能性のある職員に対して抗体検査を実施していました.1回目の検査は1991年4月にスズメバチについてのみ実施し,その結果は0.8UA/ml(陽性+)でした. 2回目の1993年6月の検査では,0.43UA/ml(擬陽性)に下がったので管理対象外となり,その後は検査を実施しませんでした. |
▶ 2・3回目 |
その後,しばらくはスズメバチに刺されることもなく経過しましたが,1995年8月と1996年1月に相次いで刺されてしまいました.8月のケースは北海道へキオビホオナガスズメバチ(名古屋にはいない)の巣を採集に行った時のことです.現地の駆除業者の方に案内してもらい何カ所かを回った後,ついでにクロスズメバチの巣を駆除をするということで,床下に営巣した巣の駆除を手伝っていた時に左手の指を刺されました.1月のケースは名古屋市内の雑木林でスズメバチの越冬調査中に,不注意から越冬室から取り出した女王バチに刺されたものです.症状はいずれも軽症で、軽い痛みと患部の発赤程度で治まりました. 1997年2月に抗体検査を受けたところ,抗体価は0.86UA/ml(陽性+)に上昇していました. |
▶ 4回目 |
1997年9月の夕方,自宅で庭木の手入れ中に左手の指を刺されたもので,もう薄暗くなっていたこともありハチの種類は不明でした.当初はアシナガバチだと考えたのですが,いつもより指の腫れがひどく変だな?と思っていました. 1998年2月の検査結果ではアシナガバチの抗体価も0.97UA/mlと少し上昇していましたが,スズメバチの抗体価が8.21UA/ml(陽性++)と大幅に上昇していました.刺傷後の症状と併せて考えると,アシナガバチではなくスズメバチ(おそらくは当地に多いコガタスズメバチ)に刺されたものと思われます. 1999年2月の検査では1.79UA/ml(+)まで下がりました.今後刺されることが無ければ抗体価は徐々に低下していくと思われます.また,検査の2週間前にミツバチに刺されたため,ミツバチの抗体価が64.70UA/ml(+++)と極めて高くなっています |
▶ 5回目 |
その後しばらくは無事でいましたが,2000年11月中旬にまたクロスズメバチ刺されてしまいました.市内で駆除した成虫を標本用に確保しておいたのですが,その中の1頭に右手を刺されたものです.この時も大した腫れもなく終わりましたが, 2001年2月の検査で,スズメバチの抗体価は再び6.67UA/ml(陽性++)に上昇していました.相変わらずハイリスクと見なされる3つの条件(40歳以上の男性,刺された時の症状が重い,抗体価が高い)のうち2つを満たしているので,今後とも十分に注意していく必要があります.またこの年も,検査の3週間前にミツバチに刺されたため,ミツバチの抗体価が40.61UA/ml(++)と極めて高くなっています. 2001年2月の検査で,スズメバチの抗体価は再び6.67UA/ml(陽性++)に上昇していました.相変わらずハイリスクと見なされる3つの条件(40歳以上の男性,刺された時の症状が重い,抗体価が高い)のうち2つを満たしているので,今後とも十分に注意していく必要がありそうです. その後,2002年2月の検査では,スズメバチ1.37UA/ml,ミツバチ9.88UA/mと順調に抗体価が下がっています. |
▶ 6回目 |
2002年10月2日,以前から観察中のモンスズメバチの巣(鳥の巣箱に営巣)をオオスズメバチが襲撃している場面に出会いました.写真を撮るために地面に膝を着いたちころ,下に落ちていたモンスズメバチに右膝の付近を刺されましたが,刺傷部周辺が2・3日腫れただけの軽症で済みました. 2003年2月の抗体検査では,幸いにもスズメバチ1.37UA/ml,アシナガバチ0.65UA/mlと抗体価が若干上昇したのみで,ミツバチの抗体価は4.29UA/ml,と前回の値から半減しました. 2004年2月の抗体検査結果はスズメバチ0.61UA/ml,アシナガバチが0.35UA/mlと順調に低下しました.ミツバチもまだ高いものの,2.24UA/mlに低下しました. 2005年1月の検査では3種とも抗体価は順調に低下し,ミツバチのみが1.68UA/mlとやや高めでしたが,他は特に問題ないところまで下がっています. |
▶ 7回目 |
2005年8月30日にキイロスズメバチに頭頂部と左上腕を刺されてしまいました.当日は同僚と4人で別の場所でオオスズメバチの駆除を実施した後,天井裏に営巣したキイロスズメバチの駆除現場へは3時10分頃到着しました. 安全を考え車をハチの出入りしている場所から20m程離れた場所に駐車した後,営巣場所を確認し駆除方法を決定しました.駆除作業は2名が防護服を着用して従事した.1名は室内から天井裏に燻煙剤を配置し駆除を行った.他の1名は家屋の外側で,スプレー式殺虫剤およびバドミントンのラケットを使用し巣に戻ってくるハチ(以下戻りバチ)の処理にあたりました. 私と他の1名は駆除の補助作業に当たっていましたが,防護服は着用しておらず,危険を避けるため常に車付近に止まっていました.背後からの攻撃を避ける意味もあり,車を背にして待機していたところ,3時20分頃,突然頭頂部を戻りバチに刺され,次いで同じハチに左上腕部を刺されました.すぐ同僚に刺された旨を伝え,まだまとわりつくように飛んでいたハチをバドミントンのラケットで処理してもらいました. その後10分ほど,室内で刺傷部を水道水で流しながら強くしぼり応急処置を行い,車で速やかに職場に帰着後,医療機関に受診しました.刺傷から受診するまでの間,刺傷部の痛み以外に特に変わった症状はみられませんでした.血圧の低下や全身症状が無かったので,塗り薬と痛み止めの飲み薬を処方されました.次回の抗体検査では再び抗体価が上昇していると思われます. 2006年1月の抗体検査では,スズメバチが0.53UA/mlから5.06UA/mlと大幅に上昇しました.アシナガバチも0.36UA/mlから0.96UA/mlに,ミツバチも1.68UA/mlから3.92UA/mlとそれぞれ上昇しました. スズメバチの抗体価は,2007年1月に2.092UA/ml,2008年1月に1.11UA/ml,2009年6月に0.57UA/ml,2010年1月に0.53UA/ml,2010年1月に0.35UA/mlと順調に低下しました.アシナガバチの抗体価も同じように低下し,2008年1月以降は0.34UA/ml以下と陰性になりました. その後,2011年9月にセグロアシナガバチに手指をさされ,2012年1月の検査ではスズメバチの抗体価が1.16UA/ml,アシナガバチが0.82UA/mlと再び上昇しました. 以降は刺傷被害が発生しなかったのと,職場を定年退職したため検査を実施せずに経過しました. |
▶ 8回目 |
2017年11月3日,恵那市で毎年開かれている”串原ヘボ祭り”に出かけた際に,クロスズメバチに口の横と左手首2ヶ所を刺されましたが大事には至らず,軽い発赤で済みました. 2018年2月6日にかかりつけ医で抗体検査を受けたところ,スズメバチが36.30UA/ml,アシナガバチ9.71UA/mlといずれも高い値を示し,エピペンの処方を受けました.ミツバチも1.81UA/mlと少し上昇しました. 2019年10月の検査では,スズメバチ7.18UA/ml,アシナガバチ0.86UA/ml,2020年1月の検査ではスズメバチ5.61UA/ml,アシナガバチ0.76UA/mlと低下傾向が見られたため、以降抗体検査を受けませんでした. その後はスズメバチによる刺傷被害に遭うこともなく経過してきましたが,2023年8月3日と13日に,墓地の草取りをしている時,隣接する墓石に営巣したフタモンアシナガバチに手と腕を合計3個所刺されたました. 抗体価の上昇が懸念されるため,2023年11月に抗体検査を受けました.検査結果は、スズメバチ11.00 UA/ml,アシナガバチ8.24UA/mlと高い値を示したので,エピペンの処方を受けました.ミツバチは0.56UA/mlと大きな変化はありませんでした. |