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スズメバチの採餌習性

営巣期間と営巣規模スズメバチの交尾行動スズメバチの越冬スズメバチの採餌習性

スズメバチは,幼虫の餌として昆虫やクモなどを捕らえます.肉だんごにして巣に持ち帰り,巣の中で多数の働きバチに分配された後,小さくかみ砕いてから口移しで幼虫に与えます.スズメバチが蜜を舐めにやってくるヤブガラシなどの花には,アブやハエの他,さまざまなバチの仲間が蜜を舐めにやってきます.そのため,こうした場所は幼虫の餌の狩り場にもなっています.

幼虫の餌として利用する虫はスズメバチの種によって異なっています.コガタスズメバチとキイロスズメバチは各種のクモや昆虫をを狩る”何でも屋”ですが,主に狩りの対象とする昆虫の種類には違いがみられます.キイロスズメバチはハエの仲間(双翅目)を狩る割合が高く,時には動物の死骸や魚の干物などの加工食品を利用する事もあります.コガタスズメバチはハエの仲間の他,アシナガバチなどのハチの仲間(膜翅目)もよく狩ります.

モンスズメバチは主にセミを狩り幼虫の餌にしますが,セミが少ない季節にはトンボやバッタなども狩る”準専門家”と言えます.

オオスズメバチはコガネムシ類の成虫の他,スズメガの仲間など大型のイモムシを狩りますが,時にはカマキリなども狩ることがあります.また,ミツバチや他種のスズメバチの巣を集団で襲い,幼虫や蛹を自分の巣に持ち帰るという習性があります.本市でもオオスズメバチに襲われ,廃巣になった巣がしばしば見受けられ,他種にとって大きな脅威となっています.

ヒメスズメバチはアシナガバチ巣を襲い,幼虫や蛹の体液をソ嚢に蓄えて巣に満ち帰り,幼虫の餌として利用する”専門家”で,稀にはコガタスズメバチの巣なども攻撃することがありますが,他の昆虫を狩ることはありません.

アベマキ アベマキ
クダマキモドキを狩るオオスズメバチ アブラゼミを狩るモンスズメバチ ミツバチを狩るキイロスズメバチ ミツバチを狩るコガタスズメバチ

スズメバチの成虫の栄養源は主に炭水化物で,5齢幼虫が発達した唾液腺から分泌する透明な液体を口移しで受け取ります.幼虫に餌を与えるかわりに幼虫から栄養をもらうギブアンドテイクの関係にあり,これを栄養交換とよんでいます.液体の成分は糖やタンパク質で,高い栄養価を持っています.

幼虫との栄養交換が十分に行えない時期には,樹液や花蜜,果樹などを訪れます.アベマキやコナラ,アカメヤナギなどの樹液にはスズメバチやアシナガバチが樹液を舐めにやって来ます.樹液で良く見かけるのはオオスズメバチ,モンスズメバチ,ヒメスズメバチ,コガタスズメバチで,キイロスズメバチやクロスズメバチはあまり見かけません.

栄養交換は成虫同士でも頻繁に行われ,甘露や樹液などの液状の食物を口移しでやりとりします.行う場所は巣盤,巣口,外皮などですが,オオスズメバチでは樹液の採集場所でも頻繁に行われます.

スズメバチは花蜜を求めていろいろな花を訪れますが,舌が短いため蜜腺が露出しているような花でないとうまく蜜が吸えません.そのため,スズメバチを始めたくさんのハチが利用するのは,小さな花がたくさん集まった,緑色や白色の花が多数を占めています.

また,夏から秋にかけて松林などに生えるシラタマタケというキノコを好んで摂取しますが,これはスズメバチの成虫ばかりか,幼虫にとっても重要な蛋白源となっています.

5齢幼虫が唾液腺から分泌する透明な栄養液 口移しで樹液をやりとりするオオスズメバチの働きバチ ヤブガラシの花で吸蜜するヒメスズメバチ アブラムシの甘露を舐めるコガタスズメバチ