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刺傷被害の発生状況 |
|種別・年別の発生状況|地域別の発生状況|月別の発生状況|刺傷被害の発生状況| |
1988年から2007年までの20年間に920件の刺傷被害が発生し,1,002人が被害に遭っています.攻撃性の強さは種により大きく異なっています.攻撃性の強さは営巣規模とよく一致しており,規模が大きな種ほど危険です.攻撃性は強い方から,オオスズメバチ>= キイロ スズメバチ>= モンスズメバチ>= コガタ スズメバチ>= ヒメスズメバチの順になっています. 名古屋市における刺傷被害の発生率(駆除件数に対する被害の発生件数の割合)は,オオスズメバチ23.7%,キイロスズメバチ23.6%とこの両者が高い割合であるのに対して,コガタスズメバチ7.2%,モンスズメバチ5.4%, ヒメスズメバチ1.8%とさらに低い値となっています. いずれの種も巣に物理的な刺激を加えなければ,かなり近くを繰り返し通行してもハチは人間に関心を示さないばかりか,逆に反応を示さなくなることが知られており,営巣場所の状況次第ではハチとの共存が可能です. |
被害の発生数はコロニーの発達状況とよく一 致しており,いずれの種も巣が大きくなり活動が活発となる時期ほど危険です.コガタスズメバチでは,20年間に820件, 871人が被害に遭っています.発生時期は6月〜 11月と長期にわたっていますが,9月が234件と最も多く,次いで8月,209件,10月,191件の順となっており,この3ヶ月間に634件,77.3 %が発生しました.7 月にも117件,14.3 %の被害が発生しており,また営巣規模の小さな6月にも被害が発生することがあるので,働きバチが羽化後は注意が必要です. 樹木に作られた巣が原因となって発生する割合が781件,95.2%と圧倒的に高くなっています.庭木の手入れなどで誤って巣に触れたり,枝を揺らして巣を刺激し刺されたケースが581件,70.9% と最も多く,駆除作業中に刺されるケースや, いたずらで刺されるケースも少なからずあります.被害が発生した巣の平均の高さは1.6mと大人が手を伸ばすと届く高さでした. |
キイロスズメバチの被害は8月が最も多く次いで9月となっており,この2ヶ月で全体の74.4%を占めています.これは本種が,初期の営巣場所が手狭になると軒下などの開放空間に引越をする習性があり,それに伴って被害が増加すると考えられます.被害が発生した巣の平均の高さは3.0mと手を伸ばしても届かない高さでした.そのため巣に触れたケースは駆除作業中などの11件のみで,27件はたまたま近くを通行したか,近くにいただけで被害にあっており,本種の攻撃性の強さがうかがわれます. オオスズメバチは地中や樹洞に営巣することが多く,近くを通行した際に振動が巣に伝わり攻撃されることがあり,そのため集団被害が発生しやすいので注意が必要です.被害の発生時期は,他の種とは異なり10月が14件と最も 多く,次いで9月の13件となっており,この2ヶ月で全体の81.8%を占めています.これは本種の営巣場所が土中や樹洞であるため,秋になり山野に出かける機会が多くなると,遭遇する機会が増え被害も増加すると考えられます. キイロスズメバチと同じように引越の習性があるモンスズメバチも,8月に最も被害が多くなっていますが,キイロスズメバチほど攻撃性が強くないため,発生件数も15件と少なくなっています. 秋の行楽シーズンになると野外活動に出かける機会が多くなり,スズメバチによる集団刺傷被害がしばしば発生しています.発生場所は大半が山の中ですが,都市近郊でも同じような被害が発生する可能性があるので油断は禁物です.事前に十分な下見などを行い,被害の防止に努める必要があります. |