アシナガバチカレンダー

毎月のアシナガバチの活動状況を知ることができます.名古屋市を基準にしてありますが,関東以西の本州西南暖地では大きな差はありません.北海道や東北地方などの寒冷な地域では,営巣開始時期が遅く,逆に営巣活動が早く終了するため,営巣期間が短くなっています.

ただし,巣によっては活動状況が半月程度前後することもありますので,注意してください.いずれの地域においても営巣活動は1年限りで,何年にもわたって巣を作ることはありません.


4月

日中の気温が高くなると,越冬を終えて巣の上に止まる女王バチの数が少しづつ増えてきます.暖かな日には,日中は巣を離れてアブラムシの甘露などを舐めに出かけていきます.

4月も後半を過ぎる頃から,営巣場所の探索に出かけるハチが増えて,巣に止まるハチの数が少しづつ減ってきます.営巣場所が決まるともう元の巣には戻ってくることはありません.早い場合,今月中旬には営巣が始まりますが,大半は5月に入ってからになります.



5月

5月にはいると営巣活動が本格化します.巣材集めや餌探しで女王バチが忙しく飛び回っていますが,これから働きバチが羽化するまでの一ヶ月間は女王バチにとって厳しい時期で,半数以上の巣が女王バチの死亡により廃巣となってしまいます.



6月

巣材集めや餌探しで女王バチが忙しく飛び回っていますが,女王バチの死亡により廃巣となる巣も少なくありません.6月中旬を過ぎる頃から 働きバチの羽化が始まります.育房も縦に長く増設され,繭の育房には巣での次の卵が産まれています.



7月

働きバチの羽化が本格化すると,女王バチは産卵に専念するようになり,巣は急速に大きくなります..



8月

8月に入るとオスバチの羽化が始まり,中旬を過ぎた頃から新女王バチの羽化も始まります.営巣活動もまもなく終末をむかえます.巣には子育てを終えた働きバチや,新女王バチ、オスバチが,一緒にジッと止まっているようになります.



9月

 4月下旬から5月初めに営巣活動を開始したセグロアシナガバチの巣では,既にオスバチが羽化し,新女王バチも次々羽化しています.8月末から9月初めには営巣活動が終了し,巣には新女王バチ,オスバチ,働きバチが集団で止まっています.暖かな日には巣を離れて飛び回る個体もありますが,大部分はジッと巣に止まったままです.

活発に活動していた時期は,働きバチは餌採りや巣材集めに忙しく,巣にたくさんのハチが止まっていることはありませんでしたが,営巣活動を終了すると一日中巣に止まっていることが多くなります.ハチの数が急に増えたような感じがしますから,ビックリして相談の電話が多くなります.

これらのハチは営巣最盛期のように巣を防衛するために攻撃してくることはありません.そのまま放置しておいても特に危険はなく,時間の経過とともに働きバチやオスバチは死亡していなくなります.新女王バチも越冬場所へ移動していきますから,冬には巣は空になってしまいます.

また,巣を放棄したハチが外壁や木の枝,葉などに多数群がっていることがあります.この場合も危険はありませんし,その場所に新しく巣を作るということもありません.



10月

活動はまったく停止し,新女王バチ,オスバチ,働きバチは巣の下部に固まってジッとしています.10月下旬以降,朝晩冷え込むようになると,新女王バチは暖かな日を選んで一斉に越冬場所に移動し,巣は空になります.



11月

早い場合には10月下旬,遅い場合でも11月下旬には新女王バチは越冬場所に移動し巣は空になります.ただし,巣が軒下などの奥まった場所にある場合には,多数の新女王バチが巣に止まったまま,越冬することがあります. オスバチと働きバチは寒さを迎える頃には全て死亡し,越冬することはありません.



12月〜2月

大半の巣では,新女王バチは別の越冬場所に移動し巣は空になっていますが,巣が軒下などの奥まった場所にある場合には,多数の新女王バチが巣に止まったまま,越冬することがあります.ただし,寒さが厳しくなると,暖かな日中に別の越冬場所に移動するため,巣に止まる新女王バチの数も次第に減ってきます.



3月

営巣場所によっては,女王バチは集団で巣に止まったまま越冬します.3月も中旬を過ぎると,暖かな日には越冬を終えた女王バチが付近を飛び回ったり,別の場所で越冬した女王バチが建物の外壁に止まっていることもあります.

また,前年の巣に戻ってくるためか,巣に止まる成虫の数が増えてきます.営巣開始は4月中旬以降になります.