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Rain, rain, go to Spain 

Rain, rain, go to Spain,

Never show your face again.

 

あめ あめ スペインへ 行ってね

ぜったい ぜったい 帰ってこないでね

 

【解説】

 外遊びの好きな子どもたちは雨を嫌うものである。イギリスは雨の多い国だから、どこか別の国で降ってくれたらと考え、この唄が生まれたのだろう。スペインは無敵艦隊以来イギリスの宿敵ではあったが、この国が登場したのは単にrain, againと韻をふんでいるから。[ei]の音の繰り返しが心地よい唄である。なお、第二次世界大戦中には、スペインの代わりにドイツになっているものも歌われたという。

Rain, rain, go to Germany,

And remain there permanently.

【日本では】

外で遊ぶのが好きな子どもたちが雨を嫌うのは、どこの国でも同じ。日本には「てるてるぼうず」の唄がある。 

てるてるぼうず てるぼうず

あした てんきに しておくれ

  てるてるぼうずの日本における最古の呼び名は、「てれてれほうし」であった。中国では「掃晴娘」「放晴娘児」などと呼ばれる紙の人形を門に飾って晴天を願ったという。朝鮮では見られない習慣なので、江戸の鎖国時代に長崎に来た清の人から伝わったのだと考えられる。

 

Red sky at night 

Red sky at night,

Shepherd's delight;

Red sky in the morning,

Shepherd's warning.

 

ゆうやけは

羊飼いのよろこび

あさやけは

羊飼いのしんぱい

 

【解説】

 夕焼けがきれいだと翌日はよい天気。それを「羊飼いのよろこび」と表現したのは、羊の多い国イギリスならではである。しかし現在では、「羊飼い」の替わりに「船員」、Red sky in the morningの替わりにRed sky at morningとなっている次の唄の方が有名である。

Red sky at night,

Sailor take delight;

Red sky at morning,

Sailor take warning.

散歩道8月号に関連サイトを掲載しています。関連リンクへ

 

【日本では】

「夕焼けがきれいだと翌日天気がいい」のは万国共通。幕末期の江戸のわらべうたを収録した『山の手の童謡』(1919年)に、次のような唄が載っている。

夕やけこやけ、あした天気になーる。(夕方、空の紅色になる時) 

Ring-a-ring o'roses 

Ring-a-ring o'roses,

A pocket full of posies,

 A-tishoo! A-tishoo!

We all fall down.

 

ばらの花輪を つくろうよ

ポケットに はなびらいっぱい

はくしょん はくしょん

みんないっしょに たおれよう。

 

【語句】

Ring-a-ring o' = A ring of 「〜の輪」。

   アメリカではRing around the rosy のほうが一般的。

posies 「小さな花束」。posy(=bouquet)の複数形。

 

【解説】

 よく知られた遊び唄である。子供が輪になって唄に合わせてスキップしながらぐるぐる回り、「はくしょん」のところでいっせいにしゃがみこむ、という遊びかたをする。

 この楽しい遊び唄には、恐ろしい意味合いが込められているという説がある。17世紀のロンドンで大流行したペストのことを歌ったものだというのだ。

 ばら色の発疹はペストの兆候であり、ポケットの花はペストを防ぐための薬草、くしゃみは末期症状、そして最後には皆倒れて死んでしまったという。 

 なお、'ring-around-the-rosy'は、「(議論や話の筋などが)堂々めぐりをする」といった意味で使われることもあるので覚えておきたい。

散歩道9月号に関連サイトを掲載しています。関連リンクへ

 

【日本では】

 輪になってぐるぐる回り最後にしゃがむという点が似ているのが『かごめ かごめ』である。違うのは、輪の中に目をつむった鬼がしゃがんでおり、後ろの人を当てるというところ。また、『かごめ かごめ』ではスキップをしながら回ることはないが、それは言語の持つリズムの違いのせいであろう。

 1797年の『諺苑』に、この唄の元となる唄が収録されている。200年前は、「鶴と亀がすべった」ではなく「つるつる すべった」であり、遊び方も「なべなべ底抜け」と同じようであった。