地域ケアシステムの実現へ向けて  2000.05.03

 
地域ケアシステムとは?
あなたがいつまでも体が不自由にならないという保証は、どこにもありません。障害をもったあなたが、家族がいなくても1人でこの家で住みつづけられるよう、行政や専門家の支援と身近な人々の支援を上手に組み合わされる必要があります。それが地域ケアシステムです。

地域ケアシステムの理想形
「地域福祉の充実・たすけあいのコミュニティ・市民参画のまちづくり」とは、私の学生時代からのテーマでした。利用者本位のケア、保健・医療・福祉の連携、住み慣れた地域で暮らし続ける、この当たり前のことが常にかけ声だけに終わってしまっているように思えました。理想とする地域ケアシステムとはどういうものか、そしてそれを市川市でどう実践していくか、わたしは無関心ではいられません。

わたしはこの「地域ケア」の理想を二つのケースに求めました。ひとつは北九州市です。ここでは、末吉市長の「これからの高齢化社会対策は小学校区を単位とした『地域づくり』である」という理念のもとに、地域コミュニティを作り上げることに取り組んでいます。そしてもうひとつは、福祉が充実していることで世界的に有名な北欧です。

詳細はレポートでごらんください。

市川市の取り組みについて
市川市では、1998年9月から「地域ケアシステムプロジェクトチーム」が発足し、関係の課が横断的にプロジェクトを組んで、地域ケアについての研究がはじまりました。

 そしてこのプロジェクトチームは、は半年の集中した議論の末、地域ケアの拠点を地域に置くこと、および、モデル事業を始めてみることなどを提言して、1999年の新プロジェクトチーム(以下PTと略)メンバーへとバトンタッチしました。この年には、当然それまでの記録と、検討結果が引き継がれたと思われますが、実際は十分だったとはいえません。

 新PTは担当者に任せきりだったのではないでしょうか?PTメンバー間の協力や連携があったとは思えない結果だったと思います。担当は拠点発掘と、モデル作りにばかり神経が行っており、市川市としてのシステム構築にまで及んでいなかったのです。

 1999年12月議会でこの問題を取り上げた私は、「地域サロン」構想を聞きひどくがっかりました。(詳細は地域ケアシステムについて(議会報告21号、1999.2)で確認してください)
最も大切な基礎単位を小学校区とし、顔の見える生活圏での福祉の充実を目的とし、末端レベルでのニーズの発見をシステム的に簡単にしたものではなく、末端の「地域サロン」と言う箱だけが先行してしまった、「はじめに箱ありき」だったからです。議会質問のやり取り(詳細は地域ケアシステムの構築の経過について (議会報告25号、2000.1))の中で、私は一つの政策方針を導き出しました。
 それは、もっと大きな政策的なシステムの構築で、「基幹型の在宅支援センターを柱に、地域型の在宅支援センターを中心にしていく」というものでした。私が、ほとんど無理やり導いた結論だったかもしれません。しかし、わたしは必死だったのです。
99年12月の議会でもこのことについて一般質問を行いました。

 そこで、こんどは、年明けすぐに、一昨年秋に、PTの立ち上げを強力にフォローしてくれた市長に面会し、その進む方向がずれてきている事と、その原因をレポートにして提出しました。

 その結果、2000年度は、ケアシステムの予算はA級(絶対削られない、確実にキープされている予算)でしたが、最終的な市長査定で戻されたとのこと。厳しい言い方をすれば、「地域サロン」構想は地域の人々の理解という実態が伴わなかったといえるでしょう。

今後の方向性をめぐって
 さて、2000年度は介護保険もスタートし、益々ケアシステムが重要になります。私は、改めて介護保険制度下での地域ケアシステムと、苦情処理機関や権利擁護システムがどのようにかみ合っているのかしりたくて3月末、改めて、北九州市を視察してきました。

 2年前にお世話になった北九州市保健福祉局地域計画課の古賀係長がアテンドしてくれました。私の思った通り、これらの視点はしっかりとシステムの中に組み込んでありました。
ケアシステムは市民に一番近いところでのニーズを拾い、木目細かく対応し、適切なサービスを提供するという在宅支援であると考えます。その末端で、苦情は出現し、また権利擁護も必要となってくるのです。
それらをも拾い集め、きちんと各機関へ繋げ、政策に反映せねばなりません。このことを当然のようにシステムに組み込んでいるということは、それだけ、きちんと地域・現場を見ていることにほかなりません。そして、苦情や相談の中には、「ダイヤモンドの原石」が詰まっている!という感性に私は感動してしまいました。それらに十分対応し研究することにより、よりよい政策のヒントを得ようというのです。
 介護保険時代になって、厚生省は改めて「地域ケア」の重要性に戻り、あれこれと政策を打ち出してきました。にもかかわらず実はモデルがない。そこで、最近では、北九州市に視察にきているとのことです。

 私は北九州市の三層構造に匹敵するような、市川市独自のケアシステムを提案したいと考えています。
まず、基本は、小学校区中心に置きたいところですが、とりあえず、中学校区を中心とした構想を考えてみたい。
 市川市は、自治会連合会とそれにほぼ重なるようにして社会福祉協議会の支部組織を立ち上げようとしてきた。この「地域」というややこしい集団に関わっているのは、庁内では、地域振興課と福祉事務所。そして、この社協です。かって、政治家(議員や首長)は地域を集票マシーンとして利用してはきましたが、行政マン達はできれば触れたくない部分。地域へ出向くことには腰が重いのが現状です。そこで、地域振興課や社会福祉協議会のノウハウを借りる必要があるのです。

 もうひとつ中学校区を目指しているものが、在宅介護支援センターです。私は、これを生かしたシステムにしてみたいと思っています。基幹型の在介を司令塔に、地域型の在介を地域の専門集団のまとめ役になってもらいたいのです。  地域型の在宅介護支援センターと社協支部をいかに結び付けていけるか・・・・・

 そんな時、ひとつのあかりが見えたのは、介護保険のスタートに向けて、保健婦や福祉職達が「情報の共有化」を目指して、ケアマネージャー協議会とサービス事業者連絡会を立ち上げてくれたことでした。この専門職集団は非常に大事な「人のネットワーク」になっていきます。
それを市全体から地域での交流にできないだろうか?

そして、かれらに、社協支部にでてきてほしいと思っています。。しかし、まずは、その道筋をつけてもらうのは市の専門職たちです。特に「女性」たちにお願いしたいと思っています。

また最近、松戸市でも厚生省の『高齢者地域ケア未来事業』の指定を受け、在宅介護支援センターを中心とした体制づくりを始めています。地域ごとに保健、福祉、医療のプロと、地区社会福祉協議会等のボランティアを有機的に動いてもらおうと言う仕組みです。大いに注目すべき事例として、市川市にも、検討を要望しています。(議会報告NO27参照)

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