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砂田喜昭 2020年4月19日更新  
公共施設の統廃合で
 国への補助金返還が発生
統廃合で税金は節約できるのか

 公共施設を統廃合すれば、ほんとうに市の財政負担が軽減されるのか。

 2月に開かれた総務産業建設常任委員会と公共施設再編特別委員会では、公共施設再編に伴う国庫補助の返還問題が議論になりました。

 砂田市議は城山まちなかトイレやおとぎの館図書室、タワーの湯などによる補助金返還がどうなるのか、学校統廃合ではどんなことが予測されるか、市として試算・予測をして、統廃合の是非を財政的にも検討すべきだと主張しました。

石動幼稚園の廃止で国へ 492万円返還

統廃合によって市の財政を節約できると思っている方もおられますが、そうならないことは、幼稚園や保育所の事例を見れば明らかです。

 石動幼稚園を2018年3月末で閉園し、石動東部保育所に統合し、石動きらりこども園にした際に、国へ492万4千円の補助金を返還させられました。

 建設した年数が古く、建物自体の補助金は返さなくてもすんだのですが、2011年12月に農林水産省の林業再生事業補助金を使って床や壁に木材を使う工事をした補助金の返還が求められました。

7保育所を、二つのこども園に統合
返還補助金はどれだけになるか?


 こんど統合した7保育所についても、補助金の返還が求められる可能性があります。

  建物については、有償譲渡か無償譲渡かで、補助金返還の有無、額が変わります。無償譲渡の場合には補助金返還額はゼロです。各保育所をそれぞれ600万円で有償譲渡したと仮定して試算すると、7保育所の合計で1,855万円程度の返還が求められる可能性があります。(表1 保育所財産処分の場合参照)。

表1 保育所財産処分の場合の補助金返還について
(補助金適正化法に基づく試算)

 ◎10年以上経過した保育所を無償譲渡の場合、補助金返還はゼロ

 ◎ 有償譲渡の場合、譲渡額に総事業費に占める国補助の割合を掛けた額が返還を求められる。
 7保育所を仮にそれぞれ600万円で譲渡した場合の試算額1855万円
 但し、上限額があり、国補助金に残存年数の割合を掛けたものが上限額となる。


 2011年に農林水産省の林業再生事業補助金を使って内装を木質化した事業に関しては、国、県の具体的な対応が不明ですが、石動幼稚園の例を参考に試算すると、7保育所の合計で836万円程度の補助金返還が求められる可能性があります(表2 林業再生事業補助金の返還推計)。


表2 農林水産省の林業再生事業補助金

 石動幼稚園の例で試算すると、返還額は計836万円と試算される。これが上記、財産処分の補助返還額に加算される。

国への補助金返還とは
まだ使える施設を廃止すること


  これらの表にある処分制限期間・耐用年数の欄は、税金を計算するときに使う法定耐用年数であり、建物は実際にはその何倍も、80年100年も使用に耐えるものです。国から補助金の返還を求められるということは、まだまだ使える施設なのに廃止してしまうということです。7保育所で十分な保育活動をしていたのに、統合こども園を建設し、旧保育所を廃止するというのは、税金の無駄づかいではないでしょうか

 さらに廃棄物を増やし、地球環境にも大きな負担を負わせることにもなります。

統廃合で借金急増
市民の暮らし圧迫のおそれ


大谷、蟹谷こども園で21億円の借金


 大谷と蟹谷の二つの新しい統合こども園建設は、もともと2018年度に完了する市の第6次総合計画にはなかったものですが、18、19年度で21・5億円の借金をし、今年度には182億円と、過去最大の借金を抱えてしまいました。市は19年度予算で借金返済に元金12億円超と利子1億円余を見込んでいますが、数年後には過去最大の借金返済による財政負担が急増します。

 子ども医療費助成は約9千万円(19年度予算)ですから、借金を抑制し利子分を減らせば、児童福祉をさらに充実させることができます。
国に返した補助金は何に使われるのか、安倍政権のもとではせいぜい、トランプ大統領のいいなりに欠陥戦闘機F35などの武器の爆買いに消えてしまうでしょう。

学校の統廃合で、
さらに市の財政負担増に


 公共施設の統廃合では今後、城山まちなかトイレの廃止・解体や、石動コミュニティセンターの解体、おとぎの館図書室、タワーの湯の廃止などが続きます。

 そのうえ学校の統廃合などということになれば、市の財政負担はどれだけになるかわかりません。学校統廃合で財政的に助かるのは、国が教職員を減らして教員の人件費の負担を軽くできるだけです。小矢部市にとっては補助金返還が求められたり、学校が少なくなることで地方交付税が1校あたり約900万円少なくなるなど、財政的にはかえって負担が増えてしまいます。

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