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砂田喜昭 2020年1月2日更新  
小矢部市の財政は大丈夫か
財政健全化指数・県下最悪 2018年度

 富山県が9月30日に発表した、2018年度決算をもとに県内10市の財政健全化を判断する指標によれば、小矢部市は実質公債費比率が15・1%、将来負担比率が174・4%で、県内で最悪の状態にあることがわかります(表参照)。

小矢部市の将来負担額の総額
年収の4年分と、市監査委員が指摘

 小矢部市監査委員の2018年度決算審査意見書によると、小矢部市の将来負担額の総額は339億3244万円で、市の年収(標準的な経常的一般財源規模を示す標準財政規模)83億9625万円に対して4倍です。年収の4年分の負債を抱えていることになります。なお、将来負担比率は市が保有する基金や、借金返済にあたって国が面倒を見てくれるという額を差し引いて計算するため、174・4%となります。

市民サービス、教育、福祉圧迫の恐れ

 監査委員は将来負担比率の値174・4%が、国が危険水域としている早期健全化基準350%を下回っているから健全だと述べていますが、県内15市町村で一番高い比率であり、県内平均88・8%の約2倍です。極めて深刻な水準だといわねばなりません。市民サービスの向上、教育や福祉のための財源を圧迫していることは否めません。

将来負担比率悪化の要因
統合こども園、石動駅周辺整備、新図書館などの借金


 2018年度の将来負担比率が前年度165・2%に比べて9・2ポイントも悪化しました。市債残高が17億8776万円増加したことが影響しました。

 市債が増えたのは、二つの統合こども園をつくるために8億6千万円、石動駅周辺整備に8億6千万円、新図書館整備に8460万円、石動コミュニティプラザ整備に9930万円など、約30億円の新たな借金をしたためです。この年、借金の元金返済は約12億円でした。

今年度も新たに32億円の借金

 2019年度予算でも統合子ども園整備にさらに13億円、石動駅周辺整備に1・4億円、石動コミュニティプラザ整備に5・8億円など、新たに約32億円の借金を見込んでいます。元金返済額は約12・8億円を予算計上しています。このため2019年度にはこの将来負担比率がさらに悪化し、210・6%になると予想されています。

 さらに公共施設の再編統廃合で、まだまだ耐用年数のある城山まちなかトイレの解体、おとぎの館図書室の閉鎖など、使える施設を取り壊して新しく施設をつくるという問題点も指摘しなければなりません。

財政運営の原則に立ち返れ
公共事業(新借金)は元金返済の範囲内で


 これまで小矢部市は元金返済の範囲内で新たな借金をするという原則を一応持っていましたが、この原則がおろそかにされたといわねばなりません。

 かつてクロスランドで莫大な借金を抱えた後、毎年少しずつ市債残高を減らしてきた取り組みを、もう一度復活させないと、市民の暮らしを守る地方自治体としての役割を果たせなくなります。

 市役所の耐震化や、新たな公共事業について、市の財政状況を見ながら、取り組まないと大変なことになります。

学校統廃合は問題外

 財政面からみても、小中学校統廃合などは問題外です。すでにすべての小中学校の耐震化が完了し、すべての普通教室に県内に先駆けてエアコンを設置しているのが小矢部市です。

 もともと第6次小矢部市総合計画になかった保育所の統廃合が市財政を圧迫している教訓を忘れてはなりません。

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