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砂田喜昭 2019年9月8日更新  
日米貿易交渉
稲葉メルヘン牛にも大打撃

 日米貿易交渉の見通しについて、トランプ大統領は5月末の訪日の際、「8月に良い発表ができると思う」と語りました。安倍首相に配慮してこの合意を参院選後まで隠す狙いでした。ところがトランプ大統領は6月11日にアイオワ州で演説し、「米国産牛肉の日本輸出を年2億ドル増やすという合意に達した」と暴露しました。
 参院選が終わった7月25日、日米貿易交渉が小矢部市に与える影響について、砂田喜昭市議は市議会総務産業常任委員会で取り上げました。


TPP11発効で
高級和牛も値崩れ


 牛肉に関して小矢部市は稲葉山牧場で年間80頭出荷体制をめざしています。稲葉山牧場では2018年度末で和牛292頭を育て、79頭出荷しました。1頭の平均価格は129万4千円でした(表1参照)。

 稲葉メルヘン牛は高品質だから、影響は受けないのでしょうか。昨年末に発効したTPP11で輸入牛肉は日本農業新聞によると、今年1月から5月は前年同期比5%増の24万5720トンで、TPP11参加国のカナダ産は82%増、ニュージーランド産が56%増です。この結果、東京市場でA5ランク(最高評価)の和牛雌の平均価格は、16〜18年度までは1キロ当たり3061円から3095円で推移していたものが、19年4月から6月の平均価格が2957円に140円近く下落しました。同市場での3年間の月別推移をグラフにしましたが、今年3月から明らかに前年、前々年を下回っています(グラフと表2参照)。TPP11の影響は最高品質の牛肉にも明確に現れています。



飼料米生産にも影響が

 この影響は畜産農家に止まらず、米作農家にとっても深刻です。いなば農協での飼料米の生産量は年々増え、18年は1251トンでした(表3参照)。市内の飼料米は主に養鶏にまわされており、稲葉牛には2トンでした。これは牛の主な餌=配合飼料にごくわずか加えてみた取り組みでした。しかしこれに止まりません。

 いま日本では配合飼料の原料に輸入トウモロコシから国産の飼料米に変える動きが始まっています(農林水産省委託プロジェクト「自給飼料を基盤とした国産畜産物の高付加価値化技術の開発」)。富山県でも破砕玄米を50%にした濃厚飼料でも、トウモロコシと比べて、牛の肥育に変わりがないとの結果が出ています。安倍政権がトランプ大統領の要求を丸呑みして米国産牛肉を大幅に増やせば、米作農家の飼料米生産にも重大な影響を与える恐れがあります。

「政府はアメリカに譲歩するな」
意見書提出を提案 砂田市議


 砂田市議はこの議論をふまえて、市議会総務産業建設常任委員会として、日米貿易交渉でアメリカに譲歩するなと意見書をとりまとめて、国に働きかけてはどうかと提案しました。委員長は、後日委員の皆さんの意見を伺って対応したいと述べました。

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