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砂田喜昭 2019年5月28日更新  
どの子も伸びる学校を
学校統廃合で教育はよくなるか

 市議会の保守系議員たちが、小矢部市に対して「学校の統廃合をせよ。小学校5校を3校に、中学校4校を1校に」と迫っています。大集団での切磋琢磨が大事だというのです。
 「どの子も伸びる学校を」「子どもたちの個性を生かし能力を伸ばせる学校に」。これが多くの市民の願いです。この願いに、学校の統廃合は本当に応えることになるのでしょうか、ご一緒に考えてみましょう。

子どもたちの個性と能力を育むには小集団

 子どもたちの個性と能力を育む学校は、集団活動を通して、仲間とともに学ぶ中で一人ひとりの成長を目指すところです。
 子ども達が互いのよさを認め合い、鍛え合い、学び合ってよりよく伸びていくためには、子ども達にとって安心して心を開ける居場所としての規模の学校や学級が準備されなければなりません。
 
WHO(世界保健機構)は学校規模は小さいほど良いと勧告し、世界では「100人より小さい学校」が子どもの発達に大切であることが当たりまえとなっています。子ども達は成長段階に応じた集団の中でこそ主体的に物事にかかわろうとする力が育くまれ、学習に取り組みます。
そのことを肌で感じ一つのクラスを小グループに分けて話し合う授業を実践している教師も多くいます。

教員数が激減
全クラスが31人以上に


 魚津市で
4小学校を一つに

 学校を統廃合したらどうなるか。魚津市で4小学校を1校に統合したら、統合前は63名いた教員が34名に激減しました。校長・教頭を除く教諭のみでも42名が27名になりました。
 すべての学年で1クラス31人以上になりました(表参照)。
 小矢部市では小学校低学年について31名以上のクラスにはもう一人補助の先生を市独自で配置しています。そうしなければ授業が成り立たない現状があります。統廃合すれば多人数のクラスになり、少人数学級に逆行します。


国の狙いは
教員の人件費削減

 柳田邦男氏は学校統廃合の狙いは教員の削減であるとズバリ指摘していました(毎日新聞「深呼吸」2015・1・24)。安倍首相が主宰する経済財政諮問会議で「少子化に対応して小中学校の統廃合を」「教職員を1万8千人減らせ。390億円の節約になる」と。
 147機も爆買いするF35戦闘機わずか3機分で教員を減らさずにすむのです。こんな無駄づかいを止めれば、教育の 充実、少人数学級実現は十分に可能です。

 統廃合でバス通学が長時間に

 バス通学も大変で、ジッと座っている子ばかりではなく、教員がバス通学の指導に出向かねばならないこともよくあります。このうえ学校の統廃合をしたら、バス通学に1時間というところも出て、子どもたちに負担がかかります。

 部活は地域スポーツ少年団に

 児童・生徒数の減少で中学校の部活に支障があるという声もありますが、いまはスポーツ少年団 で活動している子が増えています。諸外国でも、地域のスポーツクラブで活動するのが普通になっており、文部科学省も地域クラブでの活動を推奨しています。

 市民に活用されている学校施設

 体育館、グランドは市民にも活用されています。小学校では年間延4319団体、中学校でも1771団体が利用しています。学校が統廃合されれば、活動の場を失う団体も出てきます。

先進の小矢部市の教育環境
耐震化完了、エアコン完備

 県内では、市町村合併前の旧村時代の学校統廃合が多くありますが、小矢部市の場合、すでに旧村時代の小学校は統合されています。

 小矢部市で一番小さい東部小学校でも、全校で100名の児童がおり、少人数学級が実現できています。小矢部市では2011年度からすべての小中学校に専任の図書館司書職員を配置してきましたが、子どもたちへの図書貸出冊数が小学校では一人あたり年間92冊(17年度)となり、3年前に比べて1・7倍に増えています。東部小学校はその先進を走っています(年間169冊)。

 小矢部市の小中学校はすべて耐震化工事が完了し、普通教室にエアコンも完備しています。統廃合して新しい学校を造った魚津市は20億円をかけたそうです。充分使える学校施設を統廃合するなど、税金の無駄づかいではないでしょうか。
 














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