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砂田喜昭 2018年11月21日更新  
行政視察報告
遊休財産の処分や廃校後の活用

 市有地の売り払いや廃校後の学校施設の活用について視察するために、市議会公共施設再編特別委員会は11月5,6日に、滋賀県高島市、京都府舞鶴市を訪れました。砂田市議も参加しましたので、その概要をお知らせします。


市有地の売払いについて
滋賀県高島市


 高島市は琵琶湖の北西部に位置し、2005年1月1日に、5町1村が合併して発足した市です。合併に伴って地方交付税が10年間割り増しで(合併算定替)交付されていましたが、2015年度から段階的に削減されるなど、厳しい財政状況の下、遊休財産の処分に取り組んでいました。

 
旧町村から引き継いだ財産
 公共の福祉に利活用が基本


  市の基本的な考え方としては、旧町村から引き継いだものが大半ですが、いずれも市民のために必要として取得した市民共有の財産であり、市が公共の福祉のために利活用することがもっとも望まれるとしています。そのうえで、行政目的がなくなったものや、将来的な利活用の計画が決まらない財産などについて、継続保有するか、処分をするかを個別に決めていくこととしました。地縁団体等が公共的に利用する場合は優先的に譲渡または貸与する方針です。

 遊休地には土地区画整理事業で出た土地や合併による山林などがあります。これまで、85件、7万1千平米余りを6億6千万円余で売却したそうです。この内不動産業者の媒介によるものは8件ですが、最近はインターネットによる売却が多いそうです。

 
公平性確保のため
 外部有識者会議による検討


 市は公平性を確保するために公有財産審議会(弁護士や税理士、土地家屋調査士などによる外部有識者会議)を設置して価格や処分の方法を協議し、入札で売り出しています。価格は不動産鑑定士による鑑定価格を基準にしています。

 注目したのは、2016年に安曇川駅前で若者定住促進に貢献する内容での事業提案を公募し、1万平米の土地を1・3億円で売却した事例です。40歳以下か小学6年生までの子どもさんのいる家庭の入居を条件に土地活用計画を提出してもらい、市が適当だと判断した事業者に売却したそうです。

廃校後の学校施設の有効活用について
京都府舞鶴市


  舞鶴市西部の旧加佐町で廃校となった学校施設が5校あります。由良川周辺にあるこの地域は1957年(昭和32年)に舞鶴市に編入されたところです。

 
現在は
 地域コミュニティで活用


  廃校後、これまでは地域コミュニティで地区民運動会や、区長会の会合など公民館的な使い方をしています。草刈り、清掃などの維持管理はそれぞれの地域で行っていますが、電気料、水道料などの諸経費(約100万円)は市が負担しています。

今後は民間への貸出を募集

 このあとの有効活用について、建物そのものは築後30年から50年程度でまだまだ使用できることから、民間事業者による地域活性化につながる転活用をすすめる考えです。解体して売却する考えはないと、明言されました。敷地全体の賃貸を基本としていますが、部分的な賃貸(1棟単位)にも相談に応じているとのことです。使用期間満了などの場合、応募者の負担で現状復旧して返還することになっています。

 市は現在、民間事業者などによる事業提案を募集中です。現在、問い合わせは3校あり、実際に応募されているのは1校のみで、決定はまだです。

 募集期間は期限なしです。利用事業者が決まるまでは、地域コミュニティの施設として活用されています。

地域住民の理解が得られる
かが最大のポイント


 応募者には地域への貢献、雇用の創出、事業の継続性などの条件を求めています。民間事業者による応募・事業提案を、市が採用するかどうかの最大のポイントは、地域住民の理解と納得を得られるかどうかであるとのことでした。

学校統廃合では、人口減少に
歯止めがかからない現実も


 舞鶴市は人口8万人ですが、毎年約1千人ずつ人口が減っているそうです。最初、2004年度に閉校した小学校区では人口減少率は12・4%でしたが、市全体でも同じ期間に13・1%の人口減少率でした。2010年度に閉校した2小学校区では15・6%、1中学校区では18・4%の人口減少率で、同じ期間の市全体の減少率は8・8%です。学校の統廃合で人口減少に歯止めがかからない現実も示しています。統廃合前後の児童数は次の通りです。
小中学校の統廃合後の児童数の変化と現状、舞鶴市

 統合後は各学年1クラスで、一部には複式学級もあるようですが、舞鶴市ではこのあとさらなる統廃合は考えていないようです。

 小規模校にふさわしい教育環境を整えれば、大規模な学校をめざす必要がないことを示しているのではないでしょうか。

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