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砂田喜昭 2018年3月24日更新  
小矢部市の財政「大丈夫なの?」
3月議会で活発な議論


 
「高岡市の財源不足40億円」の報道が、市民の間で「小矢部市は大丈夫なのか」との反響を呼んでいます。3月議会では何人もの議員が市の財政問題を一般質問で取り上げていました。今週号では砂田市議の質疑応答の様子をお知らせします。

○ 大型事業が目白押し


 小矢部市は2018年度予算で、30億7千万円の借金をする予定です。何のための借金か。石動駅周辺事業、新図書館建設、大谷・蟹谷学校区の統合こども園建設など大型公共事業が目白押しで、すべて借金をしてつくります。さらに19年度からはじまる第7次総合計画の10年間には仮称石動コミュニティプラザ新設、市役所の耐震化工事、クロスランドおやべの大規模改修などが続きます。

 
さらに駅北エリア整備も

 この計画期間中に石動駅北エリアの整備も検討されています。

 石動駅北エリア整備では、いなば農協本店農協会館の松沢地区への移転計画(20年)や駅北土地区画整理などが想定されます。石動町部の高齢者が買い物しやすいAコープがどうなるかも気になるところです。

 市は「具体的なことは第7次総合計画の前期実施計画(19年度から5年間)のなかで計画されるだろう。その整備は行政だけでなく、JAとか民間の活力を生かした手法もあるだろう。前期実施計画(5ヵ年)の中で検討することとなる」としています。

○ 懸念されること

@ 市年収の2倍の負債総額(ピーク時)
  全国平均や近隣市に比べ極めて大きい


 市の借金は造った建物・財産が残るので、国の赤字国債大量発行とは性格が違うが、市債残高が増え続けるのは好ましくありません。

 小矢部市の将来負担比率は164・4%(2015年度)です。将来負担比率とは大雑把にいうと、市や市の関連団体が抱える負債の総額を、市の年間収入(標準財政規模)で割った比率で、年収の1・6年分の負債を抱えていることを意味します。

 第7次総合計画に取り組むと、市はこれが2020年にはピークで210%(年収の2倍)にもなると試算しています。国は財政健全化指標としては350%まで許容していますが、全国平均が34・5%(16年度)であり、隣の砺波市は57・8%(15年度)です。次の表は呉西6市の将来負担比率です。どれを見ても小矢部市の負債総額が極めて大きいことを示しています。

A 国がほんとうに借金の面倒をみてくれるか?

 借金について、市は交付税措置のある有利なものを利用しているとしています。借金を返済する際に、国が元金と利子の一定割合を地方交付税で面倒見てくれるという意味です。しかし、だからといって安心して借金をつづけてよいものではありません。

 国全体でみると、地方交付税総額には借金返済分がプラスされていません。国は予算を決める段階で、地方交付税総額をあらかじめ決めてしまっています(地方財政計画)。

 18年度政府予算では地方交付税総額(臨時財政対策債を含む)は19兆9950億円で、前年より総額で3800億円少なくなっているのです。国が借金の返済にあたって面倒見てくれるといっても、安心できないわけはここにあります。

B アベノミクスの失敗で金利上昇の恐れ

  市は18年度予算で借金返済に13億4千万円を見込んでいます。これは農林水産業予算10億円を上回っており、新図書館建設を除く教育費の予算13億円に匹敵するものです。

 そのうち利子は1億円ですが、昨今の世界経済情勢や、アベノミクスの失敗で金利が上昇すると甚大な被害を受けることになります。小矢部市がクロスランド建設を進めていた20数年前には金利負担が6・3億円から7・3億円という時期もありました
(これは集中学校の年間予算に匹敵)。このことをも想定しておくべきで、そのためにも財政規律を守ることが極めて重要です。

砂田市議の提案

1 完成年次を先送りして
    市財政への影響を少なくする


 
桜井市長 国・県の支出金の活用、地方交付税算入率の高い有利な市債の借り入れを行うなど、市の将来の実質負担が大きくならないよう、健全財政の維持に十分配慮して予算編成を行った。

 
砂田市議 国は、夕張市の財政破綻から将来負担比率で財政の健全化を判断するように求めてきた。350%より低いからといって安心できない。171・3%の高岡市が「40億円の財源不足」という事態を招いた。
これから整備するものについて、2年でつくるものを3年4年でつくるなど完成年度を先送りし、市財政への影響を少なくすること。

 
桜井市長 石動駅周辺事業や統合こども園整備、市役所耐震改修は事業計画や地方財政措置の期限があるので先送りは難しいが、第7次総合計画では事業費や将来的な公債費負担の平準化を図るべく、事業化の年次を十分検討して参りたい。

2 元金返済額の範囲内に新規借金の抑制を

 
砂田市議 市も「小矢部市行財政改革実施計画」で「健全財政の維持」のためには「公債費の抑制」が重要と指摘し、そのために「毎年の建設事業にかかる起債の借入額が償還額の範囲内となるように努める」としている。この原則を厳重に守ることが大切だ。

 
総務部長 大型事業を進める際に一時的に増えることになる。第7次総合計画期間全体で起債総額を抑え、将来負担を抑制し、健全財政を維持していく。

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