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2017 グリーンウェーブシンポジュウム
安全な食と地域農業を考える 砺波で開催
「安全な食と地域農業を考える」と題するシンポジュームが11月23日、国民の食糧と健康を守る運動富山県連絡会の主催で、砺波市体育センターにて開かれ、50名余りが熱心に議論に参加しました(写真)。パネラーは富山大学教授の酒井富夫氏、「増山城蔵蕃そば」代表取締役 坂本勲夫氏、農民連全国連合会会長の笹渡義夫氏、の3名で、各パネラーから主に次のような趣旨の発言がありました。
強欲資本主義から
生産者、地域、消費者とつながる社会へ
酒井富夫教授
政府は強い農業をめざし、輸出競争力を持て!と言っている。
農業には国民の食料を安全で安定的に安価に供給する役割があります。また、中山間地等の条件や生態系の側面、多面的機能等、工業と違う特色があります。島根県、富山県は集落営農が進み、法人化も進んでいるが、いずれも行き着く先には後継者問題があります。
この問題に対して、強欲資本主義の下での競争ではなく、生産者同士や地域とのつながりや消費者との「つながる社会」の「お互い様」という地域社会の課題として、解決の糸口を見つけよう。各地の集落営農や消費者参加型の農業の取り組みから学びましょう。
地域の蕎麦と空き家を生かしてそば屋を立ち上げ
坂本勲夫社長
地域の特色を生かして、 3月から立ち上げた蕎麦屋の経験を話されました。これは20年以上前から栽培してきた地域のそばと空家を生かして、地域の有志で作りました。県と市の各種事業資金を受けて、お客様の意見を組み入れた経営で、月に700〜800人のお客数で約100万円を売り上げています。地元産はそばだけでなく、大根やニンジン等も取り込み、お客様からの要望であった温かい十割そばのメニュ等、スパイラルアップを図っています。今後は後継者問題にも取り組んでいきたい。
安倍内閣の農業政策では
巨大企業の農業支配を強め、食の安全が脅かされる
笹渡義夫会長
先の総選挙中の日本農業新聞のアンケート調査によると、安倍内閣の農業政策は約7割が評価していない。又官邸主導の農政決定には、約8割が評価しないと報道されています。今、戦後農政のレジームが破壊されつつあります。安倍政権はアメリカの巨大企業などを含む民間企業に、これまで入り込めなかった農業分野へ、種子法の廃止をはじめとした種子から食の流通に至るまで、参入の道を開きつつあります。
アメリカの不参加で死んだTPPを11か国で生き返らせ、関税撤廃の危険が現実化します。日米二国間貿易交渉ではさらなる譲歩を迫られます。これと併せて、今後所得補償制度と生産調整の廃止が着実に実施され、地域農業の崩壊と食糧自給率の更なる低下により、10年を待たず米価は60`1万円を切ると見込まれます。そして、遺伝子組み換え食品は、表示義務が無くなり、人に毒であることが証明される迄、食べ続けることになります。成長ホルモンの投与された米国やオーストラリア産の牛肉や豚肉は、発癌性が高く、EUでは輸入が禁止されているが、日本には無検査で入ってきています。
こうした食の安全と、農業生産物の価格保障や所得補償政策による地域農業を守ることは一体の課題です。
課題解決へ参加者も発言
会場の参加者も参加した質疑討論では、これらの諸問題をどう解決するかという立場で活発な話し合いが行われました。
後継者問題
営農組合の80%が後継者問題を抱えているのをどう解決するか、という問題が提起され、酒井教授の「お互い様」や笹渡会長の「野党共闘」に共通する仲間と連携の中に問題解決のキーワードがあります。担い手対策をしているヨーロッパにならい新規就農者への支援を含めた支援体制が必要です。
種子をまもる
種子法の廃止に伴う今後の具体的動向はどうなるのかという質問には、都道府県の一般財源による財源措置を求めてゆくことと、自治体が長年にわたった作り上げてきた種子の知見を民間大企業に提供させない取組が大切であることの説明がありました。
消費者ともつながる取組
消費者ともつながる取組酒井教授のCSA(地域貢献型農業)とは何かという質問があり、新鮮で安心・安全な農産物を求める消費者も参加した共同体の仕組みを持った「なないろ畑(株)」の説明がされました。
最後にまとめとして、「地域」「コミュニティビジネス」「農協との連携」「農業の担い手対策として国家プロジェクトとしての取り組み」のキーワードに解決の糸口があるとまとめられました。
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