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砂田喜昭 2017年9月3日更新  
 原水爆禁止 2017世界大会
核兵器禁止条約採択に喜びが満ちた開会総会
原水爆禁止2017世界大会―長崎 に参加して
 小矢部平和委員会 荒木義昭

 原水爆禁止世界大会が8月7日から9日の3日間長崎で開催され、富山県から19名の参加があり、 私も小矢部平和委員会の代表として参加しました。

 初日の開会総会は海外から22か国、95名の参加と、国内から6000名と市民体育館一杯の参加でした。

 これまで長年の願いであった核兵器禁止条約が、ついに国連で採択され、喜びに満ちた世界大会となりました。長崎市長をはじめとした各国代表のあいさつや国内諸団体代表の発言は、条約採択という喜びと高揚感に満ちたものでした。とりわけ被団協の木戸事務局長は、「条約採択を先人に報告できることは感無量、72年間の活動が第3の原爆を阻止してきました。

 安倍総理は広島で条約に署名しないと明言しました。恥ずかしく腹立たしい思いでいっぱいです。各国指導者に署名するように説得することこそが戦争被爆国日本の首相としての使命ではないか、こんな情けない首相を選んだのは私達です。署名し、批准する首相を選びましょう」と語りました。

 長崎平和宣言では、「安全保障上、核兵器は必要だと言い続ける限り、核の脅威は無くなりません。日本政府は、核を持つ国と持たない国の橋渡し役を務めると言明しながら、条約の交渉会議にも参加しない姿勢は到底理解できません。最も怖いのは無関心なこと、そして忘れてゆくことです。あきらめず手をつなぎ、核兵器のない世界を願う世界の人々と連帯して、核廃絶と恒久平和の実現に力を尽くし続けよう」と呼びかけています。

草の根の運動交流

 
政府に条約署名をさせるには

  2日目は、「草の根の運動交流」という第1分科会に参加しました。
 今後は、政府に条約署名させる取り組みが大切で、その為の運動交流をしようと問題提起がありました。
 「第一に、非核三原則を法律にしたい。採択された条約は、今後締結することは政府の仕事であり、批准は国会のすること。その仕事をしてくれる政府を選出する必要がある。」

 北朝鮮の核開発
禁止条約を締結してこそ、「止めろ」にも説得力


 「第二に、アメリカの核の傘の下にいて、北朝鮮の核開発を批判しても説得力はない。核兵器は無差別爆弾であり、不必要な痛みを伴うという特徴がある。生物兵器や化学兵器と共通するところがあるが、それらは既に国際条約が締結されている。核兵器保有で自国の安全を言う国があるが、核兵器を無くすことこそ、最も確かな安全である。」

 この意見は、私もこれまでに署名を集めている際に、北朝鮮の核開発を、どう食い止めるかということが話題になったことがあります。北朝鮮の核開発を止めるには、米の核の傘の下に入って、止めろと言っても、何の説得力もない。条約を締結して、止めなさいと言ってこそ、説得力がある。橋渡し役は、条約に反対していては出来ない。条約を結んでこそ果たせるのではないか。例えの話だが、 飲酒運転の車に乗せてもらい、飲酒運転は絶対だめだと言っている様なものではないか、と思います。

多彩に繰り広げられている
  草の根の運動


 参加された世界各国代表からは、それぞれの自国で条約賛同の運動を広げると発言がありました。

 新婦人岐阜県本部からは、コンサートや街頭でのパネル展、、県庁のロビーでのパネル展、各地区でパネルの購入等多彩な取り組みを行い、多くの議員も署名したと報告されました。回覧版で4千人の署名が集まり、1万4千人の署名を3万人に目標を引き上げて取り組んでいるとのことです。

 茨城県原水協からは300万県民の中、組合員が100万人の県生協連と農協中央会で、署名連絡会の話し合いが進行。市町村段階では、各自治体ぐるみの運動が進み、町内会や老人会でも進められています。また、東海原発を再稼働させない鶴田まこみ県知事候補の勝利をめざす活動も報告されました。

 山梨県笛吹市(人口7万人)では、新婦人や民医連等で連絡協議会を作り、あらゆる既存団体(市長、保育所長、JA、自治会会長や区長等)から賛同署名を頂き、2か月で2100筆集まり、秋までに1万筆をめざしています。

 私もこれまで小矢部市内を中心にヒバクシャ国際署名進めてきた経験を発表しました(発言内容は後段に紹介)。

閉会総会

 高校生
「微力だが、無力ではない」


 大会3日目の閉会総会では、一万人署名活動に取り組んだ高校生が、「微力だが、無力ではない」と発言し、心に残る言葉でした。文化交流では合唱組曲「核廃絶列車で行こう」で、「乗り遅れないように、めざす最終駅は戦争のない世界」は感動しました。

 最後に安井事務局長は、重要なことは運動の波を拡げること、条約調印が始まる9月20日からの一週間、条約参加を求める世界同時行動「平和の波」を提唱し、「ヒバクシャ国際署名」の行動提起を訴えられた。そして、7000人による「ウィ・シャル・オーバーカーム」を大合唱して散会しました。

 私は、これまで進めてきたヒバクシャ国際署名を引き続き、進めながら、これまで以上に条約を署名、批准する政府をつくる為に、条約に背を向け、9条改憲をもくろむ安倍政権を、市民と野党の共同での力で退陣に追い込むことを強く思う3日間でした。

第一分科会での発言内容
 
「ヒバクシャ国際署名 活動を進めてきた経験」

        2017・8・8小矢部平和委員会 荒木義昭

 私は、1月14日以後、7月末迄に、ヒバクシャ国際署名を799筆、共謀罪と沖縄署名を725筆を集め、募金は10万円を超えました。

 私が住んでいる小矢部市は、石川県と県境を接する3万人ほどの散居村の街で、新日本婦人会会長の笠井喜美代さんの出身地です。

 私の1000名近くの市民との対話訪問活動のスタートは、1月半ばの吹雪の日でした。今回の署名活動は、地域の文字通り全世帯を対象にしました。

 対話内容は核兵器や共謀罪の事にとどまらず、お年寄りは戦争の時代の話や生活の事、健康の事、時には趣味の話題から毎日のニュースにも触れて、政治談議に発展する方も多く、時には15分、20分と座り込む事も珍しくない対話となりました。

対話のいくつかを紹介すると、
 トラクターの整備をしていた隣村のOさんは、これまで全く面識のない89才になるおじいちゃんです。無理かなーと思いましたがお願いすると、寒い作業場の中、凍える手で署名に応じて、何んと400円の募金をして、雪道を戻る私に、「体に気を付けて頑張れ」と励ましの言葉を掛けてくださいました。心が熱くなりました。募金活動はこのおじいちゃんが最初でした。

 95才になるNさんは、高齢ですが、政治のニュースにも詳しく、署名活動など無駄な事だと言いながら、戦争時代を生きたこと、病気のことなどたくさんのお話をされ、私が「こつこつと草の根の活動で子や孫達に平和な世の中を残してやりたいと思って、活動をしている」と話すと、涙して聞いてくださり、最後には署名に応じて、500円の募金まで頂きました。そして、自分の住む地域に、「こんな心ざしを持っている者がいた」と感激の涙を流し、固い握手をしてくださいました。こんなドラマは、上げればきりがありません。

 戦争の時代を語る茶話会

 こうした高齢の方が、平和を願う強い気持ちを語られた事から、一人一人の平和への思いを、みんなで語り合う事が出来れば、連帯の絆になるのではないかと友人と話し合い、3月末に「戦争の時代を語る茶話会」を地区の公民館で開く事に発展しました。当日は署名活動で知り合った90代の方2人、80代の方3人を含む十数名の茶話会となり、昔教員をしていたおばあちゃんは、発言原稿まで準備されての参加でした。全員が思いを語り、予定時間を1時間近くもオーバーし、戦争の時代を語ると共に、今よくにた時代になりつつある事や、安倍政治の戦争準備を進める政治を許さない思いを共有し、今を生きる大人の役割を考える機会になりました。

 国民平和大行進で、小矢部市を行進した人から、「沿道で市民が出迎えて、快く署名や募金に応じる、とても温かい町だ」と感想がありました。それは、軒並み訪問の署名の効果が、表れたのではないか、と思っています。

 今、小矢部市の後援で、今年2回目の「原爆と人間」展を行っています。この「禁止条約の採択を喜び、すべての国の加入を願って」と題した案内チラシを新聞折り込みしました。費用は全て募金で賄います。

 これまでに、小矢部市でのヒバクシャ署名は、1700筆を超えました。これまでの署名活動から得た教訓は

 @ 核兵器禁止を願う市民は、支持政党や思想・信条の違いを超えて、多くの方からしっかり頑張れとの励ましの声が寄せられる事

 A 特に戦争の時代に逆戻りする安倍政治への危機感と国政の私物化への怒りの思いが、戦争の時代を生き抜いた高齢層程強く語られる事。等があります。

 
対話を大切に

 私はこうした署名と政治対話を続ける上での注意してきた事があります。それは   

 第一に、上から目線での対話はうまくいきません。署名するか、しないかは相手が決める事。していただけなくても、相手をリスペクトする姿勢を貫く事を心掛けています。

 第二に、5人6人と対話しても、元気の出てくる人に巡り合わないことがあります。しかし、10人の方と対話すると、これまでの経験から、必ず頑張ってくださいと励まして頂ける方と巡り合えます。

 第三に、署名活動を主要な活動目的にせず、政治対話を重視してきた事です。署名の数をこなす以上に、対話を重視し、署名だけの一時の繋がりに留めないで、署名活動をきっかけにして、条約を批准する政府を実現する道に繋いで行く事です。

 これまでの草の根の署名活動で、市民の中に入り、市民の声を聞くと、「今の日本の政治は、法の支配が壊れつつある。権力者による国家の私物化を許さない」との声が聞こえてきます。

 このドラマチックで涙あり、笑いありの感動の、署名と政治対話を広めて、核兵器禁止条約を批准する政府を実現して、多くの市民と感動の涙を流す日を、一日も早く実現させようではありませんか。

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