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砂田喜昭 2017年6月2日更新  
全国ニュースになった小矢部市の
学校給食問題
砂田市議にインタビュー

 全国ニュースにもなった小矢部市の学校給食の問題を、市議会民生文教常任委員会(5月17日)で取り上げた砂田喜昭市議に本紙編集部がインタビューしました。

 編集部 どんな問題だったのでしょうか。

 
砂田市議 今年1月末のことですが、あるお子さんが食べ残したおかずを、担任が箸で口に入れたら嘔吐し、保護者とのあいだでトラブルになった問題です。私は、担任個人の資質の問題にすり替えることなく、学校として、教師集団としての役割が発揮されていたのか、教育委員会として改善すべき点がないか、今回の問題から教訓を学びたいと考えて、問題提起しました。

 
編集部 小矢部市の学校給食は子どもたちに評判がよいと聞いていましたが…。
 
砂田市議 私も、「子どもらは給食があるから学校へ来ている」とか、あるお子さんは毎朝「今日の給食は何かな」と楽しみに「献立表」を覗いていると聞いています。学校給食センターではなるべく地元農産物を使い、月1回は小矢部市特産品のハトムギを混ぜたハトムギご飯にしているそうです。アレルギー対応についても、保育所や幼稚園から児童の情報を共有して、厳重にされているそうです。

  ただ気になったのは、給食の食べ残しを少なくする目標管理みたいなものがあるのではないかということです。確かめたところ、教育委員会は学校に残量調査をさせるようなことをしていないそうです。給食センターでは毎日、残量を把握していますが、1%未満とのことです。あるお子さんに聞きますと、配膳された後、箸を付ける前に自分の食べられない分量を返したり、もっと食べたい児童はおかわりをしたりしているそうです。

 
給食指導
  担任任せにせず、学校栄養 
        職員の配置で拡充を


 
編集部 学校給食指導については、改善すべき事はありませんか。
 
砂田市議 小矢部市の場合、給食センター方式ですので、調理する部門と子どもたちの直接のふれあいがありません。いまは、担任が子どもたちの給食の様子を報告書で給食センターに知らせるとか、給食センターの側では食器の返し方の問題点を指摘するとか、お互いのまずい点を指摘し合うことになっているのではないか、気がかりです。

  これを改善するには、理想的には自校式に戻すことでしょうが、各学校に調理施設がありません。こどもたちの食事マナーの指導も大変なようです。給食指導をすべて担任まかせにしないで、学校栄養職員などによる給食指導への支援が重要ではないかと考えて、その配置状況を伺いました。

  教育委員会は、「県が配置している栄養教諭は2名で石動小学校と大谷小学校に所属しているが、実態としては給食センターを中心に活動し、行事などのときに各学校へ出かけて給食指導をしている。各学校には給食主任の教諭を担任と兼任で配置している」と答えました。

  私は、「
担任に任せきりにするのではなく、図書館司書を市独自で配置したように、学校栄養職員を配置して、給食指導の負担を軽減すべきではないか。多人数学級支援講師のいるクラスでは担任と協力してマナーも含め指導できるが、担任一人では手に負えないこともあるのではないか」と質しましたところ、教育委員会は「どのようなことができるのか、調査研究してみたい」と答えました。

 教職員のチーム力発揮には30人学級がカギ

 
編集部 教師の多忙化の問題も大きいですね。
 
砂田市議 学校全体の教職員のチーム力が発揮されていたのかも検討すべきです。子どもたちの人格の完成をめざして、教師の個性や特徴をも活かしながら、子どもたちの成長の状況、情報を共有し、お互いの知恵と経験が活かされることをめざすべきではないかと思います。全国ではいろんな先進的な事例、創造的な実践もあると思うので、その経験を学ぶ取り組みも大切です。こどもに愛を持って接することが大切だと思います。

  ただ、現状では教師のものすごい多忙化のもとで、とても他のクラスのことをかまっていられない、職員会議で議論しだすと切りがないという悲鳴も聞こえてきます。このことからもすべての学級で三十人学級を実現し、教師の多忙化を解消し、教師が集団としての力を発揮できるように早くすべきです。

地域の協力を得るにはどうするか

 
編集部 学校教育全体にかかわる大きな問題ですね。地域や保護者との協力や対応についてはどうでしょうか。
 
砂田市議 ひとつの試案ですが、先日行政視察で訪れた上越市のコミュニティスクールも参考になると提案しました。各学校に地域の人で構成する学校運営協議会を設置し、年間の学校運営方針を熟議し承認する仕組みです。その人選は、基本的には校長の推薦で教育委員会が決めており、準公務員として守秘義務が課せられています。もちろん学校の運営方針は憲法と教育基本法によって直接国民に責任を持って自主的に学校が教員の協議によって決めるべきものですが、そこへ地域住民の視点も参考にするということだと理解しました。

  そこでは、学校で起きている諸問題を、固有名詞は出さないが、包み隠さず話すようにしているそうです。これまで
学校内の問題は外部に漏らさないようにしていたが、オープンにすることで、地域の方のアドバイスなどを受けられるようになって、学校と保護者との相互理解がすすみ、その一つの表れとして学校へのクレームが減ったように思うとのことでした。

  教育委員会は、「市では教育後援会など地域と協力する仕組みを持っているが、今後どうすればもっとよくなるか、研究してみたい」と答えました。

  今回の問題を教訓に、教育条件の改善へ一歩一歩努力していきたいと思っています。

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