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人口減少社会とどう向き合うか
OECDの家族政策にヒント
自治体学校に参加して
小矢部市議会議員 砂田喜昭
7月30日から8月1日まで神戸市で開かれた第58回自治体学校に参加しました。
記念講演は「日本型人口減少社会と地域の再編 不安と混迷の時代をどう生きるか」で、講師は加茂利男氏、(大阪市立大学名誉教授・自治体問題研究所の前理事長)でした。
近頃、人口減少社会がマスコミでも自治体の側でも問題になっています。元岩手県知事で、この前の東京都知事選挙に自民党から出馬した増田寛也氏が「地方消滅」という本で、人口減少が続けば消えてなくなる自治体がたくさん出てくる、小矢部市もその一つだとして大きな波紋を呼びました。人口減少が経済を停滞させるというのです。
戦後日本資本主義と人口問題
これに対して加茂氏は、人口減少の背後に戦後日本資本主義の推移を見る必要があるといいます。
戦後日本の高度経済成長は、政府が企業をあの手この手で支援する「護送船団方式」で、公共事業で土木建設業や製造業の大企業を成長させました。労働力の中心はベビーブーム世代の若い労働者でした。低賃金の 若い労働者が都市へ移動することで生産の飛躍的拡大につながりました。
その後、1970年代の石油ショックや1980年代の日米構造協議以降、「脱工業化」や「グローバル化」がすすみ、「失われた20年」と言われる長期的な経済停滞に陥りました。企業収益を守るために雇用や勤労者の所得を圧縮し、大企業や大資産家だけが潤う事態となりました。この結果、若い勤労者が結婚して子どもを産むことに前向きになれない社会が出来上がってしまったのです。
一方、世界に目を向けると、人口が増え続けているアメリカや人口が横ばいのヨーロッパの先進諸国の場合、移民の流入が大きなウェイトを占めています。グローバル化時代の人口移動によって人口が増える国、地域がある半面、人口流出した国、地域では人口減少になります。
「地方創生」「選択と集中」
自治体の
人口争奪競争では共倒れに
日本のように総人口が減っているところで、それぞれの自治体が人口争奪競争に取り組むとお互いにつぶしあいのようになり、だんだんと負け組のほうが多くなっていきます。政府は「地方創生」、「選択と集中」の掛け声で、地方自治体に人口などの数値目標を持たせ、その達成度に応じて国から地方への交付金の配分に差をつける方式を打ち出しています。このようなやり方で、各地域がその地方の「創生」ばかりに目を奪われていると、共倒れになる危険があります。
出生率回復への家族政策
OECDの経験
加茂氏は国全体として出生率の回復に取り組むことの重要性を強調し、OECDの国際共同研究を紹介しました。
出生率の回復には、子どもを持つ家庭への税控除、児童手当、育児休業、保育所の増設などの家族政策に取り組むことを打ち出しています。これはスウェーデンやフランスでこの政策に効果があると証明されています。
日本共産党の
「三つのチェンジ」
このためには財源が必要になります。私は日本共産党が先の参院選で、税金に集め方、使い方、そして働き方のチェンジを訴えましたが、人口問題の解決のためにもこの三つのチェンジがカナメになると思いました。
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三つのチェンジ @税金の集め方 莫大な利益を上げている大企業、富裕層に応分の負担を求める。消費税増税はしない。A使い方 海外で戦争するための武器購入などの軍事費の削減、無駄な大型公共事業をやめて、国民の命とくらしを守り福祉や教育に予算を重点的に回す。B働き方 残業時間の上限を法律で規制し長時間労働をやめさせ、最低賃金を今すぐ1000円にし1500円を目指す。非正規雇用をやめ正規雇用が当たり前の社会を目指す。
「公民館をする」
ハコモノではなく
市民の活動を中心に
二日目は講座「地方創生」政策下における自治体財政の実態と課題」(講師・平岡和久立命館大学教授)に参加しました。講師から飯田市での市民の言葉として「公民館をする」を紹介されたことが印象に残りました。
公民館は決してハコモノではなく、市民が活動することそのものだという本質を突いた言葉だと思います。小矢部市においても総合会館や石動コミュニティセンター、青少年ホームの統廃合の課題がありますが、ハコモノ建設を中心にするのではなく、それぞれの施設で現に行われている市民の活動をしっかりと支えていくために
どうすれば良いのか、より活発な市民活動を前進させるためにどうするのかを中心に考えて、市民・利用者の声をしっかり受け止めてすすめる必要を痛感しました。
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