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砂田喜昭 2016年8月21日更新  
共産党と自民党の国会議員が
笑いを交え、真剣な話し合い

全国でも珍しいふるさとトークin興法寺

 小矢部市にゆかりの国会議員がお盆に集うふるさとトークが、今年も興法寺地区主催で8月与野党の国会議員が一堂に会してふるさとトーク=8月14日、市内興法寺南部公民館 14日、約80名の参加で小矢部市立南部公民館において開かれました。共産党と自民党の国会議員がふるさとのみなさんの前で、農業とTPP、野党共闘、戦争法、天皇の生前退位、憲法などについて、笑いを交えながら、まろやかに、かつ真剣に話し合い、会場からたびたび笑い声が起きていました。
 この催しが始まったのは2008年で、夫人が興法寺出身の日本共産党・笠井亮衆院議員、興法寺生まれで石川1区選出の自民党・馳浩衆院議員の二人のトークから始まり、今年で7回目となります。今回は、このほか小矢部市出身の山田俊男参院議員、富山3区選出の橘慶一郎衆院議員も参加しました。党派の違う国会議員が一堂に会して話し合う集いは全国にも例がない珍しい取り組みです。


農業とTPP

「けしかけたアメリカで反対。これどういうことだ」山田議員


 農政改革とTPP問題で、山田議員が「アメリカがやろうとけしかけていたのに、二人の大統領候補が反対だという。これどういうことだ」というと、会場から共感の笑い声が起きました。山田議員は「こういう中で日本はどうするのかが問われる」と述べ、馳議員は「安倍総理は臨時国会で補正予算とTPPの成立を期す」と表明したことを紹介しました。
 笠井議員は「何も鎖国しようといっているのではない。得意分野を生かして経済交流を発展させることはよいことだが、胃袋を守る、食の安全とか、働くルールや命、健康など絶対に譲れない問題がある。TPPは多国籍大企業の利益のために規制を取っ払えというものだ」「ここはきっぱり断念すべきだ。農業の自給率が39%という現状を早く50%にするためにも、農家の所得保障と農産物の価格保証をやるべきだ。」と述べました。

市民と野党の共闘
「野党共闘は強敵だった」
          馳議員


 参院選挙の野党共闘の話題では、笠井議員が「市民と野党の共闘は初めての経験だったが、1プラス1は2以上の成果があった。保守の方も『安倍さんの強引なやり方、戦争する国にするのはだめだ』と言って応援してくれた」と述べると、馳議員も「野党共闘はなかなか強敵だった」と認めました。笠井議員は「衆議院でも野党共闘はぜひやりたい。党首会談でも可能な限り協力しようと確認している」と述べました。

安保法制=戦争法
「殺し殺される危険がいよいよ迫っている」 笠井議員

 笠井議員は安全保障法制=戦争法の問題に触れ、「参院選が終わったら南スーダンの自衛隊に駆けつけ警護、宿営地防衛の新たに任務を追加し、殺し殺される危険がいよいよ迫っている」として、防衛省の実力行使のためのイメージ図を描いた内部資料を示して、その中に「他国軍隊を救出するために狙撃、射殺をする」と書いてあると指摘しました(写真)。
 さらに「秋の臨時国会のテーマにするため野党共同で安保法制廃止法案を出す、そして国民の前でしっかり議論すべきだ」と述べました。「安保法制をつくってよかったか」というと時事通信の世論調査によれば、理解が進んでいないが76%、進んだが9.0%。自民党支持者の中でも進んだが15.1%、進んでいないが68.6%だった。またこれによって戦争への抑止力が高まるとのことだったが、「日本が海外の紛争に巻き込まれる危険が高まったか」を問うと、危険が高まったが55.9%、思わないが27.1%。自民党支持者でも危険が高まった46.2%、思わないが39.1%で、国民の理解が広がっていない現状を指摘しました。

天皇の生前退位
「憲法を変える必要はない」   
          笠井議員


 天皇の生前退位について議論が振られ、馳議員は「摂政を置く、特別法をつくる、皇室典範を抜本的に改正する」の三択があると述べました。笠井議員は「高齢に伴い、象徴の仕事ができなくなるというお気持ちは理解できる。政治の責任で解決する必要がある。しかしこのために憲法を変える必要はない」と述べました。

憲法改正問題
「自民党の憲法草案に共感できない。
 それより小選挙区制をやめるべき」 
          山田議員


 憲法改正問題の論議で注目されたのは、山田議員の発言です。「自民党の憲法草案を読んだが、ほとんど共感できない。憲法のどういうところで支障が出ているのか、時間をかけて議論すべきだ」「もっと大事な問題がある。選挙制度だ。1人区で多くの皆さんの意見を国政に反映できるのか。合区の問題もある。」「中選挙区に戻して、日本の将来像を議論していきたい」と述べました。笠井議員は「山田議員の安倍改憲より小選挙区制をやめるということに大賛成です」と述べました。
 笠井議員は、安倍首相が参院選で憲法問題を選挙の争点ではないと、自らのやろうとすることを徹底して隠しながら、選挙が終わった途端「わが党の改憲案をベースに議論し3分の2をつくるのが政治的技術だ」「憲法審査会で何を変えるか議論する」と述べたことを批判。これに対して「ある学者は『体のここが悪いから手術をしよう』となるのが当たり前だが、『とにかく手術をしましょう、それではどこをやるか』というのはあべこべだ」とおっしゃったことを紹介し、安倍改憲のごまかしを批判ました。

「9条は日本が提案し、マッカーサーが賛成したもの」  笠井議員

 「憲法9条はアメリカの押しつけ」論に対して、東京新聞の報道を紹介して、ある研究者が1950年代にマッカーサーに直接インタビューしてマッカーサーの回答文をもらっていたこと、それによると9条は当時の幣原首相が入れようと提案し、私(マッカーサー)が賛成したと明記してあったことを紹介し、押しつけ論は成り立たないことを明らかにしました。                 (文責・編集部)

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