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砂田喜昭 2016年2月13日更新  
新図書館と「おとぎの館図書室」
それぞれの機能をより活かす取り組みが重要


 市議会駅周辺整備特別委員会で2月8日、社会教育3施設(総合会館、石動コミュニティセンター、青少年ホーム)の統廃合と新施設整備にかかる外部委員会の設置について報告がありました。
 また、3年後に開設予定の新図書館と「おとぎの館図書室」の機能分担についても報告がありました。

★ 社会教育3施設の新設
市民・利用者の要望把握に懇話会設置


 市は社会教育3施設を統廃合して新設する施設に対する市民や施設利用者の要望を把握するため、懇話会を設置し、今年4月から月1回の会合を開き、10月頃をメドにとりまとめてもらう方針を示しました。懇話会は有識者や利用者、公募委員など15名程度で構成したいとのことでした。
 砂田委員は毎月の懇話会でどのような意見や要望が出されたのか、逐次市議会へ報告するよう求め、随時報告することとなりました。

★「おとぎの館図書室」

赤ちゃんから本に親しむために豊かな活動


 「おとぎの館図書室」(1997年オープン)に関する報告を受けて、当編集部では独自に、どのような活動をしているのか、調べました。新図書館、「おとぎの館図書室」それぞれの機能をより活かす取り組みこそ重要だと痛感しました。

4か月児健康診査に
小矢部市ブックスタート事業
(2008年4月より)

 目的として「安心して子育てができるまちづくり」「赤ちゃんと保護者が、絵本を介して心ふれあわせるひとときをもつきっかけづくり」「赤ちゃんがたくさんのよい絵本と出会える環境づくり」を掲げています。

 その内容は、
 ・小矢部市で生まれたすべての赤ちゃんと保護者に読み聞かせを行い、絵本を贈る。

 ・毎月市総合保健福祉センターで行われる4か月児健康診査の際に、健診会場もしくはおとぎの館で図書館職員とボランティアがブックスタートを行う。

1歳半・3歳児健診に
ブックスタートフォローアップ事業


 ブックスタート後の継続的な読書習慣を育てるための援助として、1歳半・3歳児健診会場において、図書館職員が月齢に応じた絵本の展示や図書館の利用案内を行う。

市内保育所・幼稚園の園児招待事業
 (2010年6月より)

 園児を「おとぎの館図書室」に招待して、本や図書館に親しむきっかけを提供している。2014年度は7回実施し、14団体332名参加。

図書館デビュー事業
 (2015年度より)

 小学1年生をスクールバスで「おとぎの館図書室」へ招待し、利用案内説明と図書の貸し出しをする。持ち運ぶ袋も提供し、読み終わった本を家族とともに図書館へ来て返却するとともに、新たに本を借りるようにする。

「おとぎの館図書室」の
イベント数々


 2階には語り部の部屋、ピノキオの部屋、アリスの国があり、それぞれ毎月、楽しいイベントが行われています。毎月4,5回のおはなし会、英語で絵本、手づくり絵本、わくわくアート教室、えいが会、子ども折り紙教室などです。
 「おとぎの館」の貸出冊数は3万6895冊で、市民図書館の8万8858冊に引けをとりません。

市内外から遠足で
「おとぎの館」へ


 市内外から、ときには金沢からも保育所や小学校などの遠足で訪れます。クロスランドやアートハウスがすぐ近くにあり、一体として見学に利用されています。2014年度には17回802名の参加。

★ 新図書館に「おとぎの館」の吸収は可能か

 市議会の一部に新図書館と「おとぎの館図書室」の「共通性の解消」との意見があります。この調査からいえることは、新図書館に「おとぎの館図書室」を吸収させることは極めて無理だということです。

総合保健福祉センター
との一体化


 4ヵ月健診で子どもと保護者に絵本に親しんでもらうきっかけ作りをできるのは、総合保健福祉センターと一体の施設だからです。遠足などでおとぎの館を見学に訪れる子どもらにとってクロスランドやアートハウスが一体としてあることも重要です。

規模でも活動縮小に

 規模の面では新図書館に「おとぎの館図書室」を吸収させると、新図書館の機能充実が困難となり、また「おとぎの館図書室」の活動を縮小せざるを得なくなります。

 市民図書館整備計画検討委員会は2014年10月に市長への報告で、新図書館の面積について日本図書館協会推奨面積2324uから「おとぎの館図書室」の667uを引いて1500u以上をめざし、新図書館の蔵書冊数を開架10万冊、閉架15万冊、合計25万冊以上が望ましいと答申しました。ところが12月議会に報告された新図書館の基本設計段階では開架10万冊、閉架7万5千冊、合計17万5千冊しか見込めません。そこへ「おとぎの館図書室」の2万3千冊を持ち込めば新図書館の蔵書数を充実させるどころではなくなります。

 「おとぎの館図書室」は667uの広さで子どもと保護者を受け入れていますが、新図書館の基本設計案ではこどものスペースが、トイレ、荷受け室、エレベータまで含んでその3分の1以下の216u(14・4b×15b)に縮小しなければならなくなります。

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