バナー2015年6月21日号本文へジャンプ
砂田喜昭 2015年6月27日更新  
「戦争法案廃案を」と請願

 「平和憲法を壊す『安保法制』に反対する」請願が6月市議会に提出されました。請願者は「戦争する国」づくり反対共同行動実行委員会の土井由三氏、青島明生氏で、その構成団体のひとつである新日本婦人の会小矢部支部(上田由美子支部長)が、市民80名の賛同署名も添えて石田議長、吉田副議長に要請しました。
 砂田市議が紹介議員となりました。
 戦争法案廃案をと請願する新日本婦人の会小矢部支部のみなさん=6月10日、議長室
保守の元幹部もこぞって反対

  国会では自民党推薦の憲法学者も「違憲」だと述べ、山崎拓氏(元自民党副総裁)、亀井静香氏(元金融担当相)、武村正義氏(元官房長官)、藤井裕久氏(元財務相)の4人が12日に会見を行い、安倍政権が進める安全保障関連法案に反対を表明しました。

 綿貫元衆院議長も
「翼賛政治になりかかっている」と懸念


 また、綿貫民輔元衆院議長も北日本新聞5月30日付で「いまは有識者懇談会や諮問会議と称して国民の代表ではない人たちで決めた物事を、後から国民に通告するなんて、おかしな話になっている。翼賛政治になりかかっているというか、『一強多弱』という言葉が出てくることが非常に不安定だ」と懸念を表明しています。
綿貫元衆院議長へのインタビュー記事より
市議会の良識が問われる

 このような状況の下で、小矢部市議会が良識ある対応をとることができるのか、問われることになります。

本会議で砂田市議の賛成討論
 
自民党、保守系無所属、諸派(幸福実現党)の反対で不採択に 6月26日

 私は、議員のみなさんに平和憲法を壊す「安保法制」に反対する意見書採択を求める請願に賛成されることを願って、討論を行います。

 残念だったのは、この請願が付託された議会運営委員会において、委員のみなさんから一言も意見が述べられなかったことです。せっかく市民の方が傍聴されていたのですから、それぞれの存念を聞かせて欲しかったと思います。小矢部市の議会基本条例は、「自由かっ達な討議を通して、自治体事務の論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である。」としているのですから、傍聴されていた方から、「これだけ世間で関心を持たれている戦争法案について、それぞれの委員が意見表明しないとはどういうことか、議員の資格があるのか」ときびしい批判の声が出されたのは当然のことだと思います。

(自由討議による合意形成)
第9条 議員は、議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

 さて、安倍政権が今国会に提出した戦争法案に対して、「日本を戦争する国にしてはならない」「自衛隊が海外で人を殺し、殺されるようにする戦争法案は廃案しかない」との声がわき上がっています。

 このことは共同通信社が二十、二十一両日に実施した全国電話世論調査にもあらわれています。
 戦争法案が「憲法に違反していると思う」との回答は56・7%。「違反しているとは思わない」は29・2%だった。憲法学者の圧倒的な人々が明確に憲法違反といっており、自民党の元幹部のみなさんもこぞって憲法違反を主張しておられます。最高裁の砂川判決を合憲の口実にもちだしてみたが、これは米軍の駐留を合憲としただけで、集団的自衛権に付いて判断したものではないことが明白であり、政府自身が昨年の閣議決定にも取り入れられなかった理屈です。

 戦争法案に「反対」は58・7%で、五月の前回調査から11・1ポイント上昇した。「賛成」は27・8%だった。
 戦争法案の今国会成立に「反対」は63・1%で、前回より8・0ポイント増。「賛成」は26・2%だった。
 安倍政権が法案について「十分に説明しているとは思わない」は84・0%に上り「十分に説明していると思う」は13・2%にとどまった。
 法案成立後、自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが「高くなる」は73・1%で、「変わらない」の22・4%を大きく上回った。
 国会審議を通じて、安倍政権のごまかしが国民に見透かされてきていることを示しています。

 23日に富山市で元内閣官房副長官補、柳沢協二氏の話を聞いてきました。1970年に防衛庁に入ってからずっと安全保障・危機管理の仕事をしてきて、2004年から2009年まで小泉内閣、安倍1次政権、福田・麻生の4つの政権で内閣官房副長官補を担当してきた防衛官僚で、大きな仕事として、自衛隊のイラク派兵を担当した方です。この方も戦争法案は廃案しかないと訴えておられます。

 私は
柳沢氏のお話で二つ感心しました。一つは防衛省の幹部として、自衛官の安全確保に非常に心をくだいておられるということです。
 イラクのサマワへ陸上自衛隊を派遣して1人の犠牲者も出さず、一発の弾も撃たなかったことが奇跡だったが、それは現地の自衛隊が立派だったからだとおっしゃった。砂漠で、緑色の目立つ迷彩服を着て、米軍などとは違って、人道支援で道路や水や医療のために来ていることをアピールし、イラクの人に銃を向けず一発の弾も撃たなかった。陸上自衛隊が撤収する際の小泉首相の記者会見を前に、柳沢氏は総理に自衛隊が一発の弾も撃たなかったことが一番大事なことだったと進言したそうです。小泉首相は、このことを会見で2度も強調したそうです。柳沢氏はこのようなイラクでの人道支援は日本社会の限界であり、イラク以上のことをやれば、必ず犠牲者が出ると言われました。
 自衛隊はこのようなリスクを理解しているが、このリスクを語らない政治は衆愚政治だ、つまり扇動政治家によるデマによって有権者が間違った意志決定をすることを指すようですが、この戦争法案によって、日本がいつどんな戦争をするのかを国民に語らないで「平和安全」などの言葉遊びではダメだということです。日本は戦後70年、戦争をしない国で1人の戦死者も出していません。親子・孫の3世代にわたって戦争体験がなく、戦死ということに向き合ってこなかった社会です。私たち日本人が「戦死」にどう向き合うのか、日本社会にそれを受け入れる覚悟があるのかが問われています。
 安倍首相や政治家たちはこの戦争法案が成立しても命を落とす心配はありませんが、自衛隊員、日本の若者たちの命がかかっているのです。アフガン・イラク戦争で自衛隊員は戦死者を出しませんでしたが、国に帰ってから54名の自殺者が出ています。すでに犠牲者がでているのです。集団的自衛権行使容認で、日本が攻撃されてもいないのに、他国への攻撃が日本の存立にかかわると政府が判断すれば、この戦争法によって自衛隊が、日本の若者が海外で戦闘に巻き込まれ、「殺し、殺される」ことになるのは明かではありませんか。
 ぜひ、ここにおられる議員のみなさんも、この請願に賛成していただき、若者の命が犠牲にならないような決断をお願いしたい。

 柳沢氏の話で
二つ目に感心したことは、日本の安全をどう守るかということです。防衛省の幹部であっただけに、たいへん説得力がありました。憲法の精神に則った専守防衛に徹すべきだというのです。「今の憲法のせいで戦争に巻き込まれる」という主張の誤りは、日本の70年の歴史が立派に証明しています。集団的自衛権を使える国だったら、イラク戦争でどうなっていたか。他国の戦争にかかわらなかったことの重みをしっかり受け止めるべきだというのです。
 大陸に近い島国・日本を守るためにどうするか、柳沢さんは防衛線をどんどん海外へ拡大して国を守るやり方は、戦前の日本が朝鮮、満州、東南アジアへと拡大して失敗したやり方であり、それを繰り返してはならない、紛争の局地化、早期収拾が唯一の方策だというのですが、納得できます。これは「紛争はなくせないが、決して戦争にしない」という東南アジアが実行しているASEAN流のやり方であり、私たちが北東アジアでもめざしていることと共通する話だと思いました。
 柳沢氏は今年1月に
「亡国の集団的自衛権」という集英社新書を今年1月に出版されましたが、多くの方に読んでもらい、日本の安全保障について考えてもらいたいものです。安倍政権のすすめている戦争法案は日本の安全を脅かし、日本を戦争する国へ変えてしまおうとする、大変危険な動きです。これにストップをかけるためにも、この請願に賛成されることを訴えて、私の討論とします。



 トップへ戻る
砂田喜昭(Yoshiaki Sunata)のホームページへ戻る