|
三井アウトレットパークに税金じゃぶじゃぶ
9月議会報告3
補正予算に反対(つづき)
砂田市議は補正予算のうち、アウトレット関連についても反対しました。先週号に引き続き、砂田市議に聞きました。
アウトレットの公園、なぜ小矢部市がつくる?
編集部 今度の補正予算に関して、先週は個人情報を国が一元管理する危険性について伺いましたが、そのほか何か問題が含まれていますか。
砂田市議 もう一つ問題だと思うのは、アウトレットパークの公園造成事業に8800万円を支出します。これは来年度予定していたものを前倒しで実施するものです。
編集部 アウトレットパークの公園をなぜ、小矢部市がつくるのですか。
砂田市議 この開発にかかる総面積が15・6haになるので、国土交通省の決まりで開発者が3%以上の公園・緑地を設けなければなりません。市は三井アウトレットパーク誘致に際し「小矢部市東部産業団地の造成」と銘打って、市が開発者となって用地買収から敷地の造成工事、関連公共事業に40億円を超える税金を投入することにしたので、5千uの緑地をつくらねばならなくなったのです。
関連公共事業としてこのほかに敷地内の市道整備に3億1300万円、雨水を貯めて下流への水害を軽減するための調整池整備に1億2200万円、上下水道整備に9900万円、防火水槽整備に3200万円を支出します。
三井に至れり尽くせり 前例はあるの?
編集部 ずいぶん至れり尽くせりの感じがしますね。小矢部市はこれまでもいろいろと企業誘致をしましたが、こんな例はあるのですか。
砂田市議 いいえ、私の知る限り、このような企業誘致のやり方には前例がありません。工場を誘致した際に周辺から騒音の苦情が出て、進出企業に工場の周りに緑地帯を設けさせたこともあります。住宅団地を開発した業者から上下水道整備の負担金をもらいました。
倉敷では渋滞対策を三井不動産の負担で
編集部 全国的にもあまり例がないのではありませんか。
砂田市議 はい、昨年秋に倉敷市の三井アウトレットパークを視察しましたが、渋滞対策を三井不動産の負担で実施していました。インターチェンジから大型商業施設へつながる公道の交差点に右折レーンを、また、アウトレットパーク倉敷の南エントランス周辺でも三井不動産が借りた敷地内に右折レーンを、三井不動産の負担で付けさせました。かなり広い範囲に交通誘導員(100人前後)を配置し渋滞を防ぐこともさせました。アウトレットパークをぐるりと取り囲むように歩道を設置させ市民が散歩できるようにし、住宅地との境には緑地帯を設けさせました。
「私ら庶民の思いを発言するのは砂田さんだけ」
編集部 先日、ある住宅団地で「明るい小矢部10月号」を配布していたら、たまたま出会った男性が「砂田さんの発言をケーブルテレビで見たが、私ら庶民の思っていることをそのまま言ってくれるのは砂田さんだけだ」と、うれしいことを言ってくれました。
砂田市議 それはありがたいですね。
編集部 その方が「アウトレットなんか、私らがいつも買い物する場所ではない。他の議員は黙って賛成していたが、おかしい」とおっしゃっていた。
砂田市議 たしかに食料品のように毎日の生活に必要なものを売っていませんからね。最近聞いた話ですが、東京の若い人の間では、今やアウトレットがはやらなくなったそうです。若い女性の皆さんは、例えば東京ガールズコレクションのようなファッションショーを見に行って、気に入った服があったら、その場で、スマホで注文するそうです。
ほんとうに30年も営業してくれるか?
編集部 小矢部のアウトレット、ほんとうに大丈夫なんですか。
砂田市議 市は「三井不動産が30年間営業してくれて、その後跡地を売却すれば、税金での負担はない」と説明しているのですが、私は果たして30年間営業してくれるか心配しています。30年間営業しても賃料として回収できるのは約22億円で、市がつぎ込んだ経費の約半分にしかなりませんし、また跡地を30年後に完売できる保証もなく、結局私らの子や孫に負担をさせるのではないでしょうか。
市と三井不動産との基本合意を見ると、10年間営業したら1年分の賃料約7500万円を違約金として払えば撤退自由、20年間営業したら違約金なしで撤退自由ということになっています。このような不安定な事業に市が借金をして、税金を投入すること自体認められませんし、反対です。市には国保税の引き下げなど、市民の暮らしを守るためにやるべきことが、もっともっとあるはずです。
事業が動き出した段階で、何が必要か?
編集部 しかし、すでに市が借金をして事業を始めてしまいました。
砂田市議 この段階では、三井不動産に大企業としての社会的責任を取らせ、地域社会との共存共栄を図るよう強く働きかけていくべきだと考えます。
三井不動産には社会的責任がある
編集部 というと、具体的にどんなことが考えられますか。
砂田市議 これまでの交渉で三井不動産は小矢部市に対して30年間契約について「信頼してほしい」と言明してきました。桜井市長はそれを受けて2013年8月臨時会で「進出企業は市場調査、あるいは事業採算性について十二分に検討された上で多額の投資を計画された。したがって、30年間の契約期間に中途で解約されるリスクは極めて低い。また、三井不動産株式会社は、資本金約1740億円、従業員約1200人を擁する国内最大手の不動産会社であり、全国12カ所でアウトレット事業を展開され、その運営ノウハウを蓄積されている。また、三井不動産株式会社が事業展開する商業施設は、これまで契約途中で撤退したことがないから、契約期間に中途で解約されるリスクは極めて低い」と答弁していました。市長をここまで信頼させた日本の大企業の社会的責任は決して免れません。もしアウトレットパークが行き詰まって他の目的への転用にという場合にも、市や市民との合意が得られるものに限るべきで、仮にギャンブル施設などはもってのほかです。
地域社会との共存共栄を
市民の側からの提案を取り入れさせよう
地域社会との共存共栄という点では、倉敷市での経験が参考になります。先ほど紹介した渋滞対策はもちろん、市と三井不動産との間で地域包括協定を結んで、@地元の観光イベントに年何日か場所を提供、A倉敷市の観光名所である美観地区へ行けるように三井不動産が自転車を貸し出す、B美観地区の商店との間でスタンプラリーを実施、C倉敷市の観光スポット紹介など情報発信する大型スクリーンを店内の目立つところに設置、D地元牧場直営のグルメ&フード店、E地元商店会・自治会への加入などなどです。これらは倉敷市が三井不動産と強力に交渉して実現したものでした。
小矢部市としても三井不動産としっかりと交渉するといっています。開業前も、開業後も地域社会との共存共栄を図る要求を市民の側から具体的に、しかも積極的に提起し、それを取り入れさせていくことが大切です。私も市民の声をしっかりと受け止め、頑張っていきたいと思います。
|
|
|