バナー2014年5月25日号本文へジャンプ
砂田喜昭 2014年5月26日更新  
「早く」「個人負担を軽く」
「下水道との差を少なく」

嵐山町で町管理型合併処理浄化槽
産業建設常任委員会の行政視察報告(2)

 埼玉県嵐山町で町管理型合併処理浄化槽を民間事業者の手で設置・維持管理するPFI方式で整備しているのを、5月9日に視察してきました。
 「早く」「個人負担を軽く」「下水道との差を少なく」がモットーでした。

PFI方式

民間事業者の手で浄化槽設置し、
  町が買い取る


 PFI方式というのは、法律に基づいて、公共下水道計画区域外の地域において、個人宅(店舗兼用住宅も含む)に合併処理浄化槽(トイレ、台所、ふろ、洗濯などの生活雑排水をすべて浄化する)を民間事業者が設置し、竣工後、町がその浄化槽を買い取ったうえで、その民間事業者が浄化槽の維持管理業務を行います。すでに合併処理浄化槽を個人で設置してある場合、その浄化槽を町へ寄付してもらえば、維持管理を町の責任でその民間事業者に委託します。この民間事業者は嵐山町内の民間企業13社で設立した嵐山町浄化槽事業株式会社です。

視察の最大の成果
対象地区住民100%同意は必要なし
希望する人から順次設置できる


 この視察で最大の収穫は、町が設定した浄化槽整備区域内であれば、集落ごとに100%の同意を取らなくても事業ができることがわかったことです。
 小矢部市は、市設置型浄化槽方式を取り入れる場合、これまで対象地区住民の100%同意が必要としていました。しかし、現在ではその必要がなくなり、希望する人から設置していけることが明らかになりました。
 嵐山町では2010年度に行った浄化槽整備区域内で単独浄化槽や汲み取りトイレの人たちへのアンケート調査で、1年以内に合併処理浄化槽にしたいと答えた人が1年目にほとんどすべて整備できたそうです。

トイレのみの単独浄化槽、汲み取りトイレ
  約1千件を合併処理浄化槽に


 嵐山町の全体面積は2985haで、このうち344haを公共下水道区域に、残り2641haを浄化槽整備区域に設定しました。公共下水道区域には4313世帯、浄化槽整備区域には3154世帯があり、公共下水道は1989年頃から着手し、ほぼ完了しています。PFI方式による浄化槽整備事業は第1期10年間として2012年度からスタートしました。但し浄化槽の設置業務は2018年度いっぱいの7年間です。目標事業量は第1期で500基設置し、維持管理は個人からの寄付で受け入れる200基を合わせ700基としています。第2期の10年間でもう500基ほど設置するとのことでした。浄化槽整備区域に3千世帯を超える家庭があるのに、1期、2期合わせて1000基設置する目標としているのは、トイレだけ浄化する単独浄化槽が800基余り、くみ取り式トイレが160基余りで、これらを合併処理浄化槽に転換する目標とのことでした。残りの家庭はすでに合併処理浄化槽を個人で設置済みだそうです。

嵐山町方式
整備が早く進む


嵐山町では年間100基以上設置
小矢部市は35基


 2年間の実績は2012年度に設置したのは139基、寄付を受け入れたのは79基、2013年度は107基設置、寄付受納56基でした。年間100基を超える設置で、かなり早く整備が進んでいます。小矢部市の場合、個人設置型で2013年度に35基設置ですので、嵐山町では大変なスピードで整備が進んでいることになります。

個人負担も少なくなる
設置に伴う個人の分担金10%


 嵐山町の浄化槽設置に伴う個人負担は設置費の10%で、5人槽9万2千円となっています(分担金表参照)。個人設置の場合小矢部市では5人槽で45万2千円の補助金を出しますが、その残り50〜60万円が自己負担です。
浄化槽設置の分担金
使用料金 
基本料金月額1620円


 嵐山町の使用料金は水道使用量に応じて決められており、基本料金10立方メートルで月額1620円、年間19440円です(使用料金表参照)。公共下水道の使用料金に見合う料金より少し高い料金設定にしているそうです。嵐山町ではこの使用料だけでは賄えず、足りない分を町が負担しています。
 小矢部市における個人設置型浄化槽の場合、年間で保守点検・法定検査合わせて2万数千円、それに浄化槽清掃料金が数万円かかり、これがすべて個人負担です。
浄化槽の使用料金表
小矢部市も住民の
  意向調査を計画


 小矢部市も今年度、下水道未整備地区の皆さんに意向調査をして下水道計画の見直しを検討することになっています。
 嵐山町の経験から大いに学びたいものです。

 トップへ戻る
砂田喜昭(Yoshiaki Sunata)のホームページへ戻る