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砂田喜昭 2014年3月2日更新  
国の「農政改革」と富山の農業
共産党シンポジウムに多彩な顔ぶれ、多様な意見

 シンポジウム「国の『農政改革』と富山の農業を考える」が日本共産党富山県委員会の主催で2月22日、富山市で開かれました。パネリストはJA富山中央会の穴田甚朗会長、県農業会議の久保博副会長、農民運動全国連合会(農民連)の吉川利明事務局次長、日本共産党の紙智子参議院議員でした(写真)。小矢部市からの参加者を含め180名がつどい、多彩な顔ぶれで、多様な意見がかわされました。
国の「農政改革」と富山の農業のパネラーのみなさん
TPPで
自民党の二枚舌


 JAとやま中央会の穴田会長はTPPに関して2月20日、JAグループで自民党に「米や麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖などの重要5項目を守れないなら脱退」(自民党選挙公約、国会決議)と申し入れたとき、石破幹事長が「遊びや冗談で『脱退』と書いたのではない」と述べたと紹介しました。しかし、安倍内閣は交渉「妥結」に向かって突っ走ろうとしています。甘利TPP担当相が18日、586品目からなる農産物「重要5項目」について「一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」と述べています。政府・自民党の二枚舌です。

拙速な農政改革

 穴田会長は安倍内閣が打ちだした「新しい農政改革」について、「まことに拙速な農政だ」と批判しました。飼料米で水田フル活用というが、牛は米を食べないとのことです。

家族農業を主体に

 農業会議の久保副会長は、県内の農業委員会の活動を紹介し、農家が高齢化しているもとで農地を守るためには、次のリーダーを育てることが課題で、そのためにも家族農業が主体であるべきで、兼業農家の役割も大切と述べました。

優良農地を大企業
 に引き渡す狙い


 農民連の吉川事務局次長は、「新しい農政(生産調整=減反の廃止)の狙いは、TPPでアメリカやベトナムから米が大量に輸入されるようになると国が生産調整に責任を持てなくなるからだ」、「農家を協力金と引き替えにリタイアさせ、優良農地を『農地中間管理機構』を通じて農外大企業に貸し出させようとしている」と批判しました。

国の農政改革に
  現場の要望を
  どんどん提案


 日本共産党の紙智子参院議員は2月7日の予算委員会の議論を紹介しました。アメリカでは議会に通商交渉の権限があり、大統領にその権限を与える法案が提出されているが、そのなかで農産物の関税をアメリカより低くすること(表参照)、遺伝子組み換え食品の表示を撤廃することが条件となっています。米の関税341円を1円にしろという無茶な要求です。
     日米関税比較、米国「コメの関税を1円に」
 紙氏は、世界の流れが「国際家族農業年」を設定し家族農業を中心にした農村社会の持続的な維持をめざしていると紹介し、国の「農政改革」に対しては現場の要望を優先に、必要な対策を地域からどんどん提案して、農政を変えていこうと呼びかけました。

規模拡大で外国
との競争は無理


 シンポジウムでは、会場から「小川にナマズや魚がいた。生物に優しい環境が大事」、「規模拡大だけで外国との競争は無理。100haの営農組織の責任者だが、田んぼの枚数にすると330枚から500枚になる」、「米の輸出という話もあるが、入善から香港へ輸出したが農家の手取りが1俵8500円で、これでは原価割れだ」など多様な意見が出されました。

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