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TPPは「1%」の利益のため
大多数の国民を不幸にする
シンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」で訴え
シンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」が東京・文京シビックホールで開かれ、砂田市議が参加しました。シンポジウムを主催したのは「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」「TPPに反対する弁護士ネットワーク」「主婦連合会」です。
主婦連 「長年の消費者運動で勝ち取った
食品の安全、環境保護の規制を壊す」
主催者あいさつにたった主婦連合会事務局長の佐野真理子さんは「消費者保護制度は市民運動が長年の努力を重ねて勝ち取ったもの。これをTPPによって規制緩和で壊してよいものか。」と訴えました。パネリストとして発言した主婦連合会会長の山根香織さんも、「TPPは、これまで消費者運動・市民運動などが勝ち取ってきたあらゆる制度導入の成果を台無しにする制度です。食品の表示制度や、環境保護制度、国民皆保険などの『医療・年金・介護・子育て』に関連する社会保障制度も大きく後退させます。改善が必要な遺伝子組み換え食品や食品添加物の表示制度などについても、協定交渉の対象とされ、緩和・撤廃されます。」と、消費者の立場から反対を強調しました。
医師会
「お金のない人は先進医療を受けられなくなる」
保険診療と保険外診療の併用=混合診療の全面解禁
「TPPと医療」と題して特別スピーチしたのは、日本医師会副会長の中川俊男さんです。
「日本の医療制度が優れているのは、次の3本柱があるから。@ 国民皆保険制度、A フリーアクセス(どの医者にでも、誰もが、いつでもかかれる)、B 現物給付(保険証1枚で、一部負担金を払えば医者にかかれる)。」
「安倍首相は国民皆保険制度を守るといっているが、三本柱の@だけではだめだ。国民皆保険を守ることは、『@ 公的保険の範囲を維持すること。A 混合診療を認めないこと。 B 営利産業化を防ぐこと』でないと守れない。ところが7月26日、政府の『規制改革会議』は、当面の優先案件の一つに『保険診療と保険外診療の併用療養制度、つまり混合診療の全面解禁』を挙げた。混合診療の全面解禁とは、保険適用診療に上乗せして保険外診療をできるようにすることで、医療を金もうけの手段にすることだ。お金がない人は先進的な高度な医療を受けられなくなる。」
十勝町村会長・農協
「輸出で農業が勝てる」などは幻想だ
北海道・十勝の取り組みを紹介したのは、十勝町村会長で本別町長の高橋正夫さんです。
「十勝では一農家の耕作地は40〜50ha。130年かけてここまでやってきた。政府やマスコミなどから農家の努力が足りないといわれるが、机上の空論だ。」
「TPPで強い農業をつくるという意見もある。農業も輸出で生き残れるなどと、十勝の長芋を例に持ち出されているが、現実を知らないものだ。長芋の輸出額は6億円だが、十勝の農業出荷額は2600億円だ。輸出で勝てるなどというのは、幻想だ。」と行政のトップが厳しく政府を批判しました。
全国農業協同組合中央会農政部長の小林寛史さんは、「アジアの農業とオーストラリア、アメリカの農業はそれぞれ違う。アジアの農業は多様である。地域、土壌、気候、食生活が違う。TPPでこの多様性が維持できるのか、これとTPPのような一律の基準と矛盾する。」と述べました。
鈴木宜弘東大教授
「企業利益の拡大に邪魔なルールを
壊すのがTPP」
東京大学の鈴木宜弘教授は、「TPPの本質は『1%』の利益のために『99%』を犠牲にして構わないというものだ。企業利益の拡大に邪魔なルールや仕組みは徹底的に壊す、または都合のいいように変えるのがTPPだ。米国の巨大企業中心の『1%の、1%による、1%のための』協定で、大多数の国民を不幸にする。TPPに反対する人たちを『既得権益を守るために規制緩和に抵抗している』という攻撃も常套手段だが、それこそ『自分だけ、今だけ、金だけ』しか見えぬ人たちが市場を奪うために仕組んだ策略だ。」とユーモアを交えて訴えました。
アジア太平洋資料センター
「世界の市民団体とのネット
ワークで秘密交渉を突き崩そう」
アジア太平洋資料センター事務局長の内田聖子さんは、「日本にとって早期妥結は『最悪中の最悪のシナリオ』。日本政府は米国の早期妥結に対し、どの国よりも柔軟である。政府も交渉官にも危機感がまったくない。交渉の秘密性をどう突き崩すかが大きな課題。世界の市民団体とのネットワークが重要だ。
日本がなぜ不利な交渉に入るのか、日本が国家としての体をなしていないからだ。オリンピック誘致でも首相が平気でうそをつく、それがまかり通っている。私は怒り、危機感を持っている。特に自民党議員への働きかけが今こそ大事だ。批准段階では遅い。20年間続いている新自由主義の動きは、TPPがなくてもしばらくは止まらない。しかし、あきらめて終わることはできない。」と強い危機感を表明しました。
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