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砂田喜昭 2013年7月14日更新  
TPPから即時撤退を
6月議会 砂田市議の質問より

富山県農業に深刻な打撃

 6月議会で砂田市議は、富山県でTPPによる関税撤廃でコメのみの農業所得(コメのみの生産額から生産経費を差し引いたもの)が57億円も減少し、減少率が4分の1を超えると指摘し、TPPからの即時撤退を求めました。

 砂田市議 内閣官房のTPP影響試算は被害を小さく見せるように国民を欺くものである。
 TPPによる輸出増を2兆6千億円と試算しているが、米国の自動車関税の最大限現状維持という日米事前合意を完全に無視しており、ほとんど効果は見込めない。農業への影響は世界最大のコメ輸出国ベトナムからの輸入をゼロとみなし、農林漁業やその関連産業従事者の失業者百数十万人がすべて他で雇用されるという前提で試算しており、国民をだますための非現実的な試算である。

 農業生産額減少が農業所得に及ぼす影響は、北陸三県でコメだけを対象にした試算でも、富山県では57億円の農業所得が減少しこれが農業所得に占める割合は26・3%になる。石川県37億円の減少(19・8%)、福井県45億円の減少(25・6%)。安倍首相がTPPでメリットがあるというが、これはごまかしにすぎない。

 
桜井市長 政府機関のそれぞれの試算結果がかい離しており、国民の信頼をえられるものではない。コメについては1兆100億円の減少との試算があるが、いくつかの仮定の下で試算されたもので、十分に留意していかねばならない。市としては、不透明な部分があるので小矢部市の基幹産業である農業へのメリットの判断は難しい。しっかりと情報収集に努めたい。

「TPP脱退を求める大学人の会」が試算
TPPの農業への被害
全国で富山県が最大


 今年3月28日に「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学人の会」が発足し、4月8日には870人からの賛同を得ました。全国各地の大学教員が専門分野の枠を超えて結集したことは社会的意義があります。
 砂田市議が6月議会で紹介した富山県農業への影響は、「TPP脱退を求める大学人の会」がコメだけを対象にした試算でした。その後この「大学人の会」が、コメだけでなく19品目の農作物の関税を撤廃した場合、都道府県ごとにどのような影響があるかを試算した内容を7月5日に発表しました。この試算はあくまで政府試算の考え方に基づいた控えめな試算結果です。

 生産額減少率 
  最大が富山県


 試算によると、生産減少額の多い上位10県は、富山県327億円(43・8%)、福井県212億円(41・2%)、北海道4642億円 (40・3%)、滋賀県260億円(38・7%)、秋田県752億円(37・7%)、宮城県743億円(35・7%)、石川県217億円(34・4%)、 鹿児島県1488億円(32・2%)、神奈川県273億円(31・8%)、兵庫県482億円(29・1%)となり、「砂糖」品目では北海道、鹿児島県、沖縄県のサトウキビ産業は100%壊滅する。

農家所得額でも
 富山県が減少率最大


 続いて、農家の所得減少額の多い上位10県は、富山県73億円(減少率33・5%)、沖縄県118億円(28%)、福井県44億円(24・8%)、秋田県141億円(23・5%)、石川県44億円(23・3%)、宮城県150億円(22・2%)、滋賀県34億円(20・6%)、山口 県45億円(20・3%)、新潟県208億円(20・3%)、北海道658億円(18・4%)となる。

作付規模別の影響

 10ha以上でも、
 すべて赤字に


 作付面積規模別の影響についての試算によると、現状では、作付面積1ha以下の農家84万軒は、農業純所得(作物収入ー経営費)がマイナスで、自力で農業を持続できる所得基盤を持ち合わせていない。しかし、それ以上の規模の経営体は、少ないながら農業純所得はプラスであり、自立的に農業を継続する所得基盤を持っている。

 しかし試算では、日本がTPPに参加して農家の中心作物であるコメの関税が撤廃され、生産額がほぼ半減すると、作付面積10ha以上の経営体約 31万軒も含め、すべての規模の経営体は農業純所得がマイナスとなり、自力では農業の継続が困難となる。

 同会呼びかけ人のひとり醍醐聰氏(東大名誉教授)は「所得の減少総額は作物収入の段階で7554億円、純所得の段階では3136億円に達すると見込まれ、
政府が掲げる農家の所得倍増計画とは逆行した帰結を生むだろう」と、政府の施策の明らかな矛盾に警鐘を鳴らした。

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