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砂田喜昭 2013年5月12日更新  
三井アウトレットパーク」進出問題
市は前例ない破格の対応
砂田市議に聞く

 小矢部市議会は5月2日、臨時会を開き、小矢部市土地開発公社が三井アウトレットパークのための用地買収、造成にかかる資金、31億4千4百万円を金融機関から借金し、32年間にわたって返済することを、市が保証する議決をしました。砂田市議は「一企業誘致のために、これまで小矢部市には前例のない破格の支援であり、納得できない」として反対しました。今回の議決をめぐって、問題点を砂田市議に聞きました。


アウトレットパークとは、何?


 
編集部 三井アウトレットパークの小矢部市進出を歓迎するムードもありますが、これはどんなものなのですか。
 
砂田市議 私は、滋賀・竜王、三重・長島温泉の三井アウトレットパークを視察しましたが、服やカバン、靴、時計、メガネなどのブランド品を安く売る店が一つのショッピングセンターに集められたものでした。氷見の「きときと寿司」などの飲食店も多く出店していました。ただ、スーパーなどで売っているような食品売り場などはありませんでした。高速道路でたくさんのお客さんを寄せているようで、広い駐車場がありました。小矢部市でもオープン当初は物珍しさも手伝って県外からも多くの集客が見込めるだろうと思います。
 


 市の企業誘致の前例に反し
  三井不動産優遇は不公平


 
編集部 それではなぜ反対したのですか。
 
砂田市議 私は誘致そのものに反対なのではありません。市が企業誘致にこれまでのような支援をするのであれば、私も賛成です。しかし、今度は違うのです。市は土地開発公社を使って15・1haの用地を買収し、用地内にある工場の移転をします。加えて、用地内の公共関連施設(道路、上下水道、公園、調整池)造成を市が直接実施し、総事業費39億2千万円をかけます。これを三井不動産に30年間貸し付けるのです。こんな破格の支援はかつてないことです。

 
編集部 これまでの支援はどんな内容でしたか。
 
砂田市議 これまで誘致した新日軽、立山アルミ、北陸森紙業などでは、用地買収、造成はそれぞれの事業者が行い、市は地権者の協力を取りまとめる支援をしました。工場への進入路などの環境整備には協力しましたが、敷地内に公共施設を作るようなことはありませんでした。三井不動産という巨大企業になぜ破格の支援をするのか、公平の原則からいってもたいへん疑問です。

 
編集部 公平の原則といえば、社会保険庁のヘルシーパルを市内業者が買収しクロスランドホテルをオープンした際にも議員の一部から「一部業者への優遇だ」という批判が出されたことがありましたね。
 
砂田市議 2007年でしたが、小矢部まちづくり株式会社が1億円で買い取った時に、市は5千万円の融資をしましたが、市の財政負担はゼロでした。市は大口定期預金の利率で貸しており、10年の元利均等返済で、取締役5人の個人保証もつけました。

賃料では足りず
土地を売ってつじつま合わせ


 
編集部 それに比べると、三井アウトレットパークには破格の待遇ですね。元は取れるのですか。
 
砂田市議 そこが問題です。仮に契約通り30年間営業してくれても、賃料だけでは足りないのです。用地費6億3千3百万円が足りません。また土地開発公社の借金の金利(市は約3億円と見込む)も資金計画では見込まれていません。30年後にこの東部産業団地を誰かに売ることになりますが、用地費と金利を合わせた額以上で売れなければ、市民の税金で穴埋めとなります。このほかに関連公共施設整備に10億6千2百万円の税金を別につぎ込みます。

 
編集部 中途撤退という事態になればもっと深刻ですね。その場合、市はどうするのですか。
 
砂田市議 市は、三井不動産が地方都市の活性化に向けた取り組みを進めていることや、採算性を十分調査しているので中途撤退というリスクは極めて少ないと言っています。それでも撤退した場合、東部産業団地として分譲することで市の負担をなくせると、つじつま合わせの主張をしていますが、捕らぬ狸の皮算用ではないですか。全国には土地開発公社で造成した産業団地が売れ残り、土地開発公社が破たんした例はたくさんあります。

 30年後になって土地を分譲することに力を発揮できるのは、現在の市幹部職員や議員、市長ではないでしょう。

 アウトレットパーク進出に期待する声もありますが、その一方でどんなリスクがあるか、それを踏まえた市民の議論が必要でしたが、それが不十分なまま議決され、たいへん残念です。

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