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砂田喜昭 2013年2月9日更新  
農業所得が少ない
市農業委員会での報告
これでは後継者をつくれない!
水稲=10アール当たり15,798円

 富山県で2013年度、水稲1、5ヘクタール耕作規模の農家の10アール当たりの純収益が農家戸別所得補償15,000円をくわえて15,798円と見込まれると、小矢部市農業委員会で報告されました。
 農家戸別所得補償がなければわずか798円の純収益です。平均年収量514Kg、1キログラム当たり単価219.12円で計算しています。
 これは富山県農業会議が農地の賃借料を試算するために行ったもので、経営者報酬を差し引いて農地10アール当たり12,300円の農地賃借料が標準であるとしています。


転作大豆・大麦=赤字

  一方転作大豆では平均収量146Kg、1キログラム当たり単価126.95円で、水田利活用交付金(いわゆる転作奨励金)35,000円をくわえても、10,850円の赤字になります。また、大麦では平均収量289Kg、1キログラム当たり単価49.34円で、水田利活用交付金35,000円をくわえても、3,516円の赤字になります。
  農地を借りて大豆や大麦を作付けする耕作者は、地主から水田利活用交付金の一部を受け取って赤字分の穴埋めをしています。
  こんな低い農家所得を放置したままで、どうして農業後継者をつくれるでしょうか。

農業の所得補償は世界の常識

 農業における所得補償は世界では常識となっています。EUでは小麦の政策価格を低く抑え(1トン当たり約100ユーロ)、農家には直接支払いとして1トン当たり約70ユーロ程度を補填しています(「欧米と対比した戸別所得補償の特徴と課題」農林金融2010・12 第3図「EUにおける小麦の政策価格と補填の推移」より。農林中金総合研究所主任研究員・平澤明彦著)。
 日本の戸別所得補償は図表にあるとおり、10アール当たり13万円の粗収益のうちわずか11%の1万5千円にしかなりません。
 スイスでは農業の多面的機能に着目した所得補償政策をとっているそうですが、日本における農業生産の多面的機能は、洪水防止機能で3兆4988億円、水源涵養機能で1兆4633億円など、あわせて5兆8258億円に上ります   (日本学術会議2001年11月答申)。

日本経済の持続可能な方向への転換を
  
日本共産党の農業政策より

 農林漁業を再生し、食料自給率を回復することは、国民の生存の根本にかかわる「待ったなし」の課題です。人類社会の持続的な発展にたいする日本の責任でもあります。
 そして、農山漁村の再生は、輸出偏重で内需が冷え込み、脆弱な体質にされてきた日本経済を内需主導、持続可能な方向へ転換するうえでも不可欠です。
 日本共産党は、農林漁業つぶしの根本=アメリカ・財界いいなり政治を大もとから転換し、農林漁業の本格的な再建、食料自給率の50%台への引き上げを国づくりの柱に位置づけ、あらゆる手立てをつくします。

安心して農業に励め、農村で暮らせる条件を抜本的に整える

 農業や農村の担い手の確保にもっとも必要なのは、安心して農業生産に取り組め、農村に暮らし続けられる条件です。その最大の柱の一つは、農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせ、生産コストをカバーする施策をしっかり行うことです。

米価に「不足払い」制度を導入

 ここ十数年、生産者米価が一貫して下がり続け、多くの農家が家族労働費どころか経営費もまかなえない状態が続きました。この事態を根本から改善し、基幹作物である米作経営を安定させることは農業再生の出発点です。
 米価に過去3年の生産コストの平均を基準として販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」を創設します。

水田の国土・環境保全の役割に
10e当たり1〜2万円の所得補償


  あわせて水田のもつ国土・環境保全の役割を評価して、当面10アール1〜2万円の所得補償を実施します。
  当面、価格暴落の一定部分を補てんする政府の戸別所得補償制度について、家族労働報酬の全額を補償することや保障基準を地域や品種別の違いに配慮するなど改善・充実し、安定した制度にするためにも法制化をはかります。


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